挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
「アトモスフィア」 佐藤健志 短編集 作者:佐藤 健志
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

18/50

17 女神様のいたずら


彼女が財産目当てだってのは最初からわかってた。
かまわないんだ、それでも。
僕が彼女を大切に思ってることは確かなんだから。

誰かが言ってた。
人の見目形も、財産も、持って生まれた個性なんだから、とやかく言われる筋合いはない。
いかに自分自身を理解しているか、誇りを持って生きているか、それが大切だと。
だからお前がいわゆるイケメンであっても、財産があっても落ち込むことなんてない。
周りを信用出来ないかもしれない。
損得だけで寄ってくる輩だって多いだろう。
だからといって自分を見失うな。
お前の信じる道をゆけ。


もう、顔も覚えていない誰か。あの頃は僕自身、どうやって生きていたのかかあまり記憶がない。ただすべてが恐ろしくて、外界へ足を踏み出すこともできなかった。

僕の信じる道ってなんだろう。
随分考えたよ。

そして1つだけ、見つかった。
自分が大切に思う人たちのために生きること。
それが理由で、いいではないか。

僕はまた、歩み出すことができた。


彼女が財産目当てだろうと、僕は彼女のために生きよう。
それでいいんだ、と信じている。





わたしには誉められるものなどなにもないわ。
美人でもなんでもないし、賢くもない。
運動神経だって10人並だし、料理だって最低限のものしか作れない。
そんなわたしがあの人を好きになったって、恋が実るわけがない。
だから強がってた。
あの人の財産のためなら、きっとなんでもできる。
お金という魅力はこの世で最強。自分を偽ることができる。
偽ってたってなんの罪もない。人間はお金には弱いんだから。
それに……それに、振られたって別にかまわないんだから。
お金だけが目当てだったんだから。
あの人のことなんて本当はどうだっていいんだから。

あの人自身に魅力なんてないんだから。
どうだっていいんだから。
お金がなかったら、あの人なんて。


ほんとは違うのに。

あの人が無一文でも、どんな不細工でも、
わたし、きっと好きになってた。
照れたように微笑む、あのくしゃっとした表情が、
道行く野良猫に、誰にも気づかれないようそっと挨拶してるとこや、
目の前に降りてきた蜘蛛ににっこりわらって、そしてやっぱり他の人にわからないよう、
小さく手を振ってるとこや(挨拶してるんだと思う)。

三日月を見て、「月が笑ってる」って呟いて、後で恥ずかしくなって一人で真っ赤になってるところとか。。

わたしはそんな彼が大好きなんだもの。



二人とも、わざわざの演技。
女神様にはお見通し。
二人の上で呆れた顔で足をながめてる。
見え透いた二人の嘘に、女神様はいたずら心。
二人のハートと未来を、赤いリボンでギュッと結ぶ。
決して離れないように。

女神様は満足そうに頷いた。
明日もどうぞ、お楽しみに。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ