アリエッタ...(5/6)縦書き表示RDF


アリエッタ...
作:かなん



CarO...大切な人


「ごめんください」

あんまり言いなれてない言葉。
違和感を覚えた。



「はーい」

若い女の声。


ガチャ


「あ、へージ君。こんにちわー」

出てきたのは、カズハの親友、ラン・モーリ。
通称「果物屋のランちゃん」と呼ばれる彼女は、街の人気者。
確かに、美人で可愛らしいねーちゃん。
わけ隔てなく人に優しく、身分だからといって遠慮しない、そんな彼女に惚れた、とカズハは言っていた。


「どうも、うちの姫来とる?」
「うちの姫ねw来てるよー」

あかん、言い方悪かった;
なんか変ににやにやしとる。

…まあ彼女は俺らの関係知っとるから、もう隠すことないけど。

「あがってあがって」

招かれた手に逆らえずに奥へ進む。













「へージ!早かったなあ」
「姫…」

あまりのテンションの高さに気が抜ける。

「姫、また城を出て…国王にまた怒られますよ」
「やって…ランちゃんのおっちゃん今日おらへんから、あたしが手伝わんと、ランちゃん一人じゃ大変やろ?」
「・・・」

はあー…

怒る気も失せる。
自分が行きたいから、ではなく、友達の手伝い、といって城を抜け出す姫様がどこの国におるんやろうか。

…実際、ここにおんねんけど。




俺がため息をつくと、カズハが「怒ってる?」といってきた。
その顔が可愛すぎて、怒ってるなんていえなくなって。

「いいえ、俺も手伝います」

そんなことを言ってしまった。







三人で街へ果物を運び、商店街の一角に店を広げる。


ねーちゃんは果物を少し持って、店を離れて街の中へ。
俺とカズハは店番を任された。



道行く人は次々声をかけてくる。

もちろんといっていいほど、みんな姫のことを知っているから、どんどん集まってくる。
しかも、カズハの評判はとてもいい。

「今日もお手伝いかーい?」とか
「この前はありがとう」とか
「また子供と遊んであげて」とか

みんな、相手が国の姫であるということにかかわらず、親しみをこめて話しかける。
もちろん、カズハもいつもどおりに。




ほんとにこいつはすごいやつだ、と思いながらカズハを見つめる。






すると、ひとりの少年がカズハに話しかけた。


「このお兄ちゃんだあれ?」


どきッとした。
カズハは…なんていうんやろう。

恋人、だなんていえないことはわかっとるから。







「この人はね、あたしのとっても大切な人や」








…大切な人、か。


恋人って言われないのは少し悲しいけど。


うれしかった。
















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