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第十一話 ヒートVSゲブラー
「これは一体・・・」

ヒートはただ呆然と目の前に広がる景色を見ていた。

彼は夕食の木の実を採りに小屋から出たのだが・・・そこには多数のポケモン達が倒れている姿があった。

「おい、何があった!?」

ヒートは急いで倒れている一匹のリザードを抱きかかえる。

「ス・・・ライク・・・俺達・・・襲った・・・」

そこまでいうとリザードがヒートの手の中で、気を失った。

「ストライクだと・・」

リザードを近くに生えていた木に寄りかからせると、ヒートは昼に尋ねてきたあの無機質なストライクを思い出していた。

ゲブラーと名乗ったストライクである。

「どうしたんですか!?これは・・」

小屋からフェゴとフェルドが出てくる。

どうやら外の異変に気づいたらしい。

「あの不気味なストライクがやったらしい。・・・フェゴ、フェルド森に行って倒れてる奴らの保護を頼む。・・・体力が無い奴らをここに集めるんだ。一箇所に集めておいたほうが安全だからな」

「師匠は?」

フェゴの問いにヒートが答える。

「俺は・・・アイツをぶっ飛ばしてくる」

ヒートはそう言うと森の中に入っていった。

しばらくヒートが歩いていると、突然赤い一閃がヒートを襲う。

「おっと」

ヒートは素早い身のこなしで避けると、何事かと後ろを振り向く。

そこには・・・あの無機質なストライク、ゲブラーがいた。

ストライク特有の鎌状の刃は通常皮膚が硬化したもののはずであるが・・・ゲブラーのそれは違った。

赤い光が、鎌状の刃の形をなしていたのだ。

レーザーカッター。対象物を焼ききる刃である。

「おいおい・・・ヤバイもん振り回すなよ」

「ワタシはゼーレの命を受け、任務を遂行してイル。抵抗スルナ。お前に勝ち目はナイ。抵抗すれば、お前を切り刻まなければならなくナル。それは我々の計画にとっての資源の無駄使いダ。無駄は好まナイ。・・・・・繰り返す、抵抗スルナ」

「ゼーレだかなんだか知らねえが・・・俺の縄張りを汚したオメエを許すわけには行かないんだよな」

「低俗な縄張り意識カ。愚かな事ダ。ならば・・・最後にもう一度聞ク。ワタシに逆らうカ?」

「・・・・ああ、そのつもりだ」

「ソウカ・・・ならばここで死ネ」

ゲブラーが鎌状のレーザーカッターを振りかざし、ヒートに急接近する。

「火炎放射!」

ヒートがゲブラーに業火を放つが・・・。

まったく効いていないようで立ち止まる気配さえない。

「くそ・・」

ヒートが紙一重で避けるが、もう一方の手のレーザーカッターがヒートを狙う。

(避けきれねえ・・・なら業火の鎧!)

ヒートは業火の鎧を発動させ、攻撃を防ごうとするが・・・。

ザクッと音がし、回りの木に赤い液体が飛び散る。

「何とか・・急所は外れたか」

胸元の切り傷を押さえながら呻くヒート。

「炎の鎧で威力を弱めるとは素晴しい判断力ダナ。しかし、そんなものではワタシの端末にはダメージを与えられナイ」

「業火の鎧が効果が薄いとなれば・・・インフェルノもサラマンダーも使うわけにはいかねえな。なら・・・この技を使うのは久しぶりだ」

ヒートは片腕を静かに上げる。

するとヒートの手に、黄金に輝くエネルギーが集まっていく。

「そのエネルギー波長は・・・・ソーラービームの確率81%」

「残念だったな。これは、ソーラービームじゃねえ。その発展形、ソーラーセイバーだ」

ヒートの手には光り輝く剣が出現した。

柄も刃も光で出来ている、光の剣である。

「エネルギー出てきた剣、カ・・・しかしワタシに敗北はアリエナイ」

「ほざいてろ。模造品野郎が」

一瞬の静寂。

お互いに間合いをとる。

そして・・・・先に動いたのは、ゲブラーだった。

「おっと」

ソーラーセイバーでレーザーカッターを防ぐ、ヒート。

そのまま、光の剣は流れるようにゲブラーの本体に直撃する。

ゲブラーが急いでヒートから離れる。

体には大きな傷が出来ており、バチバチと体の切断されたコードや機器から漏電しているのが分かる。

「ワタシの端末に傷をつけてくれたようだナ」

「お互い様だろ」

「ワタシは任務の遂行を第一目的としてイル。・・・・これ以上の邪魔はさせナイ」

突如ゲブラーの背中から、数本のしなやかに伸びる触手が出現する。

「おいおい・・・マジですか」

ヒートは驚きと、呆れの半々の表情で様子を見ている。

そして・・・。

「なっ!?」

ヒートが反応する前に、触手がヒートを捉える。

衝撃でソーラーサーベルが地面に落ちて消滅した。

「心配スルナ。その触手自体に攻撃力はナイ。この技を確実に当てるための道具に過ぎないカラナ」

ゲブラーの左手の鎌の上部に赤い球体が埋まった装置が見える。

「最初からこうすればヨカッタ。お前はここ一帯のポケモンの仲では最も多くの生命エネルギーを有している。ゼーレもお喜びになるダロウ」

ゲブラーは左手の鎌のカッターを発生させている装置に埋め込まれた赤い球体をヒートの額に当てる。

「Absorb energy of life・・・・生命エネルギー吸収開始」

「ぐあああああああっ!」

ゲブラーの言葉と共に、赤い球体がヒートの体からエネルギーを抜き取っていく。

ヒートは体から急速に力が抜けていくのが分かった。

まるで、生気を全て吸い尽くされるような感覚。

痛みも走り、ショックで身をよじるが・・・・一番感じるのは、虚脱感。

体の全ての機能が麻痺するような、状態。

反抗する気にもならない。

(しっかりしろ、俺!ここで反撃しなきゃならねえ!この技を受け続けたら・・・確実に死ぬ!)

抜け行く力を感じつつも、ヒートは手にエネルギーを集める。

(一撃・・・一撃でいい。野郎をぶった切ってやる。こんなところで死んでたまるか!)

そして

「おらぁ!!」

ヒートがゲブラーの隙を突き、ソーラーサーベルでゲブラーの首を刎ねる。

その瞬間、ヒートを拘束していた触手の力も抜ける。

「やったか・・・」

ヒートは首が無くなったストライク型端末を見る。

「頭部を破壊したカ・・・カメラアイが無くては温度感知センサーに頼って戦わなくてはならないナ。それは・・・無謀」

ゲブラーはそういい残すと、煙幕を張って森の中に消えた。









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