6章 暗殺とアルカト
タケオが民家の屋根の上で身を潜めてから数時間後、王城からは合戦の音がなくなっていた。
コエンザ軍が負けたのである。
さらにウジワール軍本隊がコエンザ王都に入城する。
それを住民達は、締め切った家の外にウジワール教旗を掲げて、音もなく祝った。
観衆が一人もいない中、ウジワール本隊は隊列を一切乱すことなく、大通りを進んでいく。
奴隷兵の隊が猛々しい獣のような威容と評するならば、ウジワール本隊は粛々として精練された強さがあった。
もっともそれは、今街を行く千余騎からなるウジワールの精兵だけのこと。
外に待機している数万のウジワール・ベルスニア混成軍においては、その限りではない。
そんなウジワールの隊容を、タケオは息を潜めて観察していた。
その顔が真っ黒なのは、顔を知られぬために、煙突の煤で変装したからである。
タケオの眼下を進むウジワール軍。
その中程には金であしらえた豪著な馬車があった。
タケオの目はそれを捉えていた。
そして、タケオは一迅の風となって飛び出していく。
風を何者も捉えられぬよう、タケオの動きは誰にも捉えられはしない。
兵士達が気づいた時には、既にタケオは幾人もの命を断ち、隊列の中腹にまで食い込んでいた。
タケオの絶倫の剣が煌めく度に、必ず誰かが死んだ。
ウジワール軍への警告は、死に様の叫声であった。
金色の馬車の横、教皇を守護する聖光騎士団の隊長は、軍の異変に気づくと直ぐ様下知を放つ。
「敵襲! 迎撃準びっ!?」
――が、遅い。
言葉を発しきる前に、隊長の首には孔が空いていた。
一分も経たない間。
しかし、既にタケオが生み出した屍は、二十を超えている。
隊が隊として機能する前に教皇の命を断つ。
それを目標とし、またそれを為すだけの強さがタケオにはあった。
ウジワール軍にとって惜しむらくは、入城行進が観兵の意をもって行われたこと。
皆が前を見て隊列を揃える軍など、タケオにとっては歩く案山子でしかない。
ウジワール軍は、周囲への警戒よりも民衆にウジワールの威風を示さんとしたことが、逆に仇となったのである。
そして現在、タケオの前には金色の馬車があった。
車輪を含めた車台部分こそ大きいが、その上にある箱型の座席はとても小さい。
窓を塞ぐものは赤色のカーテンであり、タケオはそれを外側から引きちぎると、中にいる者を無理矢理に引きずり出した。
銀色の髪、黒い目、白い肌、さらに白地に金の刺繍がなされた教皇服。
――教皇である。
「ひっ」
教皇はいきなり目の前に現れたタケオの顔を見て、情けない声を上げた。
「動くなッッ!!」
街全体に響き渡るかのようなタケオの大喝。
止まった馬車を背に、左手で教皇の襟首を掲げてタケオは叫んだ。
「動けば、教皇を殺すぞッッ!!」
それは、脅迫であった。
教皇は真ん前の特等席でそれを受け止めて、またも悲鳴を上げる。
聖光騎士団は動けなかった。
教皇を守護する精兵も、その教皇を人質に取られては木偶に成り下がる他ない。
そしてその間に、タケオは教皇を下ろし、その身体をまさぐった。
無論その間も油断無く、周囲に気を配っている。
――ない。
タケオは教皇の身体を、上半身から下半身までくまなく探していったが、目当てのものは見つからなかった。
「王石はどこだ」
「ひっ、し、し、知りませんっ」
「知らないわけないだろうがっ!」
「ひぃぃ〜」
タケオが尋ねるも、教皇は震えおののくばかりである。
馬車の中にもチラリと目をやるが、それらしい物は何もなかった。
タケオは、クソッと心の中で悪態をついてから考える。
(どうする。ここで教皇を殺――)
しかし思考は中断される。
それは、軍中に動く気配を捉えたからだ。
ダンという大地を踏み抜くような音。
そして、空を大きく飛び、真っ直ぐにタケオへと向かってくる存在。
それは首輪をした黒髪の若い男であった。
タケオは、教皇を盾として眼前に突き出した。
これに際して教皇は、タケオの方を向いているために後ろで何が起きているかはわからず、ただ変わらずに悲鳴をあげるだけである。
そして黒髪の男の剣は、教皇の首ごとタケオへと振り抜かれた。
「――なっ!」
タケオは驚きつつも、それを上体を大きく傾けて躱した。
そして首の無くなった教皇の身体を捨て、右手に持った剣で黒髪の男に斬りかかる。
だが体勢が悪かったせいか、それとも黒髪の男が手練れだったのか、タケオの剣はキンという甲高い音と共に弾かれた。
黒髪の男とタケオとの間に空く、少しばかりの距離。
周囲の兵達からは、タケオと黒髪の男の両方に剣や槍が向けられる。
すると黒髪の男は兵士達に伝えるよう叫んだ。
「今、俺が斬った者は影武者だ! 教皇猊下は別の場所にいらっしゃる!」
しかし、そんなことを言われても、はいそうですかと信用できるはずがない。
依然、聖光騎士団はタケオと黒髪の男の両方に武器を構えていた。
「首を検めろ。その髪はカツラだ」
タケオに油断なく剣を向けたまま、黒い髪の男は言う。
その言葉に、兵士の一人が恐る恐る転がっている教皇の頭をその手に取った。
――黒髪の男の言が真実かどうか。
――教皇は偽物であったかどうか。
それは兵士達の気が逸れる瞬間である。
タケオはその一瞬を利用し、馬車の屋根に飛び移り、さらにそこから大きく跳ねて、縦に並んだ軍列を横に飛び越えた。
そして、さらに今度は建物の屋根へと飛び移って、そのまま屋根づたいに逃げていく。
兵士達が慌てて槍や弓を放つが、それらは民家を傷つけるだけであった。
――下手人が消えた方へと皆の意識が削がれる中、一人の騎士の手には銀色のカツラが握られていた。
タケオは黒い水溜まりを潜り、タケダ商会の私室へと戻った。
そして、煤だらけの顔を拭いながら、タケオは考える。
――失敗した。
教皇はまさかの替え玉、まさに想定外の事態。
加えてこの失敗により、教皇暗殺の難易度はグンと高くなるはずである。
(あの用心深さだ。
教皇は今後、僕が捕まるまでは表に出てこないだろう)
タケオの失策。
それは教皇に、自身を狙う尋常ならざる実力者の存在を教えてしまったことだ。
(どうする……。
このまま手をこまねいていたら、いずれウジワールは南に進軍してしまうぞ)
城へ単身攻め込むか?
それは馬鹿げた話である。
もはや教皇がどこにいるとも知れないのに、わざわざ敵の巣の中に飛び込むなど愚策中の愚策。
遺跡に潜るのとは訳が違う。
そこにいるのは魔物ではなく、高度な知恵を持つ人間や亜人なのだ。
時間をかければ、万を超える兵がタケオ一人を狙い城に雪崩れ込む。
特に亜人の奴隷兵は脅威以外何物でもない。
追い詰められれば、転移術を使って逃げられるが、転移術は一回こっきりの隠し芸のようなもの。
その術の存在が知られれば、対策もある程度可能になってしまう。
タケオとしては、いざという時のために転移術の存在は隠しておきたかった。
(せめて亜人の奴隷兵だけでもいなくなればな……)
一般兵だけが相手ならば、まだなんとかなるかもしれない。
――そう考えながら、タケオは再び黒い水溜まりを潜った。
◇◆
――人生は博打である
これはベントがこれまでの人生で常々考えていたことである。
無論のこと、その勝率は五分ではない。
知恵と努力の分だけその勝率は上がっていく。
しかし、どれだけ努力しようとも決して一には届かない。
だから博打なのだ。
そしてベントは今、大博打の真っ最中であった。
ウジワール軍の襲来。
王都から出撃したコエンザ軍は実にあっさりと破れ、もはや王都で勝利を目指すの不可能に近い。
ベントは考える。
――王都に本拠を置くベント商会はこれからどうなるのか。
ウジワールに尻尾を振る、それもありだ。
だが教会の息のかかった商人が幅をきかせ、今まで積み上げてきたものの多くを失うことになるのは間違いない。
そして、そこから這い上がる確率はどれ程であるか。
勿論、タケダ商会とのコネクションさえあれば、再び返り咲くことも可能かもしれない。
だがタケダ商会の長であるタケオは、このウジワール教の凶行に対し、果たしてどう出るか。
タケオの性格ははっきりいってお人好しである。
そして、身内を何よりも大事にしていた。
そんなタケオが抱えているもの。
奴隷の街、アルカト。
そこに住む多くの亜人達。
しかしウジワールがコエンザを手にすれば、アルカトの住人も奴隷兵となる。
意思を操られ、死ぬまで傀儡となるのだ。
タケオという優しい男は一体どうするのだろうか。
長い付き合いだ、何とかしようと必死に動くであろうことは容易に想像がつく。
……いや、もしかしたら三人の家族を連れて逃亡を図る可能性も、微粒子レベルの確率で存在しているかもしれないが。
とにかく、アルカトという要塞都市だ。南にはカシスがあり、さらに南国とは同盟関係にある。
地の利があるのだ。
あとは人が集まり、天の時を待つだけではないか。
王という存在がその一助になるのではないか。
――それならばいっそ、この窮地を利用して一か八かの大博打に打って出てもいいのではないか。
ベントはそう考えたのだ。
「勝てば、商人として類を見ないほどの栄達を得られるだろう。
負ければ何もかも失い、命すらも奪われるかもしれん」
吉と出るか、凶と出るか。
ベント一世一代の大博打である。
幸いベントは一軍に物資を供給する立場にあった。
籠城ともなれば、どれだけの武器や糧食があろうとも満足することはない。
ベントは商会に溜め込んでいた全物資の供出と、さらに徴発するべき商会の情報をもって、兵糧総官より兵糧官の一人として軍議に紛れ込むことに成功した。
そして王に自らの策を進言し、その献策は見事採用されたのであった。
コエンザ王は家族を連れて、密かに城を脱した。
供にはベントを含めた僅かばかりの手勢である。
さらに、王の後を追うように近衛騎士団の半数、数にして千の兵が続く。
城では、近衛騎士団残り千の兵が、王の不在を知らぬままに籠城していた。
やがて、奴隷兵の猛攻に耐えられなくなった頃、城に残る兵は降伏。
その後、ウジワール軍本隊が王都に入城した。
王が南へと逃げたことを知ったウジワール軍であったが、追撃はしなかった。
奴隷兵に休息が必要だったからである。
首輪で意識を支配していようとも、肉体は疲れるのだ。
そして、この間にコエンザ王は体勢を整えるだろうが、ウジワール教国側にもコエンザ各地より諸侯を人質に領軍が集まっていた。
加えて、異種族の徴発も行っている。
ウジワールとコエンザの差は決して埋まらないのだ。
ウジワール軍はしばしの休息の後、ゆるりと南進するのみであった。
荒野を三台の馬車とそれを守る騎馬が、全速力で駆けていた。 ウジワール軍の追撃がないことを知らない、コエンザ王の一行である。
馬を代えた回数はもうかれこれ十数回にも及び、彼らは昼も夜も関係なく、ただひたすらに南を目指していた。
「ベント殿、兵も疲れております! そろそろ休憩した方がよいのでは!」
僅かばかり兵を束ねる隊長がベントに声をかけた。
ベントに『殿』と敬称をつけたのは、その隊長以下今ここにいる兵は、武だけを基準に選ばれた木っ端兵だからである。
もっとも、近衛騎士という選ばれた隊に属する者であり、王への忠誠は確かだ。
ついでに、ベントが怪しい行動をした際には殺せ、と近衛騎士団長から仰せつかっていたりする。
「あともう少しの辛抱です! あともう少しでアルカトに着きます!」
かくいうベントもボロボロであった。
乗馬には多少の心得があったが、あくまでもそれは多少に過ぎない。
下半身は筋肉痛やら、尻の皮膚が捲れていたりやら、おまけに普段鍛えていないため、睡眠を欲する気持ちは兵士の比ではない。
それでも歯を食い縛り手綱を握っているのだ。
要は、たかが商人がこんなに頑張ってるのだから、兵士であるお前らはもっと頑張れよ、ということだ。
兵士にも意地がある。
ベントが休まないと言えば、その指示に従う他はなかった。
そして、さらに半日が過ぎ、遂に一行はアルカトへとやって来た。
「ここがアルカト……」
呆気にとられた様子でポツリと呟く兵士。
その目の前には強大な壁がそびえ立っていた。
兵士だけではない。
王と王の家族も突然緩くなった馬の足に、何事かと窓から顔を出して、その威容に圧倒されている。
ベントは分厚い門の前に立つ兵士に馬を寄せた。
「ベント商会のベントだ。入門を求めたい」
そう言って、ベントが懐から通行証を出す。
門兵はそれを受け取って検めると、「ベント商会、ベント殿!」と大きな声で叫んだ。
すると、遥か上の城壁から「ベント殿、間違いなし!」という声が聞こえてきた。
城壁の上から顔を覗かせるのは、顔を確認する役目を担っている鷲頭の獣人である。
ちなみにこの鷲族、身体が大きく進化するにつれて空を翔ぶことができなくなり、力も他の獣人より弱く、唯一の取り柄は目がいいことだけとなってしまった実に間抜けな種族であった。
閑話休題。
「そちらの方々は?」
「コエンザ王とそのご家族にあらせられる」
門兵の質問に、ベントは何事でもないように答えた。
それがあまりに自然であったため、門兵達は最初、ベントが何を言っているのかわからなかった。
「も、もう一度よろしいか」
「コエンザ王とそのご家族にあらせられる。直ちに開門されたし」
門兵が再び尋ねると、どうも聞き間違いではなかったようである。
ついでに、さらにもう一度だけ尋ねると、今度は神妙な顔で頷かれた。
そして、これに参ったのは門兵だ。
王が来た際の手順なんてのは知らない。
この地には王はおろか貴族すら来たことがないのだから。
(どうしようか……。なにか間違ったことをして打ち首とか嫌だぞ……)
王に対する礼法など知らず、ビクビクと震える門兵。
すると隣からいきなり大声が上がった。
「コエンザ王のおなーりーっ!!
かいもーん!! かいもーん!!」
その救世主はもう一人の門兵であった。
おおっ! とそちらを見るが、その顔は茹でダコのように真っ赤っ赤。
もう一人の門兵も王相手にどうしていいかわからなかったのだ。
しかし、それでは不敬になると思い、街の人形劇を参考に適当に声を上げたのである。
――なんたる勇気! これは己も負けてはいられぬぞ!
そして、臆しているばかりであった門兵も「王様のおなーりー! かいもーん! かいもーん!」と、恥ずかしそうに顔を赤く染めながら叫んだ。
二人の門兵が互いに視線を交わし、目だけで笑いあう。
――俺が、俺達がアルカトの兵士だッッ!!
訳のわからない自信がそこにはあった。
ギギギと分厚い金属の両扉が開く。
何やら大声で叫びまくっている兵士を無視して、コエンザ王一行は門を潜った。
すると騒ぎを聞き付けた警備隊長が出迎えに現れる。
その者、獅子頭の獣人であった。
「ど、どうぞこちらへ」
獅子族の警備隊長も、やはり緊張していた。
そして、一番立派な建物である役所に連れてけばいいのだろうかと、おっかなびっくりな様子で王の一行を誘導する。
しかし驚いているのはアルカト側の者ばかりではない。
馬車から顔を覗かせた王や、その家族はひきつった顔をしていた。
――とって食われやしないだろうか。
そんな心中がありありと伝わるような表情である。
王程の貴人となれば、亜人――特に獣人なぞは、本や人の話の中でしか知らぬ存在なのだ。
もっとも、三歳になったばかりの姫だけは、怖いもの知らずというべきか、キャッキャ、キャッキャと楽しそうにしていたが。
「どこへ向かうのですか」
ベントはゆっくりと馬を進めながら、隣を歩く警備隊長へと尋ねた。
「はあ、とりあえず役所がこの街で一番立派ですので、そこに行こうかと」
「ふむ、ではそこに。ところでタケダ会長はいらっしゃいますか?」
「いえ、来ていませんが」
「では、直ちにタケダ商会に使いを出して下さい。私とコエンザ王の名前を出し、早急にアルカトに参るようにと」
「はっ、わかりました」
警備隊長がベントの言うとおりに、部下へ指示を出す。
「それから、役所で睡眠をとれるようにしてもらえませんか?
なに、マットレスとシーツ、掛け布団さえあれば構いません」
「えっと、宿場に案内した方がよかったでしょうか」
「いえ、皆、獣人に慣れていないのです。離れ離れでは安心できないでしょう」
獅子頭の警備隊長は、その凶悪そうな顔を「なるほど」と頷かせた。
アルカトの役所では、二階の町長室を王座の間とし、その階の全ての部屋をコエンザ王達に開放した。
「亜人の街か。疑っていたわけではないが、実際にこの目で見ると驚かざるをえんな」
町長室で町長の席に座りながら王が言う。
「じきにこの街を統括していた者がやってくるでしょう」
ベントの言葉にふむ、と王が頷いた。
「使いを送る。紙とペンを持て」
その王の言葉に、ここにいるようベントに言われた町長がチロチロと周りに視線を配らせる。
そして誰も動かないところを見ると、失礼しますと王に近寄った。
「机の中にございますので」
町長が一言断ると、王は、うむと頷いて椅子を引く。
その隙間から、町長は身体を入れて紙とペンを取り出した。
ちなみに町長も獣人であるが、ここまでのやり取りの間、兵士達が剣の柄に手をやることはなかった。
頭の良さだけで今の任についた町長。
見た目は子犬であり、とてもかわいらしい姿を王達に振り撒いていたからである。
閑話休題。
王が差し出されたペンと羊皮紙を使い、スラスラと文章を書いていく。
『王都にて大乱あり
西より来る賊名はウジワール教国
余は、アルカトに居たりて、これを討伐せん
カシス候は直ぐに王旗の下に参りて、共に賊軍を討たんとすべし
諸侯は合して、王の敵を討つものなり』
最後の一文は、カシスが王の敵となるか否かを暗に問うたものである。
コエンザ王は手紙を書き終えると、最後に己の名と指輪印象を捺し、加えて封蝋にも同様に捺印した。
そしてさらにもう一枚、南国へ援軍を要請する書をしたためると、兵士二人にそれを渡す。
「使者の役目、しかと頼んだぞ。辛いとは思うが、もう少しだけ頑張ってくれ」
カシス以外の諸侯、南国以外の国々には城を出る際に、既に使者を出している。
アルカトの南にある地については、全速で移動してきたコエンザ王が今ここで使者を出すのが一番速いというわけだ。
こうして、休むこともできない二人の可哀想な兵士が、南へと向かった。
数日後、後続の近衛兵が千名がアルカトに到着。
さらにカシスからは、大量の軍事物資がカシス領主の使者と共に運び込まれるのだった。