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「アトモスフィア」 佐藤健志 短編集 作者:佐藤 健志
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名付けるならば、たとえばそれは映画館

くるくるくるくる

まわる、まわる。

くるくるくるくる

まわる、まわる。

君と、僕が、くるくるまわる。

あたかもそれはメリー・ゴー・ラウンドのように。


君と、僕。
一緒にまわりはじめてどれだけになるだろう。何周回ったかなんておぼえてないよね。
君と僕と、仲間と、それから。

一緒に回ってたなんてだれも気づかないよね。気づかなくても僕らはまわる。

一周まわせば百万遍のお経を唱えた、なんていう君と行ったお寺のマニ車より、もっと僕らは回っているんだ。


それはね、気づいたもの勝ち。


君と僕。
回り始めてもう何十年も経つんだね。
一人でまわっていた時よりも、君と一緒にまわり出してからの方がずっと楽しかったよ。
毎日が夢のようだった。

庭付きの家を買って、鳥の巣になるように真ん中の木に小さな台をつけたりしてさ。
小鳥の雛が巣立つ頃に生まれた僕らの子供はもうこんなに大きくなった。

大きくなって、孫ができて。みんなよく遊びにきてくれたね。

戦争があって、何人かの孫はは失ってしまったけれども。

みんなとたくさん回ったね。



僕はずっと幸せだったよ。

地球って宇宙船にのって、地軸を中心に何周もまわって、
おひさまを中心に何度も回って。

僕は先に船を降りることになったけど、君はもうしばらくこの船に乗っていてね。


今、僕の中でもう一つ何かが回ってるよ。

名付けるならばそれは映画館。


走馬灯という名の映画館。


くるくるくるくる

まわる、まわる。


君と、僕との思い出が。


上映時間はもうすぐ終わり。


続きは君やこどもたち、そのまたずーっと子どもたちが紡いでいってくれるのだろうけれど。
僕の上映時間はあと少し。


ありがとうね。
たくさん、ありがとうね。

くるくるくるくる


みんなと一緒にくるくる回ることができて

僕はとても幸せだ。


上映時間が終わるまであと少し。一緒に回っていようね。



君の涙が、キラリと光った。



             お題「名付けるならばそれは映画館」
お題は「名付けるならば映画館」でした。
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