修行編 第69話 スコータイへ その6(95)
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「オーケンさん。僕もスコータイは一度行ってみたいですね。吉野さんの撮った写真を見ても凄かったし、
先日原澤さんたちが新婚旅行で行った時も、凄く感動したといっていましたよ」健一が話しの中に入ってきた。
「へえ~最初聞いたときには何や中途半端な所だと思って諦めとったけど、そんな所やなんて・・・
タイ好きとして僕は『うれしい!』」思わず大声を張り上げるオーケン土山であった。
「オーケン、もういつも大声出すからテーブル席のお客さんびっくりしちゃってるよ。いやごめんなさいね」テーブル籍のお客さんに謝罪を入れる源次郎。
それでもオーケン土山をたしなめながら、カウンター席の常連さんのやり取りを楽しそうに見ているのだった。
ソンクラーンも終わり、料理学校が再開。
6月に行われた長期コースの最終試験も無事に終わると、7月にスクール一期性の卒業の時がやってきた。
この時点ですでに8月からの二期生も20名程度の申し込みがあるのだった。
さらに一期生の何名かは卒業式を経て、ターベチェンマイへの就職することも決まっていた。
当日は、モンディ師や社長のウィチャイもチェンマイから来ていたが、彼らは来賓という位置づけで、
卒業の認定書を手渡したのは責任者の健一であった。
認定書を1人1人手渡して握手をし、
最後に全員で記念撮影を終えると、健一の目には安堵感と同時に達成感から目に涙がにじみ出るのだった。
健一が感慨に浸っていると、ウィチャイが声を掛けてきた。
「大畑、ご苦労さん。昨年の春に原澤と組む事になってからお前を責任者として派遣したのは成功だったよ。見事に一期生の卒業式も終えたし、何名かがわが社で働く事も決まったし」健一はウイチャイに頭を下げ、
「いえいえ、社長にはいつも私に高いレベルの仕事をさせてくださり、いつも勉強をさせられます。特に今回の場合は、原澤さんの存在が大きかったと思います」
「で、話が変るが」ウイチャイの表情が真剣な目つきに変った。「またどこかに転勤か?」健一は覚悟するのだった。
だが、このときのウイチャイの表情は、いつもと違い、眉間に皺を寄せ、顔の表情にも複雑な空気がにじみ出ていた。
「実は、私には日本人に嫁いだ妹がいて、夫婦でタイ料理の店を経営している。
すでに東京で何店か店を持っており、有能な料理人が足りないといってきた。
出来れば、日本語のわかるのが欲しいらしい。
日本人のお客さんが多いので、タイ人だとコミュニケーションの問題などで、何かと不都合があるらしい。
そうなれば、大畑、お前が適任だが、私としては、有能なお前に日本に戻って欲しくない。
しかし、日本はお前の故郷であり、かつ子供が日本に残していると聞いた。だからどちらの道に進むのかはお前に選んで欲しい」
静かに聞いていた健一はその場で即答できるはずも無く、「とりあえず5日間ほど時間を下さい」というに留まった。
ウイチャイも“当然”だろうと言わんばかりに「わかった。その間、休みを取ってゆっくり考えておいてくれ」と健一に5日間の休暇を与えるのだった。
とりあえず、5日間の猶予をもらったとはいえ、健一はどうすればよいか悩むのだった。
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