第2話 夢は屯(たむろ)する (その1009)
「ううっっっ・・・。」
美由紀が脚を縮めようとする。
一瞬だが、源次郎はそれを許そうかと思った。
なぜならば、昨日までの経験があったからだ。
源次郎は、美由紀の動きに逆らいはしてこなかった。
だが、それもほんの一瞬だった。
源次郎は、美由紀の足首にある手に力を入れる。
そう、美由紀の動きを封じようとした。
もちろん、どうしてそんな結論になったのかは意識が無い。
「・・・・・・・。」
美由紀が足の力を抜く。
まるで、源次郎の意思を「理解しました」とばかりにだ。
源次郎は、どうしてか嬉しかった。
で、改めて足の指に対するキスを続ける。
もちろん、足首に対する力はやや弛緩させてだ。
源次郎の唇が、美由紀の足の指を移動する。
親指、人差し指、中指・・・、とだ。
この順序も、美由紀の希望だった。
それを思い出しながら、それでいて、源次郎なりの工夫を加える。
ひとつは時間だ。
意識して、指1本1本に手間隙をかける。
昨日までは、どうしてかその先を急がされていた。
そんな気がするからだ。
何しろ、美由紀は短気でせっかちだ。
何でもてきぱきと進めないと気がすまない性格なのだ。
それは、こうしたベッドの上でも如実に表れた。
別に、その都度、細かに口に出して指示をしてくるものではないが、源次郎がそれと分かるように、それなりに明確な意思表示をしてきていた。
今夜は、それを打ち破りたかった。
美由紀がいつもの美由紀らしくないのだがら、少しは、自分もいつもの源次郎でなくっても・・・。
そんな気持があったのも事実である。
「う、うふぅ~・・・。」
美由紀が唇を震わせる。
明らかに困惑したような声に聞こえる。
その理由は分からなかったが、源次郎は、少なくとも今やっていることが拒否されてはいないと知る。
そして、最後の小指に唇を移動させる。
(つづく)
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