AmicO...親友
「やっぱ寒いな…」
城の門を潜って発した一言目。
桜を舞い散らす風はまだ冷たい。
「ったく…いくら幼馴染やからって、毎回毎回なんで俺やねん…」
…最近の親父はなんか変や。
絶対俺らの関係に気づいとる。
たとえ気づいていなくても、俺がカズハのこと好きやって絶対わかっとる。
厄介やな…
そう思いつつも、顔がにやけてしまう。
やって、うれしくないわけないやんか。
街に行けば俺を知ってるやつはおらん。
せやから、「普通」に話しとっても、「普通」の男女としかみんな思わん。
姫と家来。
せめて友達になりたかった。
だから、みんなの「普通」の視線がうれしい。
恋人に思われなくたっていい。
ただ、「普通」にいられるのなら。
ただ、「普通」に君を愛せるのなら。
街に出て、にぎやかな空気に眩暈がした。
人々はみんな楽しそうに笑っている。
自然と、自分の顔も笑ってしまっている気がして、一応仕事中、と自分に言いかけて歩いた。
小川にかかる橋を渡り、果物がなってる木を見つけた。
これが、人騒がせな姫がいる場所のしるし。
「果物屋のランちゃん」と呼ばれるカズハの親友の家。
カズハは城下町に出るたびに、この家を訪れている。
ひとつ、ため息をついて、モーリ家のチャイムを鳴らした。
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