時間停止能力者のためのリスクマネジメント入門(10/26)縦書き表示RDF


時間停止能力者のためのリスクマネジメント入門
作:雛祭パペ彦



超能力者といえども腕時計は100円のだお( ^ω^)


 普段は温厚なはずの神宮寺くんにまでツバを吐きかけられて、ようやくボクは理解した。
 どうやら「ピョロ助」というのは、ボクにつけられたアダ名らしい。

「ようやく気が付いたか、カンニング野郎!」

 勝手にボクの心をトレースして、山川可南子は得意げな表情を浮かべていた。
 それにしても、なぜにピョロ助なのだろう? 
 どうせなら「コロ助」がよかった。
 コロちゃんなどと呼ばれたい。
 我輩はコロッケが大好物ナリヨ〜。

「黙れよ、ピョロ助! 本物のコロちゃんは、もっとカワイイんだよ! あやまれ!藤子・F・不二雄に謝れ!」

 さっき山川可南子は「黙れ」と言ったが、ボクはひとことも声を発していなかった。
 なんかもう面倒くさくなって、ボクは息を止めることにする――瞬時にして、世界のあらゆる生命が仮死状態を迎えた。

「バカ!」
「アホ!」
「ブス!」
「カス!」
「ハゲ!」
「性悪!」
「水虫!」

 例によって、小心なボクに出来る仕返しといえば、こうやって時間停止に乗じて悪口を言うことくらいだった。
 情けないことに、ボクはこういう形でしか鬱憤を晴らせない人間なのだ。
 ええ、最低ですとも…そうですよー男のクズですよー。あははは…は…は。


 (;つД`); ウワーン 


 まあ自虐するのはこれくらいにしておくとして、事態は深刻だった。このままいけば、ボクは校長先生を含めた全ての教師および全校生徒の前で、斬新かつエンターテインメントに優れた《1発ギャグ》を披露しなければならない。
 
 言っておくが、決してボクは《カンニング》などしていない…というか、テスト用紙も与えられずに床の上で正座していたのだから《カンニング》などする必要がなかったのだ。

 しかし《真実》とは、往々にして歪められるものだ。

 恐るべき悪意を内に秘めたクラス委員長――すなわち山川可南子の謀略により、ボクには退学の危機が迫っていた。












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