子爵令嬢に転生して卒業パーティでやらかした
むしゃくしゃして書いた。
後悔はしていない。
アークルス大陸最大国家『クルトニア王国』。
その国のマロー子爵家令嬢こと、私『ノーリス・フォン・マロー』には秘密があります。
その秘密は誰にも話していないので今は置いておくとしましょう。
まずは目の前のいざこざをどうにかしなければなりません。
「どうしてこの女なのですか?!」
「何度も言っているだろう!ノーリス嬢は私に癒しをくれたのだ!シルビアには無い優しさが、彼女にはある!そこに惹かれたのだ!」
「酷いわ!ヨーナ様を支えるために、王妃教育もしっかりと行っていましたのに!なぜ今なのですか!」
本当にそう思います。
ここはクルトニア王国首都にある『クルトニア王立学園』で、今は卒業記念パーティの真っ最中です。
今年の卒業生の中には、第一王子のヨーナ様とその婚約者のシルビア様を始め、宰相様、親衛隊隊長、国王陛下御用達の王国最大級の商会、宮廷料理人などのご子息とその婚約者がいます。
私は来年卒業なのですが、卒業記念パーティは送り出すために在校生も参加する必要があるのでここにいます。
パーティはドレスコードがあって、男性はタキシードのようなパリッとした正装。
女性はドレスとアクセサリーで着飾らなければならないのですが、子爵家には贅沢をする余裕はありません。
ですが、私の胸元には大粒のサファイアを使ったネックレスがあり、耳にはエメラルドのイヤリング。
ハーフアップにした髪にはルビーの髪飾り。
指には宝石のついた指輪が嵌められています。
全て頂き物なのですが……。
冒頭の事件は、私が王子殿下に挨拶をしたことから始まります。
親の爵位が低く、女性である私は最後の方に挨拶をすることになっていたのですが、私が王子殿下の前に立った瞬間、婚約者であるシルビア様がお怒りになり、手に持ったブドウジュースの入ったグラスを投げてきたのです。
そして始まる口論。
内容は私が王子殿下を誘惑したという言いがかりから始まり、他の有力者のご子息も誘惑したと言われました。
それに対して王子殿下を筆頭に男性陣が反論します。
婚約者側にも問題があり、私がいかに皆さんに尽くしてくれたか言い出しました。
止めているのは宮廷料理人のご子息とその婚約者だけです。
もちろん全て身に覚えがありません。
私は特定の誰かと親密になることはなかったはずですが、男性陣は我こそはと言い張り、女性陣はなぜ婚約者がいる男に近付いたのかと詰め寄ってきます。
ダメです。
そろそろ私の限界が近いようです。
パーティ会場の2階を見ると、私の両親と弟と妹、それに、メイド長が居ます。
皆私と目が合うと示し合わせたように首を横に振ります。
首を振られても限界は変わらないんですよ?
更に3階を見ると、国王陛下が険しい顔で見ていて、その隣にはお妃様が3人、そして未就学の王女様や王子様がこの状況を呆然と見ています。
このままでは私がとんでもない悪女になってしまいます。
国王陛下の前でそんなことになってしまったら、私はこの国で生きていけません。
そう考えると更にイライラしてきました。
貼り付けた笑顔もピクピクとしています。
もう一度両親を見ると、家の関係者全員が何かに祈りを捧げていました。
否定しないということは好きにしていいということやな?
「しず「お前らさっきからうるさいんじゃあぁぁぁぁぁ!!!」……ま…………れ………………」
「ノーリス嬢?!」
今ウチが言う前に何か聞こえたけど、周りは呆然と見とるし、上に居る人らも座ってるから気のせいやな。
家族は全員頭抱えてたけど、知らん。
確認したやん。
メイド長だけ何故かニヤケとるけど。
ほな、続きやろか。
いい感じに注目も集まっとるし。
「さっきから黙って聞いてたら好き勝手言いやがって!!ええ加減にせぇよ!!そんなに音出したいならケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかぁ?!あぁ?!」
「ノ、ノーリス……嬢?」
ボンクラ王子が声をかけてきたんやけど、何重にも被ってた猫を勢いよく引きちぎったせいで、何が起きたかわかってないな。
「あぁん?!気安くウチの名前を呼ぶなや!このボンクラ王子がっ!」
「ボンクラ?!」
「ノーリス!ヨーナ殿下にその口の聞き方は」
「黙れドリル!」
「ど、ドリル?!」
ボンクラ王子がウチの勢いに負けて後ろに下がったら、頭にドリルつけたシルビアが出てきよった。
あのドリル何なん?
掘るん?
放つん?
ミンチにするん?
ちなみにウチは金髪碧眼で全体的に小柄な『黙れば人形、猫を被ればご令嬢、曝け出したら大魔王』って家族に言われてるけど、女の子に大魔王はないやろ。
せいぜい身体動かしてたら色々壊すだけやん。
剣の才能があんねんウチ。
「そもそもお前がしっかり王子を管理してへんからこんなことになるんやろが!!ウチに文句言う前にこのボンクラ王子をしっかりと躾んかい!」
「ちょっと!シルビア様に向かって」
「黙れガヤのくせに!」
「がや?」
「権力者の後ろでピーチクパーチク言うだけしか能のないアホは関係ないねん!後ろに下がって茶でも啜っとけ!!」
シルビアが下がると取り巻きのうちの1人が出てきおった。
名前は知らん。
覚える気もない。
他の有力者の息子供とその婚約者も呆然としとるな。
周りも静まり返ってるし、釈明するなら今のうちやな。
「まずはボンクラ王子!ウチがどう優しいか言うてみい!」
「え?あー。私が政務に疲れて座り込んでいた時に優しく声をかけてくれたではないか」
「あぁん?道端に座り込んでる身なりの綺麗な奴がおったら体調悪いんか思うて声かけるやろ!そんなんで落ちたんか!ピュアボーイか!」
「他にもある!愛の囁きに笑顔で答えてくれたではないか!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ?!それは『君は僕の月だ。僕と言う太陽で照らしたい』とか、『君の髪を僕の育てた花で飾りたい』とか言ってたあれか?!」
「そ、そうだ」
「笑顔で聞いてたのは社交辞令や!誰が太陽に照らして欲しいって言うた!光合成を待つ葉っぱか!!それに、ウチの頭を花で飾るぅ?ウチの頭は花瓶ちゃうわ!!そんなんしたら『君はの頭はお花畑〜』って弄られるやないか!!」
「しゃ、社交辞令……」
ボンクラ王子は片手を手に当てた状態でふらつきおった。
イケメンは何しても様になりますのー!
「そこにショック受けんのか!!王子に迫られて嫌とは言えんやろが!!察せ!!さっきのセリフでもゾワっときてたけど、勝手に髪を触ってきた時なんかは鳥肌たったわ!!王子で甘い言葉吐けば誰でもなびくと思ってたら大間違いじゃ!!」
「の、ノーリス。その辺でどうか……」
ボンクラ王子が膝から崩れ落ちるとシルビア様が間に入ってきた。
シルビア様からすると王妃教育で頑張ってる間にウチにとられたように見えたんやろうな。
しっかり見とけと思うけど、ボンクラ王子がしっかりしてないのが1番悪いわ。
シルビア様にも思うところはあるけど、この場ではええか。
他に言わんとあかんや奴がおるし。
「シルビア様に免じてこれで勘弁したるわ!2度とウチに近づかんといてや!」
うな垂れたボンクラ王子をシルビア様がかかえ起こし、壁際に連れて行った。
残ってるのは宰相、親衛隊隊長、宮廷料理長、王宮御用達商会の息子とその婚約者やな!
次は……。
「次はガリ勉!お前や!」
宰相の息子のウルガや。
ひょろ長い体で常に何かを考えんのか眉間いシワが寄ってるちょっと怖そうなやつや。
あと、いつも本を持ってる。
基本的には普通の政策を考えるんやけど、時たま変な政策を披露してくる変なやつなんや。
なんでウチに政策を話してくるのか理解できへんわ。
「私のことか?!」
「お前以外にガリ勉なんかおらんやろ!いっつも本ばっか読んで、実現できへん妄想ばっかりしとる!」
「も、妄想……」
「そりゃそうやろ!政策思いついた言うてもそれにかかる費用や時間の計算してへんし、それをしたことによる国民への影響も考慮してへん!ただの自己満足政策や!何が噴水や!何が国営の花畑や!そんなことより孤児やスラムをどないかせえや!!」
孤児やスラムの担当は下級貴族に丸投げされとるから、ウチの家も対応してるねん。
だから、全員子分にしたったわ。
それでも、住む場所は汚いし、仕事もいい仕事は与えてやられへんねん。
それでも、スリや強盗はせんでもようなったけどな!
ウチのおかげで!
「し、しかし、ノーリス嬢も素敵だと言ってたではないか!」
「そんなもん社交辞令や!!国民の血税を何やと思ってんねん!!王子の趣味を国民に知らしめるためって言えば聞こえはええけど、無駄なことに使う前に他にやることあるやろが!!」
周りの令嬢が『素敵ですぅ』言うて発情しとるのに、ウチだけ否定できるわけがないやろが!
女子の嫉妬は怖いんやで!
「で、では、図書室で本を読んでいた時に掛けてくれた優しい言葉は何なのだ?!」
「どれのことや?」
「は?」
「ウチはあんたになんて声を掛けたんや?」
「私が本を読んでる時、いつも『そんなに本ばかり読んでいたらお体を壊しますよ』とか『お疲れのようですし、寮にお戻りくださいませ』と私の体を気遣ってくれたではないか!家では『もっと本を読め』『他者と討論しろ』などと言われ続けていた私を気遣ってくれたのはノーリス嬢だけだ!!」
「はぁ?!それ勘違いやで!ウチは図書室の司書さんに頼まれて、居座るあんたを外に出すためにオブラートで中身が見えなくなるまで包んで言ったんや」
「おぶ?らーと?」
「オブラート!なんかええ感じに言い直すようなもんや!社交辞令やな!」
貴族の中には親の身分を傘にきて、市民を見下したり、命令しようとする奴がおるからな。
場合によっては首にしようとしてくるやつもおる。
ウルガも一見したらそんな感じに見えよるし。
悪人ズラではないけど、雰囲気がな。
ウチは猫かぶってたから普通の令嬢扱いやったわ。
本も大事に読んでたし、それで司書さん達から相談されたんや。
普通は他の男性貴族に助けを求めるねんけど、ヤバなったら全力で殴るつもりやったから直接言ったんや。
不思議と誰も文句言わずに下がるからな。
「つまり、私の勘違いだと?」
「そう言ってるやん!優しい言葉掛けてほしかったら自分でそう言えや!そうしたら婚約者のメーリス様が優しくしてくれるはずや!せやろ?」
「え?あ、はい!」
メーリス様はちょっと病み入るぐらいガリ勉のこと好きやからな。
宰相を支えるために自分も勉強しとるくらいやし。
まぁ、そのせいでガリ勉の気持ちを汲めてなかったんやろうけど、今回の件で気づいてくれたやろ。
ほんじゃ次!
親衛隊隊長の息子のイヴァン!
「おい!筋肉!」
「む?俺のことだな」
「お前以外筋肉ムキムキなやつおらんやろ!」
イヴァンは身長2m近く、筋肉がすごい。
逆に婚約者のミルフィリカ様は身長が140cmとウチよりも小さい。
ミルフィリカ様がイヴァンの後ろに隠れるように歩いてるのをよく見かけるわ。
ちなみにウチの身長は四捨五入したら150cmや。
「お前は何でやねん!ミルフィリカ様との関係は良好やろ!」
ウチの発言にミルフィリカ様が頷く。
顔は赤くなってるから恥ずかしいみたいやけど、ホンマに筋肉のことが好きやねんな。
「ミルフィは妹のようなものだ。お前はその体で剣も扱える。我が伴侶に相応しいだろう」
「ドアホがぁぁぁぁぁ!!!!!ミルフィリカ様がどんだけお前のために動いてると思ってんねん!!飲食物や服にスケジュール!!めっちゃできた娘やんか!!お前がいらんのやったらウチが貰うわ!!!」
ミルフィリカ様を抱きしめたんやけど、めっちゃいい匂いする。
落ち着くわ〜。
「ノーリス嬢は熱い目で私を見ていたではないか!」
「はぁ?ウチが筋肉の塊を見て熱い目で見ていたぁ?冗談は構えてからにしろや!ウチは筋肉ムキムキの男に興味はないねん!程々でええねん!程々で!!」
ムキムキの体は格好いいとは思うし、重い物を持ってもらった時は頼りになる感じはあんねんけど、恋人に求めるのは安らぎやねん!
あと相性!
ボケとツッコミの!
ウチはどっちもやるから、相手にも両方できてほしいわ。
ウチがボケて、相手がツッコミを入れてから始まるロマンス!
そんな出会いがええなぁ……。
絵とか壺とかよくわからんし、オペラも好きちゃうねん。
どっかにおらんかなぁ……運命の相方。
「俺が訓練している時にジッと見ていただう!」
「それ剣やな!」
「剣?」
「剣や!剣を見てたんや!」
「俺ではなく?」
「剣や!」
「本当に?」
「剣や!」
「そう言いながらも?」
「えぇい!!しつこい!!剣しか見てへん!!」
「そ、そうか」
こいつ、もしかして鍛えたらボケでいけるんちゃうか。
筋肉ムキムキのボケか……。
あかん。
もしもボケツッコミ逆転させたら、ウチ殺られてまうわ。
なしやな。
「じゃあ、訓練後に飲み物や軽食を持ってきてくれたのはなんなのだ?」
「あぁ、あれか。ミルフィリカ様が作った物を運んだだけやで。ミルフィリカ様はウチより小さいから力ないしな。ウチより小さいし」
「そ、そうか……。あれはミルフィの作ったものだったのか……」
「せやで。ミルフィリカ様には感謝しいや」
ミルフィリカ様が作ったとわかった瞬間、筋肉が赤くなったわ。
しかも、ミルフィリカ様と見つめ合ってるし。
けっ!
これが胃袋を掴むっちゅうやつやな。
そういった意味では、ウチはメイド長の胃袋を掴んでるな!
先週2人でやったお好み焼きパーティも盛り上がったで!
筋肉は綺麗に着したな!
じゃあ次ぃ!!
「次はドケチ!」
「む。僕ですか?」
王家御用達商会の息子のロイスーンや。
要所要所に金で出来た装飾品を着けていて、ビシッと着こなしてるわ。
あと、何でか知らんけど、服の裏とかに薄い刃物忍ばせとるな。
襲うんじゃなくて、助かるために使いそうな感じや。
「お前以外ケチはおらんやろ!」
「ケチではないです!倹約家と言ってください!無駄なお金は使わない主義なんです!必要な物には使いますよ!」
「で、ドケチは何でウチに?」
「ケチではないですって!人の話を聞いてください!」
「ええから!はよ!理由!」
ウチの言い方が気に入らんのかムスッとしたロイスーン。
気に入らんのはウチの方や。
特に何もしてないのに、ウチを自分の物のように扱いやがって。
ウチはウチのもんや!
「んんっ!」
ドケチの咳払い。
そんな改まることでもないやん。
「まず貴女はとても優秀な実業家です」
「ウチが?」
「は、はい。領地にあったスラムの改革に始まり、飲食店の経営、大規模集合店の経営などその手腕は多岐に渡っています」
「それで?」
「是非僕と一緒にこの国の商業を盛り上げていきましょう!」
「そんなん嫌に決まっとるやろ!!ウチはウチのためにやっとんねん!!そっちの都合で巻き込むなや!!」
スラムの改革は色々やるために人手が欲しかったからで、飲食店の経営はウチの食べたい物をいつでも食べれるようにしたかったからや。
所謂粉もんや。
大規模集合店はいわゆるデパートみたいなもんやな。
買い物をひとまとめにしたかってん。
「それだけじゃないです!この学園の無駄を省くために色々と改革していましたよね!それを商会で活かしたら売上が上がったんです!是非、その力を商会で!」
「やっぱり金のことばっかやな!ただのスカウトやん!」
「伴侶に求めるのは商売能力です!これは我が家の家訓ですので!」
「それなら婚約者のチェディー様でええやん。チェディー様の家は農林水産系がめっちゃ強いねんから、加工食品なり何なりで色々できるやん!!」
「そんなもの他の領地にもありますよ!」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜。甘ちゃんやな!飴ちゃんより甘ちゃんや!!素材があるのに活かせへんのは商人失格や!全部の領地に同じもんがあると思うなや!!」
「なっ?!」
「ウチの飲食店の食材のほとんどはチェディー様の領地から買っとる。品質もそうやけど、ウチのお願いを色々と聞いてくれて、今は特産品も増えとるねん!それも知らんのか?」
鰹節とか、お好みソースとか、マヨネーズとか、からしに山芋、山葵なんかも作ってもらってるな。
ウチの家の領地は鉱山と放牧やからな。
粉がないねん。
粉が。
「そ、それは……」
「やっぱり金のことばっかや!金しか数えられへんのやったら、現場に出んと後ろで札束数えて左団扇でもしとけ!」
「さ、さつたば?」
あー。
金貨とかの効果しかないから札束がわからんのか。
こういう所不便やわ!
「チェディー様。ドケチを連れてってくれへん?」
「わ、わかりました。この度は色々と申し訳ありません」
「かまへんよ。実害はドレスぐらいやけど、みんな装飾品くれたからな。これを売って別の買うわ。 一度は付けてきたんやから義理は果たしたで」
ネックレスや髪飾りなんかの装飾品はボンクラ王子達がくれたから付けてるねん。
貰えるもんは全部もらわな勿体無いやん?
「大変だったね」
「シェフ。こうなる前に止めてくれても良かったんやで?」
ウチに声を掛けてきたのは宮廷料理長の息子のマッシュや。
少し赤みがかった茶髪で、高いところに置いた調理器具も楽々届く高身長。
一緒に料理をした時にポロっと出てしまったウチの素を知ってる数少ない奴や。
だって、お好み焼きひっくり返せずべちゃぁってしたんやで。
素が出ても仕方ないやん。
マッシュはええ奴やねんけど、ボケもツッコミイマイチで、オーディエンスタイプやから友人止まりや。
このことは婚約者のグラースも知ってるから、この2人だけはウチに言いがかりをつけてけえへんかったんや。
持つべきものは自分をさらけ出せる友人やで。
後は事態の収拾やな。
どないしよ……。
家族の所を見ると、メイド長が爆笑してるぐらいで、両親達は呆然としとるし、弟は青ざめてて、妹は興奮してるのか顔が赤いわ。
赤と青で信号か!
国王陛下の方に目を向けると何故かウチを見ていて、目が合った瞬間頷かれた。
ウチに何をしろと?
「あーーーーー。解散!!」
とりあえず三十六計逃げるに如かず!!
ドレスの裾を掴んで扉に向かう…………と見せかけて、バルコニーか飛び降りる。
2階やから何とかなったわ。
うちの秘密は、気づいたら貴族の娘に転生しとってん。
前世は粉もんと笑いを愛する普通の大阪人やで。
家帰ったらめっちゃ怒られた。
ちょうど学校も休みになるからって領地に連れて行かれることになったわ。
まぁ、そんなんじゃ全然罰にならんけどな!
と思って釣りと狩りでも楽しもうと考えとったら、休み中はずっと礼儀作法やって言われたわ……。
しっかりと罰が用意されとった……。
ぎゃふん!
今回の騒動はウチが悪いことにはなってないねんけど、ウチに来とった縁談が全部なくなったのは嬉しい誤算やな。
と思ってたら第二王子から縁談の話が来たらしい。
なんでやねん!!!!!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば幸いです。
第二王子との関係や、ボンクラ王子達のその後等は皆様のご想像にお任せします。
もしも、本作を連載形式にすることがあれば、しっかりと記載しますので。
バブみ