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雨の日は稼ぎどき

作者:風富来人
 俺の勤める会社の社長がテレビの経済番組にゲスト出演することになった。
「今夜のドンブラコ御殿は、東京都市圏でのリサイクル傘の販売・レンタルで年商十一億円を実現されている株式会社古傘本舗の社長、雨宮幸三さんをゲストにお招きしました」
 実力派女優の女性司会者が社長を紹介した。
「雨宮さん、この傘を一本三百円で販売されているというのは本当ですか?」
 有名作家の男性司会者が高級そうな傘を一本手に取り質問した。
「はい、本当です。レンタルの場合は実質百円でご利用いただけます」
「この傘が百円で借りられるんですか?」
「はい」
 雨宮社長の答えを聞いた男性司会者は驚きの表情を見せた。
「ビジネスの仕組みをお伺いしたら驚くことばかりだったのですが、まず、商品であるリサイクル傘の入手にほとんど元手がかかっていないそうですね?」
 続いて女性司会者が質問した。
「はい。弊社で取り扱っているリサイクル傘は元々電車に置き忘れられた傘です。鉄道会社での保管後、警察での管理期間を経過して所有権が鉄道会社に移ったものを安価で売ってもらっています」
「次に販売形態なのですが、古傘本舗さんはお店を持っていないそうですね?」
「はい。リサイクル傘は鉄道会社の駅のコンビニエンスストアに置かせてもらっています。お店への傘の搬入は、その他のコンビニエンスストアに搬入する商品と一緒に搬入してもらっています。傘の販売価格はどんな傘でも一律三百円で、レンタルの場合も一律三百円です」
「先ほどレンタルの場合は実質百円で借りられるとおっしゃっていましたが?」
 男性司会者が質問した。
「傘を返却していただいた際に鉄道会社の発行しているカードに二百ポイントのポイントを還元しています。傘の返却は鉄道会社の駅のコンビニエンスストアであればどこで返却していただいてもかまいません」
「なるほど。でも、その価格設定でビジネスとして成立するとは思えないんだけどなぁ」
 男性司会者は雨宮社長に疑問を投げかけた。
「インターネットの調査によると四人に一人の方が傘を持ち歩かないで外出するそうです。弊社ではその傘を持ち歩かないで外出する方を顧客ターゲットとしています。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県の東京都市圏の人口は約三千七百万人と言われています。単純計算すると約九百二十五万人の需要があると言えます。傘を持ち歩かないで外出する方が全員外出することはありえませんが、もしそのようなことがあった場合、傘をレンタルしていただくと一日で九億二千五百万円の売り上げが見込めます。まぁ捕らぬ狸の皮算用ですけどね」
「それはすごい。雨の日は稼ぎどきというわけですね」
「はい」
「二〇一四年の降水日数を調査した結果によりますと、降水日数の全国平均は百二十日とのことで、一年間のうち約三分の一が雨の日ですが、雨の降らない日は商売にならないのではないですか?」
 女性司会者が質問した。
「雨の降らない日は女性の方向けに日傘の販売・レンタルを行っています。最近では日傘は一年中使用されていますし、日傘は日中しか使わないのでレンタルされるお客様が多いです。販売面で売れ行きが良いのは晴雨兼用傘です」
「私は晴雨兼用傘を毎日持ち歩いているのですが、結構かさばって困っているんです。使いたい日にレンタルできるのはうれしいですね」
「雨宮さん、御社では変わった人事採用をされているそうですね。名前に『雨』が含まれている方を積極的に採用されていると伺いましたがそれは本当ですか?」
「はい。名前に『雨』が含まれている方なら年齢、経歴を問わず即採用しています。その他には自称雨男、雨女の方ですかね。弊社は雨が降らないと商売になりませんから」
「ここまでのお話を聞いていると販売・レンタルに関してほとんど手間がかかっていないように思うのですが普段はどのようなお仕事をされているんですか?」
「雨乞いです。弊社では最も重要な仕事です。今日は雨乞いの成果があったようです」
 雨宮社長の答えを聞いて男性司会者も女性司会者もあっけにとられていた。
「お、お別れのお時間となりました。今夜のゲストは株式会社古傘本舗社長、雨宮幸三さんでした」
 女性司会者はあっけにとられつつ締めの挨拶をして番組の放送は終了した。

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