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第2話 夢は屯(たむろ)する (その719)
「そうですか、では、よろしくお願いします。」
隊員は源次郎に向かって軽く頭を下げた。

隊員はそれで納得したようだったが、当の源次郎は複雑な思いだった。
(マネージャーって言ったって・・・。)
そんな気持だ。
美由紀のマネージャーであるのは意識しているが、サキのマネージャーではないからだ。
第一、サキのことは殆ど知らない。
それでも、美由紀の言葉をその場で否定は出来なかった。


「じゃあ、ゆっくりとだぞ。」
担架に寝かせたサキをふたりの隊員が前後から持ち上げる。
そして、階段の傍まで来て、一旦は担架を下ろす。

前を持っていた隊員がまずは階段を降りる。
僅か5段程度だから、下に降りても目線はまだ舞台の上が見通せるぐらいだ。
それで、再び舞台の上の担架に手を伸ばして、それをその高さのままで水平に動かすようにする。
一方、後ろ側を持っていた隊員は腰を屈めるようにしてそれに対応する。

「ようし! 舞台から降りられたぞ。」
後ろ側の隊員がそう声を掛ける。
これで普通に搬送できるようになったとの意味だろう。

と、その時だった。
「ちょ、ちょっと待って!」
その後ろ側の隊員がストップを掛けた。
前の隊員が訝しげに振り返る。

「気が付かれましたか?」
担架を持ったままの姿勢で隊員が訊く。
どうやら、サキの意識が戻ったようだった。

舞台からの階段を降り掛けていた源次郎が駆け寄る。
「サキさん! 大丈夫ですか?」
その後ろから美由紀もやってくる。

「し、支配人は?」
サキが周囲を目で追うようにする。
「ああ、ここだ。」
美由紀の後ろから支配人が顔を出す。

「す、すみません・・・。こんな事になってしまって・・・。」
「ああ、良いんだ。後のことは心配するな。任せておけ。それより、まずは自分の身体だ。」
「・・・・・・。」
その支配人の言葉が終わるか終わらないうちに、またサキが眠るように眼を閉じてしまう。

「降ろすぞ。」
後ろ側の隊員がそう指揮をする。
そして、ゆっくりとその場に担架を下ろした。
容態の変化を見定めるためのようだった。


(つづく)




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