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第2話 夢は屯(たむろ)する (その919)
「う~ん・・・。」
源次郎は何とも答えようが無い。
そんなことを考えてみたこともなかった。
ましてや、女性からそうした事を問われるとは思ってもいなかった。


「どう見えてるのかしらねぇ~?」
美由紀は、擦れ違う男性を意識してか、そう訊いて来る。

「えっ! み、美由紀さんがですか?」
「う~ん・・・、私がって言うことじゃなくって、ふたりがよ・・・。」

「さ、さあ・・・、どう見えるんでしょう?」
「う、嘘。」
「ん?」
「源ちゃんには分かってるんでしょう?」
「そ、それって・・・、どういう意味です?」
「も、もう、良いわよ。」
美由紀が組んでいる腕に体重を掛けてくる。
どうやら、少し怒ったようだ。

源次郎は、美由紀が怒った理由が理解出来ていなかった。
「恋人に見える」と言うべきだったんだろうか?
そうは思いはすれど、源次郎にはそう言えるだけの自信はなかった。
つまりは、「俺は佐崎美由紀の恋人だ」とは口が裂けても言えなかったのだ。

もちろん、美由紀とは既に男女の関係があった。
それでも、それは源次郎から積極的に仕掛けたものではなく、どちらかと言えば美由紀から仕掛けられての結果だ。
ましてや、現在ではその佐崎美由紀のマネージャーとしての仕事も言いつけられている。
正直なところ、美由紀の遊び相手として捉えられているような気がしてならなかったからだ。


「よぅ、ネェちゃん、今からご出勤かい? だったら、今夜はお泊りだな・・・。」
擦れ違った3人連れの男たちからそんな声が掛かった。

源次郎が足を止めた。そして、振り返ろうとする。
そう言った男の顔を確かめたかったからだ。

と、美由紀の手が源次郎の顔を押さえにくる。
つまりは、振り返るのを止めにきたのだ。

「あんなの、気にしないの・・・。」
美由紀は源次郎の両目を交互に覗き込むようにして言ってくる。

「う~む・・・。」
「いつもの源ちゃんらしくないわ。もっと、冷静だったでしょう?」
「で、でも・・・。」

「ああ言われるのが、私の仕事なのよ。」
「そ、そんなこと・・・。」
源次郎は、まるで自分が責められたような気持になる。


(つづく)





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