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第2話 夢は屯(たむろ)する (その1019)
(ど、どうして・・・、今朝に限って、そんなことを言うんだろう?)
源次郎は首を傾げる。

別に、美由紀とのセックスが初めてだったわけではない。
場所は違うが、既に何度かしている。
それでも、美由紀が今のような言い方をして来たのは初めてだった。

誰かに、そう言われたのだろうか?
そして、そのことで冷かされたりしたのだろうか?
いやいや、そんなことは無いだろう。
今、周囲にいる人間で、美由紀にそんなことをズバリと言える者は殆どいない筈。
強いて言えば、あの老獪な支配人ぐらいだ。
その支配人だって、美由紀のご機嫌を損ねるようなことは、きっと言わないだろう。
仮に、そう感じていたとしてもだ。

(だったら・・・、どうして?)
源次郎の思考は堂々巡りをする。


そんなことを考えながらも、源次郎はシャワーを浴び始める。

最初は、湯の温度が低かった。
何とも生温かい。

(ああ・・・、美由紀さんが浴びていたんだからなぁ・・・。)
源次郎は、そう納得をする。

美由紀は、普段でも低温の風呂に入る。
どうやら、同じことがシャワーを浴びる場合でも言えるようだ。

で、源次郎は自分にとっての適温へと温度を調整する。
つまりは、熱くしていく。

適温なったと思えた時点で、それを頭から一気に被るようにする。
多少は乱暴なのだが、こうでもしないとなかなか目が覚めない。
身体が起きてこない。

頭からシャワーを浴びたからと言って、別に朝からシャンプーをするつもりはない。
現代でこそ「朝シャン」という言葉が生まれるほどにごく普通に行われることだが、昭和40年代では、それこそ朝から石鹸やシャンプーの匂いをさせるのは恥ずかしいことだという風潮があったのだ。
つまりは、女の所に泊まったと自己申告をしていると受け止められていた。
男たるもの、そんなに脇が甘くってどうするという考え方だった。

だからでもあるのだろう。
源次郎は、純粋に目を覚ますためだけに、朝、シャワーを頭から浴びていた。

普段なら、頭もそうだが、身体も朝から洗ったりはしない。
少し熱めの湯を頭と身体に浴びることだけで済ませていた。
だが・・・。

(美由紀さん・・・、ちゃんと洗えって言ってたよなぁ・・・。)
源次郎は、シャワーの湯を止めないで、その言葉を思い出している。


(つづく)







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