超能力者といえども修学旅行は近所の公園だお( ^ω^)
……なにかプニプニしたものが、ボクのほっぺに当たっている。
それは温かくて、思わず手でモミモミしたくなるような心地よさだった。
……気持ちいい。こんなに気持ちのいいものが、この世にあったなんて。
「おい! 起きろよ!」
そんな乱暴な声とともに、ボクはこめかみの辺りに衝撃を感じた。
「あ、痛ッ!!!」
驚いて飛び起きると……ボクは走行中の車の中にいて、すぐそばには山川可南子が座っていた。
「…!? どうして?」
「あはは! どうしても何も――おまえのことを誘拐したんだよ!」
誘拐…なんという物騒な言葉を使う女だろうか。
あれ? でもたしか、ボクは泥水アリスの家にいたはずだ。
昼食にラーメンをご馳走になって…チロルチョコを金塊に変える研究をしているという頭のおかしくなったアリス父の話を聞いて…そうだ! 食後のデザートにどうぞって、アリスがボクにチロルチョコを渡そうとしたところを弟のセシルがそれを放り投げて…それをボクは顔面で受け止めることにして――あれ? それからどうなったんだっけ? まったく記憶がなかった。
「は、犯罪だ! 誘拐は立派な犯罪なんだぞ!!」
「……。」
ボクが激しい口調で責めたてると――山川可南子は、口をつぐんで喋らなくなった。
喋らなくなったどころか…目に涙をためはじめていた。
「あーっ! ウソ泣きだろ、どうせウソ泣きなんだろ! そんなものに騙されないぞ!」
「……。」
ボクが騒げば騒ぐほど、ますます山川可南子は黙りこむ。しかも、その悲しげな表情は、ぜんぜん可愛くないので見ていて退屈だった。不愉快ですらある。元の作りが良くないので当たり前なんだけど。
「…ひどい。……ピョロ助くん、ひどいよ。いくらわたしがブスだからって…ひどいよ」
「あっ!? またボクの心を読んだな! くそっ、人権侵害だぞ!!」
「…だって、しょうがないじゃない。わたしだって…望んで人の心の声を聴いてるわけじゃないのに。」
…そうだったのか。
…知らなかった。
「あ…うぅ。ま、まあ、そういう事情があるのなら仕方ないけど――。」
「ねえ、ピョロ助くん? わたしって…そんなにブスなの? 生きてちゃダメなくらいのブスなの?」
「ま、まあ…その…生きてちゃダメってほどでもないけど…。」
「え!? それってカワイイって事? わたし、カワイイって事なの? っていうか、わたしカワイイよね? むしろ、逆にカワイイみたいな?」
――意味がわからない。
ボクと山川可南子を乗せた車は、なおもどこかへ向かって走っているようだった。 |