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時間停止能力者のためのリスクマネジメント入門
作:雛祭パペ彦



超能力者といえども展開させるのが苦しいお( ^ω^)


このままでは、ボクは高校1年生にしてムリヤリ既婚者にされてしまう。しかも、宮崎あおい(23)とか蒼井優(23)とかならともかく、容姿がムニャムニャな山川可南子(16)なんかとムリヤリ結婚しなきゃならないなんて…。こんな女と結婚するくらいなら、まだ岩下志麻 (67)や森光子(88)と強制的に結婚させられたほうがまだマシだった。

「ヒドイよ…ピョロ助くん。いくらわたしの顔が倖田來未(25)に似てるからって…そんな言い方ないよ! あの「羊水が腐ってる発言」をしたのは倖田來未(25)であって、わたしじゃないのに――わたしのことを責めるのはヒドイよ!!」

また人の心をスキャニングしやがった…。ほらね。こんな厄介な女と結婚したら苦労するに決まっている。あー助けてー! 福田首相(72)、助けてー! 小泉元首相(66)、助けてー!!

というわけで、ボクは逃亡することに決めた。

「……ッ!」

ボクが呼吸を停めれば、この世の全てが停止する。

みなさん覚えていましたか? 

ボクが時間停止能力者だということを。

(……さて、どうやって逃げようか)

窓の外の風景もピタリと停まっている。当然のごとく、いまボクが監禁されている高級乗用車のエンジン音も聞こえない。目の前にいる山川可南子も、この車を運転している運転手も、髪の先ひとつ動かせない状態なのだ。

(とりあえず、外に出よう…)

ボクは後部座席の扉のロックを解除し、扉のハンドルに手をかけた。

……ガチャリ。

開いた。これで外へ脱出することができる。

(……!? いや、ちょっと待てよ…)

もし万が一、ボクが自動車から外へと足を踏み降ろした瞬間――何かの間違いで、再び時間が動きはじめたとしたら…どうなる? 

ちょっと考えてみる…。

自動車の外へ足を踏み出した瞬間、ふたたび時間が動きはじめたら――おそらく、地面に降ろした右足なり左足ではバランスを保てなくなり、ボクは勢いよく放り出され車体の下に巻き込まれる可能性が高い。そうなれば迫り来る後部車輪によって、ボクはおよそ0.3秒くらいで「ガリッ、グチャッ」というふうに、頭部もしくはその他の身体の一部分をいちじるしく損傷するに違いなかった。

「いやだーッ! 人間ミンチはいやだーっ! ハンバーグになんかなりたくないよう!」

思わずそう叫んだ瞬間、ふたたび時間が動きはじめた。








――結局。

ボクは逃げることも出来ないまま、山川可南子の屋敷に拉致されることになった。












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