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第三十三話 トラウィスカルパンテクウトリ
 第三者視点

 「海原君!?」

 全員が戦慄している中、明日菜が魔術師の名前を呼ぶ。
 数ヶ月前まで一般人だった明日菜の口から出るのはおかしな事だった。

 「明日菜、あの人知ってるん?」

 木乃香達はネギと明日菜の元に集まり、木乃香が明日菜に聞く。

 「う、うん、新聞配達のバイト仲間で。」

 「どうも神楽坂さん、ごきげんよう、今度一緒にお茶でもどうですか?」

 海原は明日菜の方を向きホテルマン顔負けの爽やかフェイスで挨拶をする。しかし、真名やエヴァなどの実力者はその笑顔の裏に隠れ蠢く狂気を見抜いていた。

 「海原光貴、麻帆良学園高等部の3年生、いわゆる御曹司で成績は学年トップクラス、新聞配達などのバイトをしています、しかしそのことを鼻にかけず、男女両方に人気があり、魔法関係とは一切関係ありません。魔力も一般人程度です。」

 「しかしさっきのを見る限りこっち側の人間だろう。」

 茶々丸が話す海原の情報聞きながら、降りてくる傍観組。

 「お前の明日菜への態度・・・・・確かに似ているがまさかお前。」

 シンはあることに気付く。それはシンのみが知っている知識故のものだった。

 「いえ、僕が未来永劫愛しているのは御坂さんです。神楽坂さんは・・・・彼女と似て居るんでしょうね、常軌を逸した力を持つ辺りも、厳しくも易しいあの人柄も。」

 「お前が悪魔を手引きしたのか」

 シンは問う、悪魔が的確に動くにはこの学園は広すぎる、必ず手引きした者が居ると目星を付け。

 「ええ、僕は貴方がこの学園に来たという情報を手に入れた上司の命令でこの学園に侵入しました。しかし、命令は貴方の監視だけではありません。ネギスプリングフィールド、貴方が来てから命令の追加があった。ネギスプリングフィールドとその従者の神楽坂明日菜の監視がね、しかし神楽坂さんを見て思った。彼女と一緒だと。」

 海原はネギと明日菜を見ながら語る。

 「待て、貴様は6年前からいたと情報にはある。シンが来たのは去年の秋だ。」

 エヴァが情報との矛盾点を指摘した。
 茶々丸は麻帆良学園の技術が凝縮されたガイノイド、その茶々丸のデータに誤りがあるとはエヴァには思えなかった。

 「ええ、海原光貴は六年前からこの学園にいましたよ。僕の魔術には人の皮膚を符としてその人に成りすますものがあります。ここに海原光貴が居て良かったですよ、並行世界様々ですね。」

 海原は丁寧に答える。しかし、エヴァは最後のひと言を聞いて目を見開く。

 「並行世界だと!!貴様は並行世界から来たとでも言うのか!!?」

 「僕と彼の使う魔法、正式名称は魔術と言うのですが、その魔術とあなた達が知る魔法、違いすぎると思いませんか?無詠唱であの威力、異常なまでの宗教や神話関連、此処まで来ては技術の発祥から違うと思いませんか?魔力の乏しい僕でもあの威力、魔力でも気でもない、地球には第三の力があるからです。」

「第三の力、だと?」

 エヴァは顔をしかめる。
 
 「これ以降は・・・・戦いながら話しましょう!」

 海原は懐から黒曜石のナイフを取り出す。怪しく煌めくそのナイフは全てを破壊する短い槍。

 「逃げろォォォォォォォ!」

 カッ!と不可視の光が走る!
 光はシンに迫るが、その光の恐ろしさを知っていたシンは黒曜石のナイフを見た時点で逃げていた。
 光はシンの修道服のアクセサリーに辺り。

 ジャラジャラジャラと幾つものアクセサリーが分解され落ちる。

 「なんだ!何が起きたんだ!」

 みんな何が起きたか分からない、当人以外には海原が黒曜石のナイフを取り出し、それを見て逃げたシンのアクセサリーがバラバラになるくらいにしか見えなかった。

 「みんな!物陰に隠れろ!あの黒曜石のナイフで反射した金星の光に触れるな!死ぬぞ!」

 みんな蜘蛛の子を散らしたように物陰に隠れる。

 「ははは、やっぱり知ってたね、そう、この魔術はトラウィスカルパンテクウトリの槍、槍に模した黒曜石のナイフに反射した光に触れた物は・・・ほら」

 海原が黒曜石を動かし、近くに止まっていた車に当てる。

 ガシャガシャンバキ、と車がねじ一本のレベルまで分解される。車がもしも自分だったら・・・・・
そう考えた者の額に一筋の汗が走る。

 「そうだ!トラウィスカルパンテクウトリというのはアステカの金星と災厄を司る破壊神です!」

 のどかが自分の知識の海から取り出した知識を叫ぶ。それを聞いたエヴァは納得し

 「魔術の異常な宗教や神話関連、シンが言っていたアステカの魔術師とはそう言うことか」

 「金星の光なんてどうすればいいのよ!」

 確かに不可視の光をかわせと言われても出来ない要望だ

 「真名!土曜の弾丸で海原の位置を把握!茶々丸はそれから光の反射を計算してくれ!」

 「「わかった(わかりました)!」」

 物陰に隠れていた真名の拳銃からバシュッ!と索敵弾が放たれる。

 「シンさん!右によけて!次は足下!」
 
 真名のモニターを見る茶々丸の計算で、シンはトラウィスカルパンテクウトリの槍をかわす。

 「そんなところにあったらダメですよ!」

 海原は黒曜石のナイフを掲げる、すると索敵弾がバラバラに分解される。しかし高く掲げたその黒曜石のナイフは一瞬の大きな隙を産む。

 「はああああああ!」

 シンは咸卦法・天の状態で海原に突っ込む。そのスピードはすさまじく、シンの全身を覆う光は閃光と化す。

 「甘い!」

 海原は手首を器用に動かしシンに反射光を当てようとした。
 
 そう、当てようとしただけだった。

 「???なぜだ!なぜ分解されない!?角度は完璧だし、ナイフに曇りもない!」

 海原は動揺する、目の前まで迫っている敵も忘れ。

「お前には不備は無かったよ。」

 ドン!シンの蹴りが海原を吹き飛ばす。海原は数メートル吹き飛ばされ、ボロぞうきんのようにぴくりとも動かない。

 「種はこれだ。」咸卦法

 シンが足下を指さすと、そこには何十枚のルーンのカードが落ちていた。

 「答えは蜃気楼、光を曲げて反射光を曲げたんだ。」

 それはステイルが三沢塾で使用した方法だった。しかしこの場でそれを知る者はいない。

 「なるほど、・・さすがは神の右席。しかし、僕の手札がそれだけだと思ってはいないでしょう?」

 海原は立ち上がる、その動作には全くダメージが見られない。

 その片手には、獣の皮膚で作った巻物があった。

 「何であんなにピンピンしてるんや!」

 小太郎が叫ぶ。聖人と咸卦法の力を合わせた一撃を喰らって全くダメージが見られないというのはおかしい。海原はハハハと爽やかに笑い、立ち上がる。

 「生と死に関する時間に関する暦石か!」

 「ご名答、原典の迎撃術式だ、聖人でもそう簡単には破れない。それにナイフは破壊しておくべきだったね!」

 海原は黒曜石のナイフを取り出す。

 パリィィン!黒曜石のナイフは粉々になる。

「ご忠告ありがとう。」

 声の主は真名、金曜の弾丸で黒曜石のナイフを狙撃した。
 しかし驚愕するのは海原ではない、シンだった。

 「お前ら!真名を取り押さえろ!」

 「「「へ?」」」

 みんなの声がシンクロする、まさに異口同音。

 みんながあっけにとられていると

「何してるでござるか真名!」

 いつもののんびりしている声とは違う、何か焦りと驚きが混じる声が上がった。見ると、米神に銃口を当てている真名と、それを必死に止めている楓が居た。

 「何してるの龍宮さん!」「何をしている龍宮真名!」
 みんなが必死に取り押さえる。そして何とか銃を引きはがす、すると真名の動きは止まり。

 「ハァー、ハァー」

 「みんなも武器を捨てろ!あいつの持っている巻物は武器を持つ者を自殺させる術式だ!」

 「どんな術式だ!」

 みんなアーティファクトや杖を手放す、真名はトラウマになったのか何十丁もの銃を涙目で出している。

 「何処にそんなに・・・・」

 「攻撃手段はまだあります、君も言っていたでしょう。」

 海原は不敵な笑みをして、懐から石板を取り出す。その石板は初め、ネギを殺す時に使ったモノと同じだった。


 海原には二つの原典、シンには感卦法・天と聖人の力のみで魔術は使えない。

 しかし、戦いは加速する。

最近迷走している北中津です。
海原戦始まりました、魔術ってほとんど即死系だから(槍とか炎剣とか小麦粉ギロチンとか・・・・)戦闘描写が難しいです。
しかし駄文なりに頑張ってみました。


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