「…すごい……おやじ達が…熱中するわけだ!」
アムロは単身、秋葉原のメイド喫茶に来ていた。
メイド喫茶の店内は白いテーブルが並びアニメソングが流れており、壁にはメイドさん達のイラストが飾られていた。
(すごい…五倍以上のポスターが貼ってある)
そしてピンク色のメイド服を来たメイドさん達が、いわゆるアキバ系のお客様方に接客をしていた。
因みに…‥アムロも十分アキバ系だとは思うが。
「ご主人様、メニューはなににいたしますかぁ?」
おっとりとした口調のメイドさんが、椅子に座ってキョロキョロと周囲を見ていたアムロの顔を覗き込む。
「えっ…‥」
生身の女の子に接近されたアムロは硬直した、体が全く動かない。
メニューを見たくても、メイドさんの目線が気になって視線が定まらなかった。
(…落ち着けアムロ…‥大丈夫だ…この説明書があれば‥…‥)
アムロは瞳を大きく見開き、メニューを片手にメイドさんの顔を見つめた。
メイドさんもアムロの表情に戸惑い、半歩下がった。
「じゃあチューブめしで」
「……‥‥‥はい?」
メイドさんが首を傾げる。
アムロは戸惑うメイドさんを訝しげに見つめ、首を傾げた。
「……ない…‥‥んですか?」
「は……はい‥」
困ったように頷くメイドさん。
アムロは仕方ないといった様子で再びメニューに目を通す。
(………確かにチューブめしなんかないな………‥うわっ……なんだこの値段…‥微妙に高いし…‥形が変だよ…‥)
アムロは瞳を閉じて、店内の天井を見上げた。
周囲にはメイドさん達の甲高い声が響き、アキバ系の人々の汗の臭いとケーキ類の甘い匂いが混ざった匂いが鼻を刺激する。
「…ごめんね…‥メイドさん…‥」
アムロは、瞳に涙を浮かべて笑い出した。
メイドさんはそんなアムロを見つめ、完全に引いていた。
「…は……はあ‥」
メイドさんを前に椅子から立ち上がるアムロ、近場で買ったガンプラが入っているリュックサックを背負い、涙に濡れた目を見開いた。
「…僕にはまだ帰れる場所があるから…‥」
アムロは店の出入り口の前で立ち止まり、店の中をもう一回見回した。
先ほどとさほど変わらない光景を見つめ、アムロは呟いた。
「…こんなに嬉しいことはない……‥‥」
アムロは店を後にした―
その次の瞬間―彼の視界は真っ白になった―
…‥
‥
「アムロー!早く起きて!避難警報が出てるのよ!」
次の瞬間、瞳に映ったのは幼なじみのフラウであった。
アムロは瞳を開くと、周囲を見回した。
「…えっ…避難警報‥?」
アムロは起き上がると、ここが自分の部屋であること、そして、今までのことが夢であることを理解した。
「…おはよう…‥フラウ」
「おはようじゃないわよ!!」幼なじみに怒鳴られたアムロはベッドから立ち上がり、呑気にパンをかじった。
歴史に残されなかった真実――
――白いモビルスーツと少年が出会った日――その日が見ていた夢は甘かった――
機動戦士ガンダム 第一話
【ガンダム大地に立つ】
に続く……‥
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