超能力者といえども腕時計は100円のだお( ^ω^)
普段は温厚なはずの神宮寺くんにまでツバを吐きかけられて、ようやくボクは理解した。
どうやら「ピョロ助」というのは、ボクにつけられたアダ名らしい。
「ようやく気が付いたか、カンニング野郎!」
勝手にボクの心をトレースして、山川可南子は得意げな表情を浮かべていた。
それにしても、なぜにピョロ助なのだろう?
どうせなら「コロ助」がよかった。
コロちゃんなどと呼ばれたい。
我輩はコロッケが大好物ナリヨ〜。
「黙れよ、ピョロ助! 本物のコロちゃんは、もっとカワイイんだよ! あやまれ!藤子・F・不二雄に謝れ!」
さっき山川可南子は「黙れ」と言ったが、ボクはひとことも声を発していなかった。
なんかもう面倒くさくなって、ボクは息を止めることにする――瞬時にして、世界のあらゆる生命が仮死状態を迎えた。
「バカ!」
「アホ!」
「ブス!」
「カス!」
「ハゲ!」
「性悪!」
「水虫!」
例によって、小心なボクに出来る仕返しといえば、こうやって時間停止に乗じて悪口を言うことくらいだった。
情けないことに、ボクはこういう形でしか鬱憤を晴らせない人間なのだ。
ええ、最低ですとも…そうですよー男のクズですよー。あははは…は…は。
(;つД`); ウワーン
まあ自虐するのはこれくらいにしておくとして、事態は深刻だった。このままいけば、ボクは校長先生を含めた全ての教師および全校生徒の前で、斬新かつエンターテインメントに優れた《1発ギャグ》を披露しなければならない。
言っておくが、決してボクは《カンニング》などしていない…というか、テスト用紙も与えられずに床の上で正座していたのだから《カンニング》などする必要がなかったのだ。
しかし《真実》とは、往々にして歪められるものだ。
恐るべき悪意を内に秘めたクラス委員長――すなわち山川可南子の謀略により、ボクには退学の危機が迫っていた。 |