第2話 夢は屯(たむろ)する (その819)
源次郎は、取り出したスリップを美由紀に手渡そうと振り返った。
美由紀がブラを着け、丁度、カップの中で乳房の位置取りを調整しているところだった。
正直言って、目のやり場に窮する。
「ねえ、これで良い? 綺麗に見える?」
美由紀がブラの上から両手で乳房を持ち上げるようにしながら訊いて来る。
「え、ええ・・・。綺麗です。」
源次郎は、すかさずそう答える。
いつもの習性が出たようだった。
間が空くと、美由紀の機嫌が悪くなるのを知っていたからだろう。
「ああっっっ! 源ちゃん、適当に返事した!」
「い、いえ・・・、そんなことは・・・。」
「うそ! だって、チラッと見ただけでしょう?」
「・・・・・・。」
美由紀は、源次郎の視線が空を泳いだのを見逃してはいなかった。
「じゃ、じゃあ、もう一度ちゃんと見て言って・・・。」
「・・・・・・。」
源次郎は、仕方なく、もう一度その視線を美由紀の胸に持ってくる。
白の、何の変哲も無い、ごく普通のブラジャーである。
それでも、ブラが小さい目なのか、美由紀の胸がいつもより盛り上がっているように思える。
見慣れている筈の美由紀の身体が、凄く新鮮なものに見えてくるから不思議だ。
「は、はい・・・。ちゃんと見ました。き、綺麗ですよ。」
源次郎は、まるで眩しいものでも見るかのように目を細めて言う。
「そ、そう? じゃあ、これで良い?」
「あ、はい・・・。」
「で、スリップはこれ?」
「ええ・・・。」
「でも、これって、ちょっと短くない?」
それを拡げた美由紀が言う。
「えっ! 短いですか?」
源次郎は、言われている意味がもうひとつ的確に掴めない。
ただ、一番手前にあったものを手にしただけだったからだ。
第一、スリップに長いも短いもないのではないかとの思いもあった。
「ほ、ほら・・・。」
美由紀がそのスリップを自分の身体の前に合わせるようにして言う。
「ああ・・・、なるほど・・・。」
源次郎は納得をする。
確かに、短いと言えば短いのだろう。
その裾は、ショーツを覆ってはいなかった。
臍がようやく隠れるかどうかの丈しかない。
「で、でも・・・、まぁ、良いか! 源ちゃんが選んでくれたんだし・・・。」
美由紀は、それでも悪戯っぽい目をして前言を取り消してくる。
(つづく)
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。