蝕:25
栄都は扉から顔を覗かせ辺りを見渡すと僕に向って言った。
「遅かったねぇ。あのアホは?」
「ああ、ちょっと遅れるそうです」
「ん、何が可笑しい?」
「いえ、仲が良いなと思いまして」
「フン、馬鹿馬鹿しい」
そう言って素早く踵を返した栄都に従い、僕もついて行く事にした。
「ま、良い。君に証人になってもらうとしよう」
「検査結果出たのですか?」
「ああ」
「どうでした?」
既に止める事を諦めていた僕は、自ら話を先にすすめる事にした。
「今から説明するよ」
そういうと栄都はリビングに居た青葉を招き寄せ、例の扉へと僕らを促した。
「あの、あそこで説明するのですか?」
「何か問題でも」
「いえ」
いずれは行かなくてはいけないのだけど、それでも自分の意思で選択したかった。境生がここに居ない事がなんとなく寂しかった。
いけない――弱気になってどうする。僕がやらなくてはいけないのだ――
栄都は目的地に到着するなり扉を開く。白の世界――
青葉が続いて境界線を越える。虚ろの世界――
前回来た時とは比べ物にならない重圧を感じながら、僕は足を踏み入れた。
途端に立ち眩みがする。堪えながら階上を見ると――居た。
異形だ。
何だあれは?
一体どうしてあんな姿に――
「大丈夫か?」
栄都が肩を支えた。
触るな――触るな――触るな――
「大丈夫です」
落ちつけ――これは父が僕に課したテストなんだ――
「ありがとうございました」
「フム、それでは説明するよ」
「よろしくお願いします」青葉が丁寧にお辞儀をしながら答えた。
「はい」僕にはこれが精一杯だった。 |