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第2話 夢は屯(たむろ)する (その989)
「ん?」
正直言って、源次郎には分からなかった。
どうして、美由紀がそんな反応を示したのか。

今やったことと言えば、左の乳房の上にあった掌を右の乳房に移動させようとしただけである。
他には、これといった動作はしていない。
それなのに、美由紀はいつにないほどの反応を示した。
そう、まるで、源次郎が何かを仕掛けたかのようにだ。

ふと見ると、薄いスリップらしき着衣の上からでもそれと分かるほどに、美由紀の左乳首は勃起していた。
今にもその薄布を切り裂きそうに思えるほどだ。
昨日まで、これだけ勃起したのは見たことが無かった。

「だ、大丈夫です?」
源次郎が囁くように訊く。心配になったのだ。
いつもであれば、乳房への刺激の強弱は美由紀がコントロールしてくる。
だから、源次郎としても、その指示に従ってさえおれば、さほど美由紀の反応自体を気にする必要は無かった。
だが、今夜はそのコントロールが無い。
言わば、源次郎の匙加減に任されていた。
つまりは、源次郎の対応次第ということになる。

その結果としての、異常な反応である。
源次郎が自分の責任だと考えても不思議ではなかった。

「・・・・・・。」
美由紀は、黙って何度も首を横に振る。
まるで、嫌々をする子供のようにだ。

(ん? そ、それって・・・、ど、どういう意味です?)
源次郎は戸惑う。
首を横に振るってことは、普通に考えれば「いや、違う」という意味だ。
それが、源次郎が「大丈夫ですか?」と問うた答えとして向けられたのだ。
「いや、大丈夫じゃない」なのか、「そういうことじゃあない」という意味なのか。
これだから、女の子は分からないのだと嘆きたくなる。


源次郎は、時間を数分だけ巻き戻してみる。
美由紀のその反応に至った経過を思い出そうとした。

それまでは美由紀の左乳房に手を添えていた。
そこで、美由紀の両腕が源次郎の首から離れた。
それを機会に、今度は右乳房へと移動しようとした。
ただ、それだけである。
それなのに、その時点で、美由紀が今までに見せたことのない反応を示したのだ。

(ん? じゃ、じゃあ・・・、どうしてなんだ?)
源次郎の思考は、また振り出しに戻ってしまう。


(つづく)






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