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第2話 夢は屯(たむろ)する (その879)
ふたりが揃って部屋を出る。
そして、源次郎が施錠をする。

1階に降りて、源次郎はフロントへと向かう。

「これ、さっきのタクシーの契約書だけれど・・・。」
源次郎は、美由紀が記名押印した書類をカウンターの上に置く。

「ありがとうございます。お手数をお掛けいたしまして・・・。」
そう言いながらも、フロントマンはその契約書にあった「契約年月日」に今日の日付を入れる。
そして、そのうちの1枚を源次郎に戻してくる。

「こちらがお客様の控えになります。
それから、会員カードでございますが、3枚とのご要望でしたが、ついでもございましたから5枚ご用意させていただきました。
これからのこともございましょうし・・・。」
「ああ・・・、ありがとう。
で、これ・・・、その都度電話で呼ばないと駄目なのかな?」
源次郎は、実際の使い方を確認する。
美由紀やサキにも伝えなければいけないと思ったからだ。

「私どものホテルからでしたら、私どもの方で手配させていただきますが、そうですねぇ、他の場所からですと・・・、お電話を頂戴することになろうかと・・・。
でも、ターミナルや主要なホテルなどでしたら、結構並んでおりますので・・・。
シェアは3割ございますから・・・。」
「ああ、そうですか・・・。」
「お電話を頂戴した際に、会員番号を言っていただけましたら、1回10円の電話料は請求額から控除させていただきますので・・・。」
「そうなんですか・・・、つまりは、戻してもらえると?」
「は、はい。そうしたことも、この契約書には明記させていただいておりまして・・・。」
フロントマンは、そう言って契約書をファイルの中へと入れた。

「これからお出かけでございますか? お車は?」
フロントマンは気を利かせて言ってくる。

「い、いえ・・・、歩いて出ますから・・・。」
「左様でございますか。では、お気をつけて・・・。」
フロントマンが丁寧に頭を下げてくれる。
それで、源次郎はカウンターから離れる。


「一体何の話をしていたの?」
戻ると、美由紀は玄関の自動ドアの傍にいた。

「い、いえ・・・、特段のことは・・・。
ああ・・・、それから、これがタクシーの会員証です。
そこに書いてある電話番号に電話をすれば、車を手配してくれるそうです。
で、会員番号を言っておくと、電話代の10円は戻してくれるそうです。」
「あら・・・、そうなの。」
美由紀は、珍しそうにその会員証を眺めていた。


(つづく)





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