季節を届けたい・・・
名前も知らない誰かのために、そして自分のために、私は春の花にカメラを向ける。
彼の地では、構う暇などないかもしれない季節を、私は切り取り、記録に留める。
いつかそれを見てもらいたい。
あの時にも春は来ていた。
それを知って欲しい。
つらい記憶も、現実も、きっと拭えない。
終わりの見えない、張り詰めた緊張の続く生活の中だからこそ、
「綺麗だね。」
そう、フッと緩む瞬間が大事なんじゃないかって、そう考えたから。
立ち向かわなければならない現実と、
乗り越えなければならない痛みと、
どうにも出来なかった歯がゆさと。
私にはそれを想像するしか出来ない。
揺れもしない、遥か離れた場所にいて、
だからこそ出来る事があるんじゃないかと信じたい。
だから、今年は自分のためだけでなく、誰かのために写真を写した。
きっと誰かに届くように、
今の時代だから届く手段で。
きっと出来る事はある。
そう信じて、私も向き合う。
某所に応募する気なんですが、
ここにきちんと形として成しておきます。
写真が無いと、完成しないんですよこれ。
本文は偽らざる私の気持ち。
この花を撮った場所は、その昔焼け野原です。
・・・広島ですからね。
枝垂れの桃や雪柳を撮ったすぐそばには、警察官や消防士の慰霊碑が立ってます。
桜を撮った近くには、被爆建物が残されています。
それでも今は、こんなに綺麗な花が咲き、それを愛でる人がいます。
走り回る子供達がいます。
だからきっと、いつかは。
人は強いと信じています。