思い残した事は数知れず、言いそびれた言葉は今も夜空に漂っている。
大切な物は置いていく、
ただそれだけの事なのに、明日は何もかも奪っていく、ただそれだけの事なのに。
僕は生まれた時から全てを失っていた。
顔は奇形で両手、両足の指の間が薄い皮で繋がっていた。
母親はそんな僕を川に投げ捨てた。
運悪く、その時僕は石に頭をぶつけ、頭のてっぺんがへこんでしまった。そのお陰で僕は言葉までも失ってしまった。
このまま死んでもよかった。でも僕は生きた。この恨みを晴らすため、両親をこの手で殺すため。
僕は長い年月を川で過ごした。そのためか身体は青く変色した。
僕は人間としての肌の色も失ってしまった。
そして両親の恨みもそれと同じく失うたびに膨れ上がった。
ある日川辺に仲の良さそうな家族が歩いてきた。
それは間違いなく僕の両親だった。
間に挟まれて小さな男の子が歩いていた。
みんな幸せそうだった、しかしそれは僕の怒りを爆発させた。
僕は怒りのあまり川から飛び出し、両親達の目の前に立ちはだかった。
『グェ〜』
僕は言葉にならない声を両親達に向かって発した。
「河童さんだぁ」
小さな男の子が僕に指を差して言った。
僕は人間だぁぁ!
『グェ〜』
僕は両親達を噛み殺した。もちろん男の子も……
僕は今でも川に住み続けている。
僕のすべてを奪っていく者達に復讐するために……… |