表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

縄文人の物語

作者: ブラジル

―縄文時代中期・信濃川流域にて―


ホホはシャーマン(超自然的存在に憑かれ、恍惚状態において神霊・祖霊などと交流でき、予言・治療・祭祀を行う呪術師・巫女)の娘として生まれた。

母親の血を受け継いだホホは、幼い頃からシャーマンとしての能力があった。

ホホが13歳のとき、ムラの祭でトトという男の子に出会い、一目惚れをした。

しかし、シャーマンは処女でなければその能力を失ってしまうのだった。

だが、ホホはシャーマンの地位を捨ててトトと結ばれた。

トトが狩りに出かけている間、ホホは集めた木の実を土器で調理し、トトの帰りを待った。

ホホはムラの女たちの中でも特に土器を作るのが上手かった。

ある日、トトが狩りの最中にクマに襲われて重傷を負ってしまう。

ムラの男たちによってホホのもとに運ばれてきたときには、トトはもう虫の息だった。

ホホはトトを抱いて貝塚(縄文人が捨てた貝殻が堆積してできた遺跡)や先祖の墓が並ぶ場所まで運ぶと、神に「どうかもう一度、私にシャーマンの力をお与え下さい」と祈った。

神はホホの両目の視力を奪う代わりに、一時的にホホにシャーマンの力を与えた。

ホホが得たシャーマンの力によって、トトは一命を取り留めた。

その後、ホホは神への感謝を込めて、祭のときに自分で作った土器を捧げるようになった。

目が見えないホホが作った土器は、触って分かるよう表面に特殊な凹凸が付けられていた。

その紋様は、ホホの目が最後に見た“神の姿”を表していた。

現在では、ホホが作ったとされる土器は「火焔土器」として知られている。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 短い文章の中に縄文が凝縮されていますね! 土器の造形が、最後に見た神を模したもの、というのが深いです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ