アリエッタ...(6/6)縦書き表示RDF


アリエッタ...
作:かなん



AdissalE...深海






夕方。


他の店も徐々に閉まり始め、商店街は店じまいを迎えた。




「二人ともありがとうwお礼に夜ご飯ごちそうするわ」
「ホンマにー?じゃあランちゃん家に行…」
「姫、そろそろ城に戻らんと」
「「えぇー」」

二人してそんな顔すんなや。
一応俺、仕事中なんやからしゃーないやろ。


「残念。じゃあまた今度、遊びに来て」
「ごめんな、ランちゃん。また来るわあ」
「うん、カズハちゃんの大好きなお好み焼き作って待ってるね」
「ありがとーwほなまたなー」
「またねー」

二人とも、互いの姿が見えなくなるまで手を振りあっとる。
女の子ってこーゆートコかわええよな…








二人で薄暗い街を歩く。


「なあ、へージ」
「なんや?」
「寄り道してもええ?」
「え、どこに…」
「こっちや!」


カズハが俺の手をひっぱって走る。
一生懸命にひっぱるカズハは、めっちゃ可愛い。

このまま止まって抱きしめたいくらい。









どのくらい走ったんやろうか。


城に戻る少し手前の道を曲がり、光の届かない森の中の道を二人で走っている。

行き先のわからないまま。




俺は、二人だけの世界への道に続いていたらいいのに、と何度も心の中で思った。













「カズハ…まだ走るん?」
「もうちょいやで」





道の向こうに光が見えた。


いきなり森が開き、ここは丘の上。
いままで来たことがないところ。




それ以上にびっくりしたのは…














月の光に反射し、きらきらと光る海。









「こんな所あるなんて、知らんかった…」
「やろ?ランちゃんに教えてもらったん」


さざ波に耳を傾ける。


「小さいころはよく一緒に海行ったやろ?」
「そやな…よく二人で城抜け出してな」







トーヤマ国の一部は海に面していて、夏はよく一緒に遊びに行っていた。


俺が仕事についてからは、カズハと二人で行くことはなくなっていたけど。







「また、へージと見れてよかった」


「…ん」






何年かぶりに見る海。

しかも、知らない場所で。


見たことがない夜の海。




「カズハ」
「なあに?」


「ありがとな」







やさしく、小さな背中を抱きしめた。














やっぱり、二人だけの世界に続いていた道。



その道の先では見える月は。




きらきら



きらきら



俺ら二人だけを照らしていた。















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