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超ヒトネコ伝説オマエ・モナー 妖神編 作者:詩堂炉久人
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密議


 密議

 ショボは夢を見ていた。暗く深い夢を。

 果たして城内だろうか。それともいずこの地での事なのか。密やかに闇の中で取り交わされる会話。謀略とは姿なき人殺しであり、血と呪いを呼ぶ予言の創造であり、死の泉である。
 よく見れば2つの紋章が闇の中に浮かぶ。1つは赤丸の中の猛り狂う双頭の獅子、1つは青地に白い手袋と黒い髑髏。互いに顔を隠したまま――(はかりごと)、全ては闇に潜むべし。

 「……」
 待つ髑髏。
 「王が動いた」
 獅子が喋る。
 「それで……」
 「何処かに使者を送った。4箇所へ。ギコ公も数に入っていた」
 「どこへ?」
 「いいや。分からん」
 「知る手筈はないの?」
 「無い。相変わらず近衛どもは融通が利かない。かのお方からの指示はないか?」
 「直接にはないわ。ただ役割を演じるだけよ」
 「…………」
 しばしの沈黙。
 第3の紋章が闇の中に現れる。青地に銀で交差する斧。斧も席に座り、口を開く。
 「使者を葬る」
 「…………」
 「国を出たら直ちに外の者を使えという指示だ」
 「…………」
 「危ない橋は渡るまい。腕の立つ奴に心あたりがある。もちろん野盗か妖怪の仕業に見せるがな」

 突如、斧の懐から目覚まし時計のような音が漏れ出す。
 「失礼」
 斧は立ち上がり闇の中に沈んだかと思うと、きっかり1分後に席に戻ってきた。彼は何らかの妖術通信を受信したらしい。
 「合言葉が届いた」
 2人合わせて
 「何と?」
 「今宵我ら星に集う」
 「たったそれだけか」
 ため息。

 「何時、どこで、誰が、皆知らされていない。我々にすら」
 「だけど、進行しているわ」
 「本当に千年の間生き続けてきた化け猫にかなうのだろうか? 俺はどうも感付いているのではないかと思えるのだ」
 「しかし、いずれにしろもう始まっている。今更我々の手ではどうする事も出来まい」
 髑髏は、
 「これが王の罠ではないと何故分かるの」
 と自問し、すぐさま自ら答える。
 「これしかないのでしょうね。我々の生き残る可能性は……」
 斧は獅子に問う、
 「障壁を築き上げるのにあと何日かかる?」
 「ヘスハーンの月の輝く頃には終わらせる。ラオーグは何と言っているのだ」
 髑髏は獅子の問いに答えた、
 「相変わらず、壁石に向かって吠えているだけよ」
 「まさか処刑されまいな」
 「分からないわ。ただギコ公が居ない今、彼を殺せば黒将棋の相手が半分になる事だけは確かよ」
 「奴には不運だが……我々は助かる。行方が掴めているという事だからな」
 「ところでシィファーは大丈夫なのだろうな。奴に裏切られたら元も子もない」
 「間違いないわ。彼女はモナキーンに復讐出来るというならば、例え混沌だろうが喜んで飛び込むでしょうね。……私自身、彼女に会うまで不安だったけれど」
 「シィファーか。狂える白子よ」
 「時は近いわ…………」
 3つの紋章は水面に浮かぶ像のように揺らいで消えていく。消え去りながら、獅子は、
 「だが我々の結束ほど当てにならないものはないのにな。こうも団結するとは。皆、良心のかけらもないが……恐怖の効用というわけか」
 と独り言が最後まで闇の中に残った。

 ショボは彼らの声に聞き覚えがあった。
 まさか城の中に……。
 だが、そこまでだった。再び彼は意識を失い、夢から覚める。

 つづく

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