13.三人のハンター
ラウト村に帰ってきたのは、結局日を跨いでの事だった。
深夜だと言うのに、酒場は明かりが点ったままだった。三人のハンターは程好い疲労を感じつつ、小さな酒場へと入って行った。
「いらっしゃいませ、皆さん」「お帰りなさい! 皆さん、無事だったんですね!?」
酒場では給仕の女性と、村長のコニカが三人の帰りを待っていた。村長は目尻に透明な液を湛えている。
ベルはカウンターに歩み寄ると、素材を差し出した。ピンク色の鱗に、青色の鱗。どれも、相当の量だった。更には嘴の一部と思える素材まで出てくる。
「二頭とも、討伐してきたわ。あと、色々素材とは別に剥ぎ取ってきたから、それの換金もお願いしようかしら」
「ご苦労様です。それでその、大変心苦しいのですが、褒賞金は……」
給仕の女性が言い難そうに言い募ろうとした口先に、ベルは人差し指を乗せた。給仕が驚いたような顔でベルを見つめると、彼女は微苦笑を浮かべた。
「その話は、もういいわ。素材を売れば、充分な金額になると思うし。そうよね、皆」
話を振られた二人のハンターは、コクコクと頷いて応じる。
「俺は、金のためにハンターやってる訳じゃないし」
「オイラだって、金欲しさにハンターやってる訳じゃないにゃ!」
「……で、あたしはどっちかと言えば金が欲しくてハンターやってる訳だけど、その話は、今は保留にしとくつもりだから。ね、お二人さん?」
「なぁザレア。これはあれか、脅されているんだろうか?」
「違うにゃ。集られているんだにゃ」
「まぁそんな訳だから、褒賞金は、この村が大きくなった時の出世払い、って事でいいわ」
「え、それじゃあこの村付きのハンターになってくれるんですかっ?」村長が黄色い声を上げる。
三人のハンターは顔を見合わせ、微笑を浮かべ合うと、快く頷いた。
「俺は困った人を見つけたら、納得いくまで付き纏うんだ。この村が大きくなるまで、と言うよりは村の誰もが困らなくなるまで、居座り続けるつもりだ」
「オイラは二人の偉大なハンターに付いて行くと決めたのにゃ! それが〈アイルー仮面〉としての生き様に相応しいと思ったのにゃ!」
二人の、純真な発言の後に言っていいものか悩んだが、ベルは村長に向かって、告げた。
「……あたしは正直、金が無い村に付くつもりは無かったんだけど、あたしと同じ目に遭ってほしくないし。もしあたしがいるだけでそれを防げるのなら、防ぎたい。だから、あたしはこの村に付いてみようと思ったの。……たとえ、褒賞金が出なくても、支給品が無くても、この村の人間が大変な目に遭う位なら、あたしは頑張るわ。それ位しか、できないもの」
「ベルも素直に、この村が気に入ったって言えばいいのに」
「ベルさんは奥ゆかしいのにゃあ」
「そこ黙りなさい! ……えっと、と言う訳で、宜しくね! 村長さん、それに皆も!」
村長に握手を求めたベルに応じて、彼女も手を差し出して握手を交わす。そこに皆が集まり、手に手を取り、輪を作った。
「……何で輪を作るのよ? 何コレ、最後に何でまたこんな事してんのよーっ」
ベルの喚声が響き渡る酒場は、その後も灯りが絶える事は無かった。
ラウト村の夜はまだ明けそうに無かった。
第一話〈挟撃のイャンクック〉―――【完】
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます_(._.)_
これにてベルの物語は閉幕と相成りました。
物語的にはこれから始まる、と言う展開で終わっていますが、一応これで完結です。
現在、続編に就いて検討していますが、多分創作すると思うので、続編を期待されている方がいましたら、暫らく時間を下さい。
モンスターハンターのファンフィクションと言う新ジャンル故に学ぶ事も多かったので、次回作ではその辺を活かせれたら、と考えています。
では、長くなりましたが、この辺で。またどこかの物語で再び逢える事を祈って_(._.)_
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