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ライカ広場の話

 「はぁあああああ!!」


 深紅の髪をなびかせながら、炎を吹き上げる剣を持ち、スライムを切りつける

 騎士アルト。


 スライムは横から真一文字に切断され、その切断面から炎を出しながら蒸発していく。


 「ふう」


 アルトは、広場の様子を見る。

 勇者ライトは得意の風属性を鉄剣に纏わせ、優雅に、可憐に、ズタズタに、

 スライムを切り刻んでいく。


 それよりも気になるのは、周囲にいる村人だ。

 村の入り口にあるライカの広場は、半径50メートルほどの広さで、

 中央の川が勇者トロンとその妻ライカの銅像を囲んで、

 そのまま広場を横断する作りになっているのだが、

 そこに村の大人たちの半分は集まっていた。


 多すぎる気がする。

 とアルトは思った。

 

 確かに100匹ほどいたスライムのほとんどはこの広場に集まっていたが、

 今やこの広場で生きているスライムの数は10数匹だ。

 この数なら、私とライトの二人で十分殲滅出来る。


 実際、今は手持無沙汰の様子な村人がほとんどだ。

 広場からスライムが逃げ出さないように見張っている状態。

 今戦っているのは自分とライトと、数名の村人だけだ。


 ここのスライムは自分とライトに任せてもらって、

 村の大人たちには、5人一組で組んでもらい、

 点在しているスライムの撃退に行ってもらった方がいい。


 自身の判断をすぐに村人に伝えようと、アルトは声を出そうとしたが、



 「皆さん!皆さんのご協力のおかげで、

 この広場にいたスライムはほとんど退治出来ました。

 しかし、まだ村の中には多数のスライムがいます。

 この広場のスライムは僕とアルトに任せて、

 皆さんは村の中のスライム退治に向かってください。

 一人で行かないように!

 気配探知の出来る人と、5人一組で組んで向かってください。

 ブロム!!」  


 勇者ライトは、広場の中で戦っていた巨大な鎚を持つ大男の名前を呼んだ。

 

 「君が代表でチームを作ってくれ。

 気配探知と魔法と力をバランスよく。

 任せた!!」


 そう言うと、勇者ライト目の前にいた2匹のスライムを一刀でコマ切れにした。


 「ちっ……分かったよ!!」


 舌打ちをしながら、土を纏わせた鎚を目の前の弱ったスライムに叩きつけるブロム。

 村の中でも一番の力持ちの男の攻撃に、スライムの体は弾け絶命した。



 成長したな、とアルトは勇者と呼ばれる少年の勇姿を見て胸が熱くなるのを感じた。

 

 つい最近までいじめられていたブロムに、命令出来るようになるなんて。


 勇者の座を得てから、心身ともに飛躍的な成長を見せるライトを、

 幼い頃から兄のように叱り、姉のように支えてきたアルトは、

 心の中に嬉しさと真逆の心が同居している事に、少し戸惑っていた。


 コレが男が成長するという事なんだけど、やっぱり、ちょっと


 さびしい……かな。


 感傷に浸るアルトの背後から大きな口を開けて襲いかかるスライム。


 アルトはその姿を見ることもせずに一回転して、スライムを切り裂いた。


 切り裂いて、少し疑問を感じる。


 あれ?さっき広場の様子を見たときに、ここにスライムはいたかな?


 少し迷ったが、見落としていたのだろうと思い、広場のスライム退治を続けるアルト。


 ブロムは村のガキ大将だった経験を活かして、

 手早く村人たちを5人組みと広場の監視に分けると、

 すぐに村に点在するスライム退治に向かって行った。

 


 



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