第四十五話 本選開始
第三者視点
「失礼しまーす。」
ネギと小太郎、明日菜と刹那が選手控え室に入る。
神社の一室を使った選手控え室、その中には表の人間でありながら達人の域に達する猛者や裏の世界でも名の知れた強者が無言で戦いを待っていた。
その場違いとも言えるような空間に息をのむ子供達。
「よく来たね、ネギ君」
そんなネギ達を出迎えたのはネギの幼少時代からの友人、タカミチだった。
学園内でも裏の世界でも広く知られるその男は、比較的温厚に、しかし後の戦いに心震わせながらネギに話しかける。
「今日ようやく君の成長が見られるよ。」
タカミチはニッと笑う、自身の仲間であり、憧れであり、高い壁だったナギの息子の成長がとうとう見られる。そんな心情も兼ね備えていた。
「僕、今日は頑張るよ、だから・・・・手加減はしないでね」
ネギの背後で小太郎は頷く。
「後はシンさんだけですね。」
刹那の声で、ネギ達は部屋を見わたす、確かにシンの姿はない。
そして狙い澄ましたようなタイミングでガラガラガラとネギの後ろの扉が開く。
そこから入ってきたのは最後の選手、シンだった。
「シ!・・・・・・・・シンさん?」
刹那は一瞬、顔に喜びが現れるが、すぐにその笑みが消える。
それは他の者も同じだった。
今のシンの目にはいつもの慈悲深く、優しい光は無かった、シンの目にあるのはギラギラと光るケモノの目、闘争本能が埋め尽くす双眸は刹那や真名に恐怖を与える。
「ヨォ刹那、・・・・・あ~~~あとタカミチ」
シ ンは口を開け、チョイチョイとタカミチを手招きする、普通の人が聞いたら何も感じないだろう、しかし今まで側にいた刹那や真名、長年仲間として戦争を切り抜けたタカミチはその言霊に込められた感情、今にも言霊からあふれ出しそうな感情を感じとった。
「今日の戦いさ、超の事とか二人に任せるわ、どうせソッチも加味して大会に出たんだろ?」
「え?ど、どういう事ですか?」
タカミチは焦り気味で言う、あの紅き翼でも比較的平和なシンがそんなことを言うからだ。
「俺はさ、今日戦うために来たワケ、だからソッチ方面は任せるって。」
シンは魔法使いの使命などを完全に放棄した、それが魔法使いとして知名度、実力ともにトップクラスの英雄の口から出たことは二人の心を大きく揺らした。
「シンさん・・・・」
そこにいるのは神父ではなかった。ただ戦闘者、戦うことに生を見い出し、悦楽する者。
「さぁ!全員揃いましたね!これより本選の説明を始めます!」
異質な空気を残したまま、場は本選に移る。
「それでは第一試合!佐倉愛衣選手と村上小太郎選手、FIGHT!」
第一試合は結論から言えば戦いはすぐについた。
佐倉はアーティファクトを取り出すが、小太郎は瞬動術で佐倉の懐に入り、拳を作らずに手を振り上げその風圧で場外送りにした。
それは悪魔襲来の時誤って千鶴の肩に傷を付けてしまった故の、無傷での試合の終わらせ方だった。
選手席では
「コタロー君!」
「なかなか優しいわね。」
ネギ達はそれぞれの言葉でコタローの配慮と勝利を讃えていた。
「シンさん何処に行ったんだろう?」
刹那の疑問を除いて。
「シン、あの鈴科百合子という少女。」
クウネルとシンは選手控え室の屋根にいた。
クウネルの存在を知る者は学園長とシン位であり、クウネルがあまり知られたくないとこの場所を選んだ。
「そう言うコト、お前も知っているだろ、アイツは学園都市の能力者だ。」
クウネルはイノチノシヘンでエツァリの人生、学園都市でのグループの日々を垣間見ていた。
クウネルのイノチノシヘンには百合子と非常に酷似した人物が記されていた。
「しかもあの風貌、グループの構成員だった・・・・」
「イヤ、鈴科は一方通行じゃない、アイツは本来不可能と言われた多重能力者っつうのでな、ようは複数の能力を使えると思ってくれればいい。勿論そのなかには一方通行もある。詳しくは勝ったら、だってよ。」
クククと笑いながらシンは控え室の二階にもたれ掛かり答える。
「そうですか・・・・しかし私もナギとの約束があります、そう簡単には負けません。」
クウネルはフードで見えない顔の顎に手を乗せ、何か考える素振りをする。
「自分優先大いに結構、俺は今猛烈に戦いたいんでな。残念ながら初戦はアレだ、準決頼むぞ。」
「変わりましたね、シン」
「ククク、俺もナギやラカンみたいな戦闘狂に毒されたかもな」
(そんなことが・・・・)
シン達が立っている場所の裏、そこには真名と楓がいた。
今のシンは周りが見えていない、二人の存在に気付いているクウネルはシンの変化を探るため黙認している。
(何があったんですか・・・・シンさん。)
「次は私の番ですね、それじゃあ」
「あり得ねえとは思うが、負けんなよ。」
「フフフ、どうでしょうか?」
フッ――――――とクウネルは消えた。
「さぁて、次も俺だし行くか」
シンも屋根から飛び降りた。
「それでは第二試合!FIGHT!」
朝倉の宣言と同時に、楓は身構える。
「さっきの話を聞いていましたね?」
クウネルは構えようとせず二人が辛うじて聞こえる声で話す。
シンの聴力も異常だが、楓の忍者としての聴力も勝とも劣らない、その楓が辛うじて聞こえる声ならばシンも聞き取れない。
「もちろんでござる。」
楓はクウネルに縮地で近づき、正拳突きをくらわせる。
しかし、その正拳突きはクウネルの体をすり抜ける
「む!?」
楓も驚く。そしてバックステップで距離をとる。
「私は友を止めなければ行けません、よって本気で行きます。怪我をしたら私が直しますので。」
クウネルがスゥと手を挙げる、
ドガァァァァァ!と楓を中心に巨大なクレーターが出来る、中心にいる楓の関節は本来曲がらない方に曲がっていたりする。
ように見えた。
「いやぁ~スゴイでござるね~」
「これも魔法でござるか~」
「私がシンさんを止めてもいいのでござろう?」
「と言うわけで、」
「「「「いくでござる!」」」」
クウネルの周りに4体の影分身があった、クレーターの中心には靄のように漂う煙のみ。
影分身はクウネルを中心に四方に拳を喰らわせる。
「「「「四つ身分身 朧十字!!」」」」
ズガァァァァ!ステージに十字の跡が残る、しかしクウネルには外傷がない。
(手応えがない!?)
ズズズズズとステージを巨大な黒い球体の影が覆う、
「まず――――――グアアアアアア!」
黒い球体、重力の塊が1つずつ、影分身に迫る。
3つの影分身は消え、本体のみが虚空瞬動で何とか逃れる。
しかし、球体はどんどん落ちていき、大量の水飛沫が霧となる。
「その年で虚空瞬動まで、素晴らしい!取っておきたかったのですが仕方がない。」
クウネルは懐から何かを取り出す。
(カード?)
楓は何が来ても反応できるように構える。
「アデアット」
しかし、構えの意味はなかった。クウネルのアーティファクトはイノチノシヘン、人の人生を記し、その者の運動神経と身体的特徴の再現、もう一つはその者の人格、癖、運動神経の完全再生
クウネルはそのうちの前者を使った。
クウネルの外見が変わる、しかし全身を覆う服のせいで観客は誰かは判断できない。
「まずい!」
楓はその人物の雰囲気で判断した、強いと。
十数人の影分身で一斉攻撃をする。
ドガガガガガガ!
しかし、クウネルはほぼ一瞬で倒す。
空中でその内の一体の首をつかんでいる。
「――――――――――――」
何かを話す。
そのまま、ボロボロのステージに降り立ち、
「私の負けでござる。」
朝倉にこう言った。
「第二試合は!クウネルサンダースの勝利です。」
ワァァァァァ!と歓声が上がる、一試合目に比べ、二試合目の迫力は映画顔負けだったこともありその音量はすさまじい。
「シンさんは任せるでござる。」
「ええ、それと私と彼のことと鈴科さんの事は内密に、そのことを知ったネギ君達が何をするか分からないので。」
「アイアイ、龍宮にも言っておくでござる。」
二人はステージを降りた。
(ウッハァ!!クウネル汚っねぇ)
「第二試合は白熱した試合でしたァァァァァ!第三試合はどうなるのか!・・・なおステージの損傷がひどいので十五分ほど休憩にします!古選手などのプロマイドは入り口で販売しております!」
商魂たくましい朝倉の司会で場はいったん落ち着く。
「十五分後は第三試合!シン・F・ハント選手と中村達也選手の試合です!」
(ハァ~~~~、タリィ)
ナニカが動き出すまで、あと十五分。
どうも北中津です。
本選がとうとう本選始まりました、戦闘シーンは相も変わらず拙く申し訳ありません。
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