雁字搦めの視線
本当の事は言わないで、感情を別の表現で表す事が多い。
必ず、「好き」とは言わない。
必ず、「一緒にいたい」とは言わない。
必ず、「嫉妬している」とは言わない。
そんなことを胸の内側に秘めて、私と接する時、主人の瞳はいつもとは違う。熱く、潤んだ視線をよこす。
素直に言わなきゃ伝わらない事もあるのですよ?なんでも分かっている私ですが、少しは素直になってもらわないと困ります。私だけがこんなにも恋焦がれて、気持ちが乱れていく。貴女がどう思っているのか時々、不安にもなっていってしまうのに…ねぇ、私の小さくて可愛い、ご主人様?手を伸ばしても砂のように落ちていく貴女の心に触れたい。私の事、貴女はどう思っているのですか?執事としてではなくて、私として。顔色を見てもわからない事は山ほどあるのに。私のする事だけはいつも無表情でいる…。だから、貴女を笑顔にする人間が嫌いなんです。私は、貴女を四六時中監視している事をお忘れ無きように。私はいつもでも視線で貴女を追いかけてしまう。何をすれば、貴女を私のモノに出来るのですか?
お嬢様はこんな私に教えてくださるのだろうか?