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第2話 夢は屯(たむろ)する (その739)
1分ほどで看護婦が戻ってくる。

「はい、確認できましたから。」
そう言って、看護婦が保険証のコピーを源次郎に戻してくる。

「えっ! もう、良いんですか?」
「はい、保険証番号さえ確認できましたら・・・。」
看護婦はそう言う。そして、言葉を続けてくる。

「今日も診察受けられますか?」
「いいえ、今日は大丈夫ですから・・・。」
源次郎は即座にそう答える。もう診てもらう必要は無い。

「じゃあ、昨日の精算だけしておきますね。」
看護婦は、そう言ったかと思うと、手提げ金庫を開けた。
どうやら、現金の受け渡しをするつもりのようだ。

「ああ、あのう・・・。」
源次郎は口ごもる。
昨日未払いとなっていた金額を支払わされるのかと思ったからだ。
そのつもりで来たのではない。
まずは保険証のコピーが通用するのかということと、その保険が適用されたら、昨日の請求額がどの程度減額になるのかを知りたかっただけだ。
払えと言われても、現金の持ち合わせはない。

「では、240円お返しになります。」
看護婦はいきなり小銭をトレイに乗せて差し出してくる。

「えっ! ・・・。」
そうは呟いたものの、源次郎はまずはその小銭を受け取る。

「昨日、1000円お預りしてしておりましたから・・・。」
「と、・・・言うことは・・・、760円?」
数学は弱いが、こうした小銭の計算だけはすぐに出来る。

「はい。保険適用ですと、そうなります。」
「あ、有難うございました・・・。」
源次郎は、思わずそう言った。
まさか、そんなに安くなるとは思っていなかったからだ。

「い、いえ、こちらこそ、有難うございました。どうぞ、お大事に・・・。」
その声に送られるようにして源次郎は医院を後にする。


(保険って、凄いんだ・・・。)
それが源次郎の実感だった。
今までにも保険証を持って病院に行ったことはある。
それでも、その金はすべて親が支払ってくれていたから実感がなかった。

保険を使うと、4520円が760円になる。
もちろん、細かな計算過程は分からないが、その差額3760円は保険が支払ってくれるという事なのだ。
無くてはならない制度だと思った。


(つづく)




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