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書籍版:機動城砦サラトガ2 前日譚 紅い少女の記憶

作者:円城寺正市
 草(いき)れの立ち込める森の中を、少女が一人走っていた。

 年の頃は(およ)(とお)を過ぎた辺り。

 ネーデル人特有の燃える様な赤毛を無造作に後ろで束ね、(こけ)()した岩を思わせる粗末な貫衣(ワンピース)(まと)っている。

 見るからに貧しい田舎の少女である。

 顔の造形(つくり)は決して拙くは無いのだが、鼻先から頬に散らばる雀斑(そばかす)所為(せい)か、将又(はたまた)単に薄汚れている所為(せい)なのか、その容姿はどうにも垢抜けない。

 彼女は足元を這う木の根に、何度も躓きそうになりながら、羽虫の飛び交う獣道を奥へ奥へと走り続け、やがて小川の(ほとり)で足を止める。

 倒木が橋の様に横たわり、せせらぎに翡翠(かわせみ)の遊ぶ、穏やかな水辺。

 そこで彼女は、節くれだった木の根の上に座り込んで、荒れた呼吸を整え直した。

 耳を澄ましても、聞こえてくるのは自分の息遣いと小川のせせらぎだけ。

 彼女の暮らす村は既に遠く、村を出る時には激しく鳴り響いていた警鐘も、(かす)かに耳朶(じだ)に残っているのみで、流石にここまで届いては来ない。

 少女は駆けて来た、道とも呼べない木々の隙間を振り返り、そのまま顔を上げては、宙を覆う細い青葉の狭間に目を()らす。

 何が見えるという訳では無い。

 折り重なっては濃さを増す針葉樹、その緑の向こう側に(わず)かに覗いているのは、重苦しく曇る灰色の空。

「……おとう、大丈夫やろか」

 少女の口から(こぼ)れ落ちたのは、ネーデル(なま)りのきつい公用語(コモン)

 それは数刻前に別れた、父の身を案じる不安げな(つぶや)きであった。

 ◆◇

 大陸南部に位置する巨大な砂漠の国、エスカリス=ミーミル。

 地図に指を乗せ、そこから大陸公路を北へとなぞっていけば、神聖国家を標榜する大国ハイランド、森林の国ネーデルと続いて、永久凍土の国で道が尽きる。

 大陸公路が貫くこの四つの国の内、永久凍土の国とネーデルの二国の関係に異変が生じたのは、(わず)か五日ばかり前の事。

 北国の短い夏、その盛り。

 雪が溶け切るのを待っていたかの様に、永久凍土の国が国境となるフィネス山脈を踏み越えて、ネーデルへと侵攻を開始したのだ。

 決して兆候が無かった訳では無い。

 原因もこの二国に住まう者ならば、(おおよ)その想像がつく。

 それは双方の王族間の、意地の張り合いに端を発する(いさか)い。

 昨年末の会談の際に生じたボタンの掛け違いを正せぬままに、(こじ)れに(こじ)れた結果であった。

 大人気無(おとなげな)いと呆れるのは簡単だが、(こじ)らせてしまえば面子(めんつ)の問題ほど尾を引く物は無いのだ。

 しかし、原因が如何(いか)に下らなかろうと、割りを食うのは結局、無辜(むこ)の庶民達である。

 かくして、国境近くの村に住まう猟師の父とその娘の、貧しいながらも穏やかな暮らしは唐突に終わりを告げる。

 永久凍土の国の王太子率いる軍勢が、すぐ傍まで近づいているという報が(もたら)されると、村の大人たちは、それを迎え撃つネーデル軍が到着するまで、抗戦する事を決めたのだ。

 村人の身で一軍に(あらが)おうなどとは、あまりにも身のほど知らずに過ぎる。

 しかし、苦難の末に開拓した土地を他国に蹂躪(じゅうりん)される。それを善しと出来ない村人達の想いを、一体、誰が笑えようか。

 男達は防壁と呼ぶのも烏滸(おこ)がましい石垣の内に立て籠り、女子供は荷車に乗せられ、親類縁者を頼って三々五々と散っていく。

 しかし猟師の娘に母は無く、父をおいては頼るべき身寄りも無い。

「ヘル……すまん、お前はおとうの洞穴(ほらあな)に隠れてな、全部終わったら迎えに行くよってに」

 敵軍の接近を告げる警鐘が激しく打ち鳴らされる中、父親が少女と同じ目線まで腰を落して語りかける。

 父の言葉に小さく(うなづ)きながら、彼女は、普段どうしようもなく無愛想な父親の、その表情の意味する物を、幼い子供なりに理解しようとしていた。

 ◆◇

 小川の水で顔を洗い、乾いた(のど)を潤すと、少女は倒木の上を器用に渡って、再び森の奥へと走り出す。

 彼女が目指すのは、父が猟で山に籠る時、寝床として使っていた小さな洞穴(ほらあな)

 木の幹に刻まれた目印を辿りながら、彼女がそこへと到着したのは、更に一刻以上も経った後の事であった。

 大人一人が横になれば、それで一杯という程度の小さな洞穴(ほらあな)

 少女は注意深く周囲を見回した後、滑り込む様にそこに入ると、内側から入口を草木で念入りに隠して、じっと息を潜める。

 そうして入口を覆ってしまえば、洞穴(ほらあな)の中は、隙間から差し込む(わず)かな陽光の他に灯りの無い薄闇。

 しかし、少女がそれに怯える事は無い。

 父一人、娘一人。

 今よりずっと幼い頃から、父が狩りをしている間、ここで待っているのが彼女の日常だったのだから、今更それに怯える訳が無い。

「……おとう」

 小さなその(つぶや)きを最後に、少女の押し殺した呼吸は、静かな寝息へと変わっていく。

 一日を通して走り続けた疲れが、今、少女のこの小さな身体に重く()し掛かっていた。

 ◆◇

 やがて夜が訪れて、(ふくろう)のホウホウという鳴き声に、少女はゆっくりと目を開く。

「……おとう、どこ?」

 眠たげに(まぶた)(こす)りながら、暗闇に向かって呼びかけてみても、返事は無い。

 少女は自分の置かれている状況を思い出して、ギュッと小さな唇を噛み締めた。

 相も変わらず響き続ける(ふくろう)の鳴き声。

 父の姿がない事に落胆した途端、少女の可愛らしいお腹が、ぐうと不満げな音を立てた。

 残念ながら人間、どんな時でもお腹は減るのだ。

 少女は腹を(さす)って、少し項垂(うなだ)れる様な様子を見せた後、腰に下げた布袋を(まさぐ)って、中から干し肉を引っ張り出す。

 腹の虫に急かされる様に大きく口を開けて(かぶ)り付くも、硬い干し肉にはちっとも歯が立たず、結局、栗鼠(リス)の様に小刻みに前歯で齧り取りながら、時間を掛けてそれを咀嚼(そしゃく)していく。

 くちゃくちゃ、くちゃくちゃ、ごくん。

 濃密な夜の静寂(しじま)の只中で、少女の生きている音がした。

「あかん……やっぱり喉乾く」

 いくらか腹の虫が大人しくなった頃、少女は小川への道筋を思い浮かべながら腰を浮かせる。

 しかし(まさ)にその時、洞穴(ほらあな)の外で、落ちた小枝をパキパキと踏みしめるいくつもの足音が響いて、少女は思わず息を呑んだ。

「お嬢様、やはり殿下に合流された方が……」

「あんなやり方では、無用な人死にを出すばかりです。この森の向こう側に展開している軍の中枢だけを叩く、それだけで、この下らない争いを終わらせる事が出来るのですよ」

「しかしですなぁ……軍規違反ですぞ、これは」

「軍規? 軍規以前にこの戦いに大義が有りません。民草に何の罪があるというのです。責任は戦争を始めた当事者達につき返してやるべきでしょう?」

 耳を澄ませば、大人数の足音の中に凛とした響き。

 大人の男を気後れさせているそれは、年若い女の子の声だった。

 見つかれば殺される。

 そんな恐怖に(おのの)きながらも、この声の主について、少女の中で(あらが)(がた)い好奇心が頭を(もた)げた。

 少女は入口を(ふさ)ぐ草木をそっと()き分けて隙間を広げると、そこから外を覗き見る。

 そして次の瞬間、「ヒッ!?」と、声を上ずらせて洞穴(ほらあな)の奥へと後ずさった。

 少女が外を覗き見た隙間、そこに外側からも洞穴(ほらあな)の内を覗き見る、蒼い瞳があったのだ。

 背骨に沿って冷たい指で撫で上げられる様な感触。

 胸の奥で心臓が自分勝手に暴れまわる。

 既に見つかった後だというのに、少女は口元に手を当てて、飛び出そうとする悲鳴を押し(とど)め、洞穴(ほらあな)の奥へ奥へと自身を押し込もうと、必死に土を蹴って藻掻(もが)いた。

「お嬢様、どうかなさいましたか?」

「しっ!」

 次の瞬間、洞窟の入り口を覆う草木がそっと()き分けられて、その間から蒼い瞳の持ち主が顔を覗かせる。

 (わず)かな月明かりに照らされて、薄闇に浮かび上がるその顔は、自分と大して年端(としは)も変わらぬ少女の物。

 (かす)かな灯りにもはっきりと分かる、流れる様な銀色の髪に薔薇(ばら)の髪飾り、幽玄(ゆうげん)に浮かび上がる白い肌。

 涼しげな蒼い瞳が、少女をじっと見つめた。

 ――殺されるッ。

 奥歯がカタカタと音を立てて、目の奥がカッと熱くなる。

 しかし、そんな少女の怯えを他所(よそ)に、青い瞳の少女は一瞬、驚いた様な顔をしただけで、微笑みながら唇に指を当てて片目を(つぶ)ると、何事も無かったかの様に、自分が顔を覗かせた草木の隙間を埋め直した。

「お嬢様、如何(いかが)なさいました?」

「どうやら気の所為(せい)だったみたいです。先を急ぎましょう」

 背後からの問い掛けに、何事も無かったかの様に応じると、蒼い瞳の少女は、そのまま足早にこの場を離れていく。

 蒼い瞳の少女とその後に付き従う、幾人もの足音が遠ざかっていくのを聞きながら、少女はへなへなと力無(ちからな)洞穴(ほらあな)の奥へと(もた)れ掛った。

「き、気付かれへんかったんやろか……?」

 そんな訳が無いのは少女が一番良く分かっている。

 見逃してくれた。

 あるいは相手をする意味もない。

 つまり、そういう事なのだろう。

 あれが銀嶺の剣姫……。

 おそらくそうに違いない。

 その噂はこんな片田舎の小さな村にも届いていた。

 霊剣『銀嶺』に祝福された永久凍土の国の少女。

 どこまで本当かは分からないが、その一撃は山をも砕くという。

「むっちゃくちゃ綺麗やったなぁ……」

 今し(がた)まで死ぬほど怯えていたと言うのに、少女は恍惚(こうこつ)とした表情で(つぶや)く。

 その心に宿ったのは子供らしい単純な憧れ。

 敵国の人間だというのに、蒼い瞳の少女の、凛とした姿が脳裏から離れてくれない。

 少女はそのまま独りぼっちの不安と、蒼い瞳の少女への憧憬(どうけい)を枕に、眠れぬ長い夜を過ごした。

 ◆◇

 日の出とともに洞穴(ほらあな)から這い出ると、少女は大きく伸びをして、固く強張(こわば)った身体をときほぐす。

 そして、一頻(ひとしき)り身体を伸ばし終えると、洞穴(ほらあな)の方を(かえり)みる事もせず、昨日来た道を引き返し始めた。

 もちろん、「迎えにいく」という父の言葉を忘れた訳では無い。

 生まれて初めて独りきりの夜を過ごし、不安は既に限界を迎えていた。

 (とう)になったばかりの子供に、それを我慢せよと言うのは、あまりにも酷な話だろう。

 小川に掛かった倒木を渡り、腰を落して獣道を走り抜け、やがて、村まで目と鼻の先という|辺りまで戻ってきた所で、何かが焼け焦げる臭いが、少女の鼻を()いた。

 天に(こずえ)を差し伸べる木々の隙間から見上げれば、黒い煙が長く棚引(たなび)いて曇り空へと溶けていく。

 それは風に流されて、少女が住まう村の方角から流れてきていた。

 嫌な予感がした。

 近づくに連れて強くなる炭の臭い、灰の臭い。

 少女は足音を殺すのも忘れて、必死に村の方へと走った。

 森を抜けた途端、少女は思わず目を見開いて立ち尽くす。

「燃えてる……村が……全部燃えてる……」

 少女は譫言(うわごと)の様にそう(つぶや)くと、土に手を付き、地面で膝を(こす)りながら、転がる様に駈け出した。

 少女の目に飛び込んで来たのは、黒い煙を巻き上げながら、激しく燃え盛る村の光景。

 村の入口の貧相な門を通り抜け、少女は大通りを必死で駆け抜ける。

 左右で轟々と燃え盛る炎、凄まじい熱が、じりじりと肌を炙る。

 蛍の様に舞い散る火の粉と咽返(むせかえ)るような黒煙、家屋の燃え落ちる音にビクリと小さな体を震わせては、声を枯らして泣き叫ぶ。

「おとう! どこッ! おとう!」

 涙交じりの悲痛な声。

 それをパチパチと(やかま)しい火の粉の音が()き消して、無情にも返事は返って来ない。

 炎は益々(ますます)勢いを増し、少女は(すす)(まみ)れ、煙に巻かれてコホコホと()き込んだ。

 やがて、村の真ん中の広場に辿り着く頃には、少女は何をどうして良いのか分からなくなっていた。

 その場に立ち尽くし、只々途方に暮れる。

 見上げれば聖堂の屋根の上では、村のシンボルの剣十字が炎に炙られて、無残にも黒く焼け焦げている。

 煤塗(すすまみ)れの頬を伝う涙だけが、自ら()(すえ)を決めて、迷う事無く流れ落ちた。

「おとう……。ウチどうしたら……」

 その時、背後から少女を(からか)う様な、軽味を含んだ男の声が響いた。

「お、なんだ生き残りがいるじゃねえか」

 慌てて振り向けば、そこには数人の男達の姿がある。

 それは、青味がかった革鎧を身に着けた兵士の一団。

「う、うあ!」

 少女は思わず目を見開くと、言葉にならない声を上げた。

 逃げだそうと背を向けたその瞬間、男の一人が駆け寄ってきて、少女の肩を足蹴(あしげ)にし、彼女は高い所から投げ出された(まり)の様に、(はず)みながら地面を転がった。

「う……うう……」

 (うつぶ)せに倒れたまま(うめ)く哀れな少女の姿を、男達は腹を抱えて笑う。

 そして少女を蹴り飛ばした男は、彼女の髪をむんずと(つか)んで、無理やり顔を上げさせた。

「なんでぇ、田舎臭ぇガキだなぁ。どうするよ、売っ払っちまうか? 酒代ぐらいにゃなるだろう」

「馬鹿言ってんじゃねぇ、今、そんな大荷物抱えてどうすんだよ。残党狩りが終わり次第、殿下の軍に追いつく様に言われてんだぞ。只でさえ剣姫様の独断専行にお怒りなのに、これ以上怒らせたら、俺達の命じゃいくらあっても足りやしねえ」

「そうか、じゃあ……」

 男は(つか)んだ髪を引っ張り上げて、「痛い痛い」と(うめ)く少女を、お構いなく燃え盛る聖堂の方へと引き()っていく。

「こういう事だなッ!」

 髪から手を離して、少女を両手で高く持ち上げると、男は嗜虐心(しぎゃくしん)(あら)わに(わら)いながら、燃え盛る炎の中へと放りこんだ。

 視界がぐるりと回る。

 見開いた少女の目に映るのは男達の下卑(げび)た笑い顔。

 パチパチと音を立てて火の粉が舞い、少女の身体に黒い煙と紅い炎が(から)み付いてくる。

 それは(まばた)きする間の出来事。

 しかし少女の眼にはそこに映る何もかもが速度を失っていく様に見えた。

 ――ああ、そうか、ウチ、死ぬんか……。

 その時、他人事の様にぼんやりと考える彼女の耳元に、(ささや)く様な声が響いた。

「ぐれ……ん?」

 天を()いて渦巻く炎の中、少女が焼け焦げた地面の上に落ちたその瞬間、突然、激しい音を立てて聖堂が倒壊した。

 まるで巨大な力で押し潰されるかの様に、炎に巻かれる少女の上へと、大量の瓦礫(がれき)が降り注ぎ、凄まじい音を立てて炎と土煙を高く立ち昇らせる。

「うわっ、危ぶねぇ!」

 男達はその場から飛び退いて、濛々(もうもう)と立ち込める土煙を遠巻きに眺める。

「まさか崩れてきやがるとは思わなかったぜ」

「あーあ、あのガキ、あっさり下敷きになっちまった。なんでぇ、楽しむ暇も無えじゃねぇか」

 驚いたのを誤魔化(ごまか)す様に軽い言葉を吐きながら、男達は密かに冷汗を拭う。

 (わだかま)る土煙の向こう側に、倒壊した聖堂の残骸。

 その上にはまるで墓標(ぼひょう)の様に、屋根の上に掲げられていた黒焦(くろこ)げの剣十字が突き立っているのが見えた。

「ははっ! こりゃ良い。流石に神様は慈悲深いぜ。あの可哀相なガキに墓ぐらいは用意してやろうって訳だ」

 釣られる様に笑いだす男達。

 しかしその中で一人、燃え盛る瓦礫(がれき)の山を眺めていた男の表情が、いきなり引き()った。

「な、何だァ?」

 男達が一斉に、その男の視線の先へと目を向ける。

 その瞬間、紅い炎の向こう側で、ゆらりと人影が揺らめいた。

 轟音を立てて一層激しく炎が渦巻く。

 その中心にいるのは、燃える様な赤毛の少女。

 男達が戸惑いの(うめ)きを(こぼ)すのを他所(よそ)に、先程の少女が灼熱の炎と舞い上がる黒煙の只中で、瓦礫(がれき)に突き立った剣十字に手を掛けた。

 その途端、ジュッ! と肉の焦げる嫌な音がした。

 兵士達は声を出すのも忘れて、魅入られた様にその光景を見ている。

 そして少女がゆっくりと剣十字を引き抜くと、その表面がボロボロと崩れ落ち、黒い炭の下から、炎よりも(なお)紅い、真紅の剣身が現れた。

「な、なんなんだよ、アレは!」

 少女は身の丈に合わない長大な剣をズルズルと引き()りながら、()けた瓦礫(がれき)を踏み越えて、戸惑う兵士達の方へとゆっくりと歩み寄る。

 慌てて剣を引き抜く兵士達。

 それを、少女は熱に(おか)された様な(うつ)ろな瞳で眺めていた。

 ◆◇

 これは一人の少女の記憶。

 初めて人を(あや)めた日の記憶。

 少女が紅蓮の剣姫となった日の記憶である。
2017年4月15日発売予定

『機動城砦サラトガ2~かくて我らは逆徒となった』

どうぞ、よろしくお願い致します!

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