第二十八話 帰還
第三者視点
「ここがナギの日本での拠点です。ずっと使ってないから汚れているかも知れませんが。」
詠春とシン、そして真名を加えたネギ一行はナギの日本での拠点に来ていた。
京都にあるにしては洋風の建物で、手入れされず生い茂っている木々の隙間からは天体観測用の望遠鏡が見える。
「ここが父さんの・・・・皆さん!行きましょう!」
ネギは憧れの存在である父の拠点ということで、教師と言うことも忘れてはしゃいで入っていきみんなもそれについていく。
「す、すごい本・・・・」
入ると4メートルほどある本棚に詰まった本がみんなを出迎える。のどかや夕絵などの図書委員は感激し一目散に走っていく。しかし本はギリシャ語やラテン語など中学生には難解な文字の本ばかりで読めないようだ。
「アニキ、何か手がかりはあったかい!?」
「う~ん、これと言ってないな」
みんなは別々に家を見て回り、ネギはナギの実験室のような部屋にいる。日記や実験のレポートなどを読んでいるがナギの消息を記す物は見つからないらしい。
「ネギ!此処以外はあらかた見て回ったわよ、私たちだから見落としがあるかも知れないけど、何もなかったわ。」
明日菜を筆頭にのどかや刹那など魔法関係者が入ってくる、夕映やハルナなどはまだ本を読んでいるようだ。ナギの手がかりは見つから無かったらしい。
「あれ~、これってお父様?」
木乃香が見つけたのはフラスコや書類に紛れて立てられた写真。二十年前、大戦が終結した時に撮った写真だった。
「おや、これは懐かしいですね、真ん中がナギ、その隣に私と逆側にシンですね。」
写真には15歳のナギ、若りし頃の詠春、全く老化現象が見られないシンが写っていた。
「お父様若~い、でもシンさんは年取っていないな~」
確かにそうだ、今のシンと写真のシン、しわ一つ増えていない。みんなも写真と本人を何度も見比べる。
「そうじろじろ見るな、別にいいだろ。こっちの世界には人間より長命なんてごろごろいる。王族から人間じゃなかったしな。」
「フ、ヘラスとウェスペルタニアのことか確かにあの二つの一族は人間とは違うな。」
詠春とシン、そして魔法には精通しているが魔法世界にはあまり行ったことがない真名以外に魔法世界について知っているエヴァが気付いた。
ヘラス帝国は亜人が多くいる国で、その王族も亜人でありテオドラがこれに当たる。今は無きウェスペルタニアは人間が多かったがその王族は創造神の末裔と呼ばれており代々異能を持っている。これにはアスナが当たる。
「・・・・・・・」
「どうかしたんですか明日菜さん?」
さっきから何も話さず、何か考え込んでいるように見える明日菜に隣にいた刹那は声をかける。
いつも騒がしい明日菜が黙り込んだらさすがに不審がったようだ。
「え!?い、いやちょっと・・・・この写真始めて見た気がしなくて、それにそのウェ、ウェス、ウェスペルタニア?それって・・・」
「そ!それよりシン!長命と言えば彼女も!」
詠春は強引に話を変えようとする、明日菜の記憶が戻りかけているからだろう。
記憶を消しても、小さなきっかけで戻るかも知れない
「あ、ああ!テオドラのことか!確かにアイツは長命だな!」
シンも焦って話を合わす、しかし何故この話題だ、と詠春を睨む。
「テオドラだと??・・・お前それってヘラスの第三皇女じゃないのか!何でお前がそんな奴と、しかもアイツってなんだアイツって!」
エヴァは気付いたようでシンにつかみかかる、しかしこの中にいる大半の者は事の重大さに気付いていない。
「いやエヴァ、これでも俺は紅き翼だぞ。テオドラとは大戦の時に知り合ってそれからの付き合いだ。」
シンはエヴァをどかして話す。エヴァはあ!という顔をして納得。
「へぇ・・・・」
「そうなんですか・・・」
「そうなんか~・・・」
しかし、女達の目は危険な光を孕む。
「そう言えば紅き翼って英雄いうけど、思ったより少ないのねもっといるかと思ったわ。」
明日菜はさっきの疑問を忘れたのか、新たな疑問を口にする。確かに英雄の集団でも10人にも満たない人数だ、普通は戦争を生き抜けない
「紅き翼とは言い換えれば旅をしていたナギについてきた集団ですから、ナギと戦ったり手を組んだりしてナギを気に入った人が集まったんです。確かシンが最初の仲間でしたよね。」
明日菜はへぇ~と感心している。
手を組んだりしたのは詠春やアル、戦ったのはラカンだ、ゼクトやシンはそのどちらでもない。
「俺はナギが魔法学校時代から知り合いだった。始めてあったのはアイツが果物屋でいたずらした時に俺がたたきつぶしたんだ。それからはよくナギは村の教会に来たな、それで布教活動も兼ねてナギと旅に出たんだ。」
ナギは英雄などと言われるが元々不良だ、そんなナギとシンの関係は悪ガキと先生の様な関係だった。
英雄がいたずら?とほとんどの人は首をかしげるが、詠春、エヴァは光景が簡単に浮かんだようだ。
「それよりネギ君、・・・・・・・・何も見つからんかったな。」
木乃香はオオズレしていた話を元に戻したが、空気が一気に冷める。
エヴァも心なしか残念がっているようだ。
「大丈夫です!・・・確かに何も見つかりませんでしたが、父さんのことがたくさん知ることが出来ました。それに、ここの物をいくつか持って行って、学園で調べたいと思います。」
ネギは思いの外落ち込んでいなかった、僅かに見えた希望をつかんでいた。
みんなもネギの言葉に頷く。
「みんなー!記念写真とろうよ!」
そこに今まで他の所にいた者も集まる。
「「「ハイ!チーズ!」」」
その希望は小さいかもしれない、しかしネギにとっては大きい手がかりであり、新たなスタートでもあった。
「みんな新幹線に乗ってくださーい!」
場所は京都駅、ワイワイガヤガヤと各クラスの生徒が新幹線に乗る。
その中にはシンの姿もあった。
「楽しかったねー」「ククク、写真、高く売れそう」「来週から学校かー」
生徒の中には思い出を語り合う者、来週からまた始まる日常にうんざりする者、不純すぎる理由で喜ぶ者と様々だが。
3-Aの新幹線の車両、その最後尾にひときわ異質なオーラを放つ席が・・・
「さて、大帝国のお姫様と仲がよろしいシンさん。話を聞かせてもらおうか・・・・」
シンの逃げ道をふさぐように木乃香が隣に座り、前には真名と刹那がシンに問いただす。
「な、何を「「「そのテオドラって人との関係だ(です)(や)!!」」」あ、ああ」
「ちょっと何アレ!もしかして修羅場って奴?」「木乃香と桜咲さんと龍宮さんが」
「ククク、いい気味だ」「シスターシャークティが聞いたら・・・」
周りがこそこそと話すが三人には聞こえていない。
シンは周りに気付いてまずくないかと思いながらもテオドラとの関係を話す。
「と、言うわけだ。俺はテオドラとそんな関係じゃない。」
(どう見る真名?)
(恐らくシンさんが気付いていないだけだ)
(そうやな~シンさんこういうのに鈍感そうやし)
(ということは)
(((四人目がいる)))
3人の心、いや恋心がシンクロした時だった。
「クシュ!・・・・誰かが噂してるのかな~、それにしてもシン、なかなか帰ってこないのじゃ、手紙でも出してみるかの。」
テオドラ本人のあずかり知らぬ所で、参戦。
どうも北中津です。女の戦いテオドラ参戦です。あと明日菜の記憶はちょっと強引だったかも知れません。シンハーレム拡大は話の進み具合で決めたいと思います。
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