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悪魔の恋は『なにいろ』ですか? 作者:柳シンム

トェービエ

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再び雨日


 空が泣いていた。雨が降っていた。梅雨に入ったことで安定的に雨を降らせる空は悲しみの灰色。それを悲しいと思ってしまうのはひとによりけりであって、くだらない感傷なのだろう。

 夜明け前まで降っていた雨は太陽が地上に顔をだす瞬間だけ遠慮して泣きやんでいたが、またすぐ大地に恵みの水を寄越しはじめた。

「本日も雨、か」

 ウッペ城の質素な部屋に落ちる声。若い中性的な声だった。男とも女とも取れるその声は天気になにか思うことがあるのか若干うんざりした調子だった。

 独り言を呟いている誰かさんの部屋に明かりがぽつぽつと増えはじめる。蠟燭に火をつけてまわっているのは黒い影。それに声の主は軽く言葉を渡した。

「もういい、カザオニ。部屋を蠟燭で埋める気か」

「……」

「咎めているのではないので勘違いするな」

「……」

「うむ、それでいい。食事をくれ」

「それには及ばないぞ、サイ」

 部屋に明かりをつけてまわっていた影、カザオニに点灯をやめさせた声の主にカザオニは無言で頷いたりして反応していた。

 そして、声の主が食事を所望したのにカザオニが頷いて応えようとしたが先んじて応える声があった。知った声に声の主は、サイは怪訝なというよりは呆れの瞳。

「ココリエ、いつからお前は給仕の者になった?」

「? 一緒に食事を、と思っただけだが迷惑か?」

「……いや」

「その間はなんだ、サイ?」

 不可解な間があったサイにココリエが突っ込んだが、サイは気にしない。ウッペ国に仕えているサイは、彼女はここ最近の記憶を探って無表情で首を傾げた。

 サイの記憶の中にはココリエと一緒にいた記憶が多分にあった。ここ最近毎日一緒に食事をしている。彼がここまでする理由がわからないでもないがさすがに案じすぎている気がする。

「心配性なことだ。たかが傭兵のことでそこほど神経をすっていては王位など気が遠くなるな」

「そなた、相変わらずひどいな」

「うむ。辛口傭兵など放って仕事しろ」

「今日の仕事は城下の見まわりだが、ついてくるか? ちょうどいい運動になるぞ。……多分」

 なぜその程度のことに自信が持てない? サイの心の突っ込みだったが、口にでることはなかった。サイに相変わらずだと言ったココリエだが、ココリエこそ相変わらずであった。

 本当に甘っちょろいココリエには護衛が必要と判断して、サイはゆく、とだけ口にした。

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