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第2話 夢は屯(たむろ)する (その749)
「は、はい・・・。もう、結構ですよ。」
サキは、源次郎が目を閉じていてくれたことを分かっているような言い方をした。

源次郎がゆっくりと目を開ける。
そこには、少し照れるようなサキの顔があった。
ぽっと両頬に赤味が差している。

見ると、サキは上はブラウス、そして下には既にスカートを身につけていた。
そして、ベッドの上に正座をするように座っている。

「は、早いんですねぇ・・・。」
源次郎がそう言った。
女性が着替えをするのに、こんなに短い時間で出来るものだろうかという驚きがあった。

「着たり脱いだりするのが仕事なんですから・・・。」
サキは楽しげにそう答えてくる。

「・・・・・・。」
源次郎は、それに対しては何も言えなかった。


「もう少し、横になっておられたほうが・・・。」
源次郎は、手にしていた布を元に戻しながらそう言った。
着替えたとしても、まだ検査結果が出たわけでもないし、医者から帰って良いとも言われてはいないのだ。
頭を打っているのではないかとの疑いが依然として残る状況では、サキをこのまま起こしておくのはマズイのではないか。
そう思った。

「いえ、もう大丈夫です。」
「で、でも・・・。」
「ほ、ほら・・・ね。」
サキは自分の頭をゆっくりとだが左右に振って見せる。

「そ、そんな無茶をしたら・・・。」
源次郎は、止めにかかる。
そうするサキがどこかしら無理をしているように思えてならなかった。

「先生の許可が下りるまでは、大人しく横になっていてください。」
「ほ、本当に大丈夫ですから・・・。」
「だ、駄目です。これは、美由紀さんからの命令だと思ってください。」
源次郎は、何も考えないで、ついそう言った。
サキの無茶な行動を止めるのには、美由紀の名前を出すのが一番だとの思いがどこかにあったからかもしれない。

「・・・・・・。」
「ん?」

サキが黙り込んだ。そして、何かを考えるようにする。
源次郎は、そのサキの反応に驚きを覚える。
美由紀の名前を出せば・・・と考えたのがこうも即座に表れると、言い出した源次郎自身がどきまぎしてしまう。


(つづく)





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