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更新が滞り申し訳ありません。
今回は非常に長いです。
第三十四話 闇
 第三者視点

 日が昇り、空も明るくなってきた。
 世界樹のステージには二人の魔術師、ステージの端には魔法使いとその仲間達がいる。誰もが動こうとせず、停滞が場を支配する。

 その支配から逃れた者が一人

 「僕にはまだ攻撃手段が残っていますよ。」

 それに続くように他の者は、地面に突き刺さって深く抉られたメイスを見る。

 「月ウサギ、嘗て神々は月にウサギを投げることによって明るすぎる月の光を弱めた。月ウサギとはそれの応用であり、骨を弾丸にする術式。ああ、安心して下さい、骨は名も無き犯罪者のを使っていますから。」

 海原の周りをシュルルルと巻物が覆い、海原は骨を取り出す。

 「それを使い何故ネギを殺そうとした!」

 ドガァ!!シンは感卦法・天で殴る、しかし、原典の守護でほとんどダメージはない。

 「貴方なら分かるでしょう!上条当麻と一緒ですよ!」

 海原は骨を投げる、それはシンの腕に当たりゴキィ!!と嫌な音を出す。

 「知っていますよね!僕がグループとしてドラゴンについて調べた事!その後の小さなゴミ掃除で敵が魔術師だった!そいつの術式が暴走してこっちの世界に来た!貴方も一緒でしょう!そこで僕はある組織に拾われた!」

 「ある組織!?」

 「その組織に命令を受け僕はここに来た、組織が魔法世界で行動を起こす時に驚異になる可能性があるシン・ファナリスハントを監視すると言うね、しかしそこで出会った、彼女に似た神楽坂さんを!組織は彼女が介入してくるようなら利用すると言っていた、僕は安心した。一般人の彼女が介入するなどまずあり得ないから!しかしそこで貴様が来た!ネギスプリングフィールド!」

 海原は憎しみがにじみ出る顔で、ネギを睨む、その目には殺意、怒り、嫉妬、のような負の感情が凝縮された危険な光を孕む。

 「貴様が来てから神楽坂さんはどんどんこっち世界に入ってきた!そして先日、あのリョウメンスクナノカミを封印するという大業をしていまい、組織も黙認できなくなった!もうネギスプリングフィールドを殺す以外方法はない!彼女は、御坂さんは彼が守ってくれると言った!しかし貴様は弱い!何時か必ず神楽坂さんに危険が及ぶ、その前に僕はしなければ行けなかった!」

 海原はシンに骨を投げる投げる投げる!

 その弾丸は聖人の力と感卦法・天を持ってしてもすべてかわすことが出来ない。
 そしてそのうちの一つがシンをとらえる。

 「ぐあっ!」

 「シンさん!!」

 シンの足で嫌な音がする、それを聞いた刹那が悲鳴を上げる。
 海原は動きが止まったシンをに近づきながらシンの胴体を狙う、聖人の肉体でも至近距離で喰らえばそこには風穴が開かれるだろう。

 「死ねぇっ!」

 海原は腕を振りかぶる、その手には骨が、

 「ふざけんじゃないわよ!」

 バキ!・・・・誰かの拳が原典の守りを貫通し海原に直撃した。


 
 「私が何時守って欲しいって言ったのよ!!何でネギを殺すなんて方法なんて選ぶのよ!もっと他にあったでしょう、もっと、もっとみんなが笑顔でいられるような方法が!」

 海原を殴った明日菜の目には涙がたまっていた。しかし、彼女は自分の思いを叫ぶ、原典という危険を知っておきながら。

 「僕が裏切れば貴女に危害が及ぶ!それこそあってはいけない、組織は貴女を利用しなくても計画を進められる。だから、このまま平穏な日々を送って欲しかった。」

 魔法無効化能力を持つ明日菜に殴られ、海原の顔には顔に罅が生え、そこから海原光貴ではない、魔術師エツァリの顔が見えていた。

 「私は守ってもらわなくていい!私だって戦える!」

 明日菜はネギの方を向く、しかしその顔は決して嫌悪の顔ではなかった。

 「明日菜・・・・」

 海原は見た、それは嘗て愛した超能力者の少女と同じ目だった。海原は力が抜けたように原典を落とし。

 「ははははは、貴女は何処まで彼女にそっくりなんだ。」

 海原は地面にへたり込み、笑う。

 「・・・そうですね、うん、貴女の言うとおりだ、僕も裏では無く表で守って------」

 ドス! 海原の体から赤い噴水が飛び出した。

 「ガハァッ!」
 
 ドスドスドスと海原の体内から巨大な針が飛び出す。

 海原の口と体からブシュッ!!と血が噴き出し、紅い華が海原を彩る。
 しかし、明日菜はそんなこと意識できない。

 「海原君!」

 明日菜が海原に刺さっている針に触れると針は消えた、しかし針が開けた穴は残る。
 塞いでいた針が無くなった傷からはドクドクと血が噴き出す。

 「私が治療を!」

 木乃香がパクティオーカードを取り出し駆け寄る。
 それに遅れて、みんなも集まる。

 「ダメだ!まだ原典が作用している。武器を持てば原典の力で君が死ぬ。」

 海原は木乃香の手を掴み、アーティファクトを取り出すのを止める。
 しかしそんなことはなかった、海原が原典を手放してこれほどの傷を負った時点で原典の力は無くなっていた。
 海原はそのまま地面に仰向けに倒れ

 「まさか、こんなモノを仕込まれていたとは・・・・目的は果たせなかったし、守りたい人に諭される。まったく、いいことなしだ。」

 海原の顔にはあきらめの色が浮かび。その奥の本当の顔はどこか安らかで、安堵のような色が見える。
それだけでシンが確信するための大きな要因になった。

 「海原光貴、・・・・・・・お前、始めからネギを殺す気など無かったな。」

 シンが言った言葉に、みんなが、特にネギが驚愕する。

 「分かっていましたか」

 「あれだけ隙があってネギを殺さないのはおかしいだろ。それに明日菜の周りの世界にはネギも入っている。」

 ネギはヘルマンとの戦いで満身創痍、周りの者も月ウサギを使えばかわせなかっただろう。
 シンの足をやった時点で殺しにかかっても良かった。

 「ははは、そう・・・僕はネギ君に知って欲しかった、戦いというものを、裏の世界というものを。そして・・・・死というものを。彼は、上条当麻は以前から戦いを知っていた、死と何度も隣り合わせになった。しかし、ネギ君、君は若い。」

 上条当麻はステイルや神裂、三沢塾や一方通行など何度も死と隣り合わせになった、そのたびに乗り越え生還した。しかしネギはエヴァやスクナなどかなりのレベル大きな敵に当たったが、死にはほど遠かった。

 「ネギ君、裏の世界というのは深く、暗い、そのことを知った上で、神楽坂さんを守・・・・いや、神楽坂さんと戦ってくれるか?」

 「はい!」

 ネギは満身創痍の身でよく通る声で答える、その目には決意の光が輝いていた、しかし同時に涙がうかんでいた、それが恐怖なのか、悲しみなのかは分からない。
海原は納得と悔しさが混ざり合った顔になって

 「まったく・・・・・・・彼と同じで最悪の答えだ。
僕はつくづく女運が無いようだ。・・・・シン・ファナリス・ハント、原典は君に預けるよ、この世界で扱えるのは君かあいつ等だけだ、君に預けた方が神楽坂さんは安全だ。」

 海原は石板と皮膚の巻物をシンに渡し、シンはそれを受け取る。
 
 「お前の女を見る目はいいと思うぞ、美琴も明日菜も、ただ本命がいただけだ。」

 「ははは、そうですね、・・・・・・しかし気をつけて下さい。私を拾ってくれた組織には、まだ魔術師は居ます、彼らは強い、恐らく教皇クラスです。それと最後にこれを」

 何を出すかと思うと、海原は魔術とは真逆のディスクを取り出した。

 「僕が学園都市に居た時、裏の世界で集めた情報です。この学園の技術力は異常だ、一部では学園都市に匹敵するほどの物もある・・・気をつけてくれ。ゴホッ!」

 体に幾つも穴が空いている状態で、これほど話せた海原ももう限界のようだ。

 「そろそろ、のようだ、魔術で延命していたがもうこれまでらしい、僕は、海原光貴はここで死ぬ、それじゃあね、ネギ君、シン・ファナリス・ハント、神楽坂・・さ・・ん。」

 ディスクを持っていた手は力なく落ち、海原光貴は目を閉じた。

 「海原君・・・・」

 明日菜の声が、小さな声が、ステージに響いた。
 
 他の者には目に涙を溜めている者もいる。初めて見た死に言葉が出ない者もいる。
 しかし、明日菜以外の声は上がらなかった。

 「みんなは戻れ、もう夜明けだ、それとこのことは他言無用で頼む。」

 シンは立ち上がり言う。顔は俯いており、みんなにはシンがどんな顔をしているかは、分からない。

 他の者は誰からと言うわけでもなく帰っていく。



 そしてステージに残ったのは二人

 一人はシン
 
 「おい、結界は張ったぞ。もう起きろ。」

 シンはもう一人に声をかける。

 「やはり分かってましたか」

 「海原光貴は死んで、アステカの魔術師エツァリは死んでないってことか。」

 もう一人はアステカの魔術師、エツァリだった。

 「ええ、僕は海原光貴ではありません。魔術だけではなく、冥土返しの技術で何とか頑張りましたよ。」
 
 バリバリバリと海原光貴の顔がはがれ落ち、アステカ人の顔が顕わになる。

 「だがその出血、魔術と科学の力でもでもやばくないか?」

 エツァリの腹からはいまだにドクドクと血が溢れている。常人でこの出血量なら既にショック死している。

 「後数分持つか微妙ですよ・・・・・。ゴホッ!治癒魔術、お願いできますか?」

 「分かった、治癒魔術は苦手だが何とか・・・・」

 シンはその肉体故に治癒魔術はあまり使わなかったので、苦手だ。紅き翼時代の時も、アルや詠春にやってもらっていたのでほとんど使わなかった。

 フォン----とエツァリとシンの足下に魔法陣が広がる。

 「これは!」

 「あいつか・・・・エツァリ、治癒のプロのとこ行くぞ。」

 二人は消えた。



 エツァリが目を開けると巨大な木の根が天井を占め、地下なのに何故か明るく広い場所に出た。

 「シン、そしてアステカの魔術師、エツァリさんでしたか?お二人の戦いは見せて頂きました。私はクウネル・サンダース、エツァリさんの治癒は私がやりましょう。」

 転移した先、そこはクウネルの部屋だった。クウネルの手が、やさしい光に包まれその手を床に寝ているエツァリに添える。

 「ありがとうございます、紅き翼のアルビレオ・イマ、いやクウネルサンダースですか。」

 「彼は正直でいいですね~~シン」

 クウネルは初めからその名で呼ばれ嬉しいのか、上機嫌でシンを見る。

 「へーへーそうですね、・・・・それよりエツァリ、これからどうする?」

 話を本題に戻す。エツァリとクウネルも顔が変わる。

 「僕はまた、裏で頑張りましょうかね、原典もそっちにわたりましたので敵が僕の死体を回収することもないでしょうし。とりあえず貴方専属の情報屋にでもなりましょう。貴方はグループの上司よりはいくらかましですし。」

 エツァリは薄く笑う。シンとクウネルもそれに続くように笑う。

 「あいつらよりはいいだろうな、それじゃあ早速、魔法世界に行ってもらうか。敵はそっちにいるんだろう?」

 「わかりました、今分かっている情報はディスクに入っています。それと・・・・」

 海原は明日菜のためにも懸念していた事を口にする。
 
 「魔術は誰にでも扱えます、原典は必ず誰の手にも渡らないようにして下さい。」

  原則として魔術は誰にでも扱える。扱えないのは上条当麻や明日菜のような魔法無効化能力に準ずる能力を持つ者、超能力者くらいだ。よって超能力者がいないこの世界では魔術は誰にでも扱える。

 「ああ、分かっている。」

 シンは魔術の凶悪さを知っているが故にそう簡単に魔術は教えない、今でも刹那と、シスター組にしか教えていない。

 「さあ、治りました。どうしますか?」

 クウネルは治療が終わったらしく、立ち上がる。あれほどの傷から完治させるにはかなり魔力を使ったらしく、すこし息が上がっている。
 完治したエツァリは立ち上がり、シンとクウネルの二人に向かい合って立つ。

 「ありがとうございました、・・・私はもう出ます。シンさん、ネギ君はああ言いましたがよろしくお願いしますね、クウネルさん外の駅までお願いします。」

 「ええ」

 フォン-----エツァリの足下に魔法陣が広がる。

 「また情報が集まったら連絡します。それでは」

 エツァリは消えた。

 夜は明け、金星はもう見えない、海原光貴は朝日を、光りを迎えられず闇の中で死んだ。
 
 そして魔術師は行く、大切な人のため、再び闇の中を。



どうも北中津です。
海原、シンパーティーに加入です。
魔術サイドの仲間も欲しかったので生存させました。
個人的にも海原は好きなので


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