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さて、初めまして、蒼と申します。
この作品は作者のテンションのみで作成されています。
なので作者のテンションが低い時(主にテストとかそんな時)は更新されませんのであしからず。
では本編へどうぞ。
第1章 王国編
OP.召喚されたッ!?
「んで、ここどこだ……?」

 周りを見渡して呟く。
 俺はこんな神殿みたいな場所で寝起きしてるはずがない。
 それを証拠に昨日もめんどくさい学校から帰って来た後に、日課である剣術の反復練習をし、
 汗を流すために風呂に入り、晩飯を作って、それから至福の時間であるPCを弄ってベットで寝た筈だ。
 それなのに―――――――

「眼が覚めましたか?」
「っ!」

 しまった!?
 いきなり訳のわからん場所に居たせいで人の気配を探るのを忘れていた!

「私を見た瞬間に戦闘態勢に入るのはやめてください!」
「んなもん知るかッ! こっちはいきなり知らない場所に居たんだよッ!」
「それについては説明しますから警戒を解いてください」

 よく相手を見てみると俺と同じかそれより下の年齢の女の子だった。
 しかもかなりの美少女。髪は背中あたりまである銀のロングストレート。眼はパチッっとしていて瞳は済んだスカイブルーで十人中九人は振りむくであろうの美少女だ。
 そんな子が必死に懇願してるんだから男として警戒を解かないといけないか。

「わかったわかった。警戒は解くから説明してくれるんだよな?」
「はい。まず初めに私の名前はレイラ・クライトリヒ・アルティウスです」
「レイラ…でいいのか?」
「はい」

 見た目から外人さんみたいだと思ったけどやっぱり名前も外人さんだな。
 まぁ銀髪で日本人って言われても誰も信じないだろうけど。

「んじゃ次は俺だな。俺の名前は御薙一也。そっち風に言い変えると、一也 御薙だな」
「一也さんですね?」
「あぁ」

 とりあえず自己紹介は終わったからこっちから質問すべきなんだろうか。
 それとも相手の方から説明してくれるのを待つべきなんだろうか。
 迷うな……

「説明してもよろしいですか?」
「ん? あぁ、してくれ」

 あっちから説明してくれるみたいだな。

「まずここはあなたがいた世界ではありません」
「は…………?」

 こいつ今何て言った?ここはあなたがいた世界じゃない?
 んな馬鹿な。

「もう一度言ってくれるか?」
「ここはあなたがいた世界ではありません」
「証拠は?」
「これでどうですか?」

 そう彼女は言うと、人差し指からポッという音とともに、ライター程度の火が灯った。
 ……ありえねぇ。

「魔法?」
「そう、魔法です。これはあなたの世界にはなかったものの筈です。これで証拠になりませんか?」

 かに証拠になるにはなるんだが……。
 いきなり非現実的なことを言われると頭が混乱してくる。
 これはあれか? 最近流行りの異世界召喚物か?

「ん?」

 少し混乱した頭を冷やそうともう一度周りを見渡すと見慣れた物が眼に入った。

「なんで影桜が……?」

 そう言いながら愛刀である影桜を手に取る。

「その武器はあなたのでしたか」
「あぁ。これは間違いなく俺の刀だな」

 とりあえず腰に差しておく。
 刀さえあればなんとかなるだろう。

「落ち着きましたか? 大分混乱していましたが」
「何て言うか、身近な物があったせいか少しは落ち着いたかな」
「そうですか。なら次の説明にいきます。まずこの世界は大きく分けると四つの王国に分かれます。
 一つ目、商業が一番発展した王国“ジェイリス”
 二つ目、魔法が一番発展した王国“グレイア”
 三つ目、戦闘に特化した王国“ベルガン”
 四つ目、最も平和な王国、ここ“アルティウス”
 その他にも小さな国もあるんですが大きく分けるとこの四つです」
「なるほど……アルティウス?」

 あれぇ? レイラの名前にアルティウスって入ってなかったか?

「はい。私はアルティウス王国の姫巫女―――所謂お姫様ですね」
「マジで?」
「はい」

 んじゃ俺ってやばくね? 仮にも姫様相手に普通に喋ってるんだけど。

「あぁ、言葉などは気にしなくていいですよ? どちらかというとそちらで話していだたける方がうれしいです」
「そうか?」
「はい」
「ならそうさせてもらう」

 姫様がそうでいいって言ってるんだからこれでいいだろ。多分……。

「なら次の質問。王国ということは国家体制は全て王政か?」
「はい、そうなります」
「んじゃ次は魔法について説明してもらっていいか?」
「わかりました。魔法というのは人の中にある魔力と精神力を糧に発動するものです。精神力は人間なら誰でも持っているものですが、魔力は持っている人と持っていない人がいす。これは王国毎が全市民に対して一定の年齢になると検査させて数値化します」
「なんでわざわざ検査するんだ?」
「それはですね、もし自分が思っている以上の魔力を持っていたりしたら暴走したりする危険があるからです。なので王国は数値を出してそれで一定以上の魔力を持つ人には魔法学校に入ることを義務付けしています」
「なるほど」

 てことは、魔力ってのは下手すると暴走するもんってことだ。
 魔法って聞くとなんでも出来そうな響きだけど、危険なものなんだな。

「魔法学校ってのは魔法を安全に使う方法を学んだりするという解釈でいいのか?」
「はい。後は魔物を討伐するための勉強もしています」
「魔物?」

 魔物なんているのか? 物騒だな。

「えぇ。最近になって増えてきました。昔はそれほどでもなかったんですが……。まぁ王国の危機! っていうほどではありませんが。それでも危険には変わりませんね」
「なら魔法の種類はどんなのがあるんだ?」
「魔法は初級、中級、上級、精霊と別れています。
 初級は火、水、風、土
 中級は氷、雷、草
 上級は光、闇の九つですね」
「精霊ってのは?」
「精霊は現在―――というよりも使い手がいません」
「ならなんであるってことになってるんだ?」
「御伽話の絵本とかに出てくるんですよ」
「へぇ、一応どんな種類があるか聞いてもいいか?」
「いいですよ。確か時間、空間、創造、消滅の四つがありました」
「………神の領域じゃねぇか」

 特に創造。これって無から有を創りだすって感じのやつだろ?

「そうですね。だから使い手はいません」
「まぁ居たらいたで問題あるだろ」
「はい。次に魔法には難度が分かれています。これは
 下位、中位、上位、古代の四つに分かれていて上に行くほど難しくなっていきます」
「なるほど」

 基本的に元いた世界のゲームみたいな感じなわけだ。
 そうなるとどのくらいが普通の魔法使いかを聞く必要があるな。

「今のところで世界一の魔法使いはどんなやつなんだ?」
「世界一ですか…? それは多分グレイア王国の賢者 レイヴィー・センタクス・ランバルト様でしょうね」
「その人はどのくらいの魔法が使えるんだ?」
「確か、初級と中級が全部使え、難度は古代が火と風、後は上位でした筈です」
「精霊はともかくとして上級は使えないのか?」

 賢者って言うくらいだから精霊以外は全て使えるもんだと思ってたのに。

「そうですね。上級である光と闇は精霊と一緒で特別な魔法です」
「特別?」
「はい。簡単に言えば光はアルティウス王国の姫巫女―――王家の女性の方しか発現しません」
「てことはレイラは光の魔法が使えるわけだ」
「そうなります」
「んじゃ闇は?」

 光が王国の姫様しか発現しないとしたら闇もどっかの王国だけか?

「闇はグレイア王国の王子―――こちらは王家の男性の方しか発現しません」

 やっぱりそうなってくるんだな。
 ふむ。だいたい聞きたいことは聞き終わったな。まぁ細かいことを聞きだすと終わらなそうなんで後で聞くことにしよう。

「そういや聞き忘れていけど、ここどこ?」
「ここですか? ここは城の召喚の間と言うところです」
「召喚の間……」

 やっぱり俺はレイラに召喚された訳だ。なんで召喚されたかは知らんが。
 そこはここの王様相手に聞くとしよう。

「一応聞くけど、俺を召喚したのはレイラだよな?」
「そうですね。異世界から人間を召喚出来るのは姫巫女だけですから」
「そっか。んじゃここの王様に会わせてくれるか?」
「いいですけど……何か用事でも?」
「あぁ。とても大切な用事だ」

 そう。とても大切な用事。
 俺を何でこの世界に召喚したかと言うことを聞くために。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 先ほどの召喚の間から出て長い廊下を歩く。ここの廊下には人が誰一人としていない。それ以前に他の部屋さえない。

「なぁレイラ。なんでここには何もないんだ?」
「さぁ?」
「わかんないのかよッ!」
「この城は昔に造られた物でそういう事は文献にも載っていなかったもので……」
「そうか……」

 普通って何か理由とかあるんじゃねぇの?
 まぁ気にしないけどさ。

「後どれ位で王様に会えるんだ?」
「そうですね。この廊下を抜けた先に宮殿に入る扉があります。その扉を潜り抜け、庭園の先に少し進めば王の間に行けます。今の時間ならお父様もお母様もそこにいるはずです」
「…その話を聞くかぎりでは中々遠そうだな」

 だって未だにこの廊下の突き当たりが見えないんだぜ?
 その先って言うんだから後何分掛かるんだよ。30分は掛かるだろ。

「それなら何か話しながら歩きませんか?」
「話し?」
「はい。例えば一也さんの事とか」
「俺の事?」

 いきなり俺の方に向き直しレイラは提案する。

 俺の事って何を話したらいいんだ?
 特に話すような生活を送っていた訳でもないし……

「例えば、そのような武器を持っていらっしゃるって事は何か武術をしていたんですか?」
「そうだな。俺の世界で言う剣術って言うのをしていたな」
「剣術?」
「あぁ。俺の世界の剣術って言うのは刀を使うんだけど、この世界には刀ってあるのか?」
「刀…ですか? 私が知る限りではそのような武器は知りません。……見せて貰っても?」
「ん? いいよ」

 そう言いながら俺は腰に差している影桜を抜く。
 影桜の刀身は城の光を反射させながら綺麗な色を魅せていた。
 刀身は闇より濃い黒光を宿し、波紋がなく、変わりに桜の葉がまるで刀身の中に入っているかのような美しい模様が刀身には見られた。

「綺麗…………」

 レイラは影桜の魅力に取りつかれたような感じで見つめ続ける。

 まぁ仕方ないだろ。俺も爺さんに渡された時に同じ反応だったし。
 それにしても不思議な刀だ。どういう創り方をしたらこんな刀が創れるんだ?

「……ハッ!?」
「…大丈夫か?」
「…は、はい……///」

 レイラは恥ずかしそうに俯く。

 可愛いな。なんか小動物っぽい。
 マジでお持ち帰りしたくなるやつとか出そうだな。

「ま、まぁ初めてこの刀をみた奴の反応なんてそんなもんだから気にするなよ」
「そ、そうですか?」
「あぁ」

 そうこうしているうちにやっとこの廊下の終わりに辿り着いた。

 ほんと誰だよ。こんな城創ったやつ。
 出て来い、一発いいやつくれてやるから。

「それではちゃんと着いてきてくださいね? ここまでは一本道でしたから迷いませんでしたけど、これからは曲がり道などもあるので」
「わかってるよ」

 少し笑顔を浮かべながらレイラは扉を押す。
 普通ならこんな小さな女の子が押したところで開きもしなさそうな扉だが、魔法の力か?
 すっと何もないように扉は開いた。

「では行きます」

 そう言い残しレイラ行く。
 俺は少し驚いていたのでレイラが出ていくのを見届けていてから行動を開始しておた。

 ちょッ!? おいてかないで!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 それにしても何か周りの視線が気になるんだが……
 こう…何だ? まるで動物園の人気動物みたいな感じ?

「なぁレイラ、何で皆俺を見てるんだ?」
「それは一也さんが“救帝者様”ですから」
「“救帝者様”?」

 そう言いながらレイラはにこりと微笑みかける。

 可愛いのは可愛いんだが……
 救帝者ねぇ……
 随分とまぁ……持ち上げるもんだ。

「“救帝者様”の説明はお父様がしてくれると思うのでもう少し待っていてください」
「……あぁ」
「?」

 俺の返答が少しおかしい事に気付いたのか、レイラはおかしそうな顔で俺を見る。
 俺は、なんでもないと答え前を見る。

 とりあえずは話しを聞くか……

 そうしているうちに庭園に着いたようだ。

「ここがこの城の庭園です。この先に王の間があります」
「へぇ……」

 俺は辺りを見渡す。
 俺の世界にはなかった花などが所狭しと植えられている。しかしそれは美しさを損なわず、輝くような美しさを誇っていた。

「綺麗だ……」

 俺は素直にそう呟きをもらす。

 初めて花を見て感動したな、俺。

「そうでしょう? この庭園はこの城で一番綺麗な場所で城で働いてる人は休憩ついでに来てここで休んだり、話しをしたりしているんです」
「いい場所だな、ここは」
「はい!」

 レイラは俺の返答に気を良くしたのか花歌を歌いながら進んでいく。
 俺もそんなレイラを見ながら着いていく。そこで一つの花が目に入る。

「これは……」
「それはですね、レントラルの花と言います。この時期しか咲かない花で、色は珍しい黒色をしていますね。黒色の花はこれ以外にないんですよ?」
「へぇ……」

 レイラの説明を聞きながら俺はレントラルの花を見る。
 よく見るとすぐ近くに花の説明の看板があった。

                ~レントラルの花~
 この世界でただ一つの黒色の花もつ花。咲く時期はアイヴィーの月のみで大変珍しく、人気も高い。花からはいい匂いがし、花の蜜と花をすり潰すことにより香料が作ることが出来、これは貴族から平民までに人気を誇るものとなっている。

                 花言葉≪運命≫

「運命……か」
「どうかしましたか?」
「いや、何でもないよ。とっとと王様の所に行こう」
「そうですか?」
「あぁ」

 そう言いながらもレイラは俺の顔を見て訝しみながら進んでいく。どうやら俺の言葉が少し納得出来なかったようだ。

 それにしても俺の目に入った花の花言が≪運命≫……か。
 さてはて俺の≪運命≫はどうなることやら……

◇◆◇◆◇◆◇

さて俺の目の前にデカイ扉があるわけだが……

「ここか?」
「はい」

 俺の問いにレイラは答える。
 答えた後、扉の前に立っていた衛兵に二、三言告げると衛兵は扉を開け、中に入って行った。

「もうすぐ呼ばれると思うのでお待ちください」
「あいよ」

 俺は扉をジッと見ながら衛兵来るのを待つ。
 数分すると衛兵が出てきて「お二人とも、お入りください」と告げてきた。

「いきましょうか」
「そうだな」

 レイラが先に入り俺も続いていく。

 鬼が出るか蛇が出るか……


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「レイラよ、よく召喚してくれた」
「はい、お父様」

 開口一番にその言葉を発したのは、玉座に座るレイラの父であろう王様だ。横には母と思われる人物に、周りは衛兵や重要そうな人物がいた。

「して、そなたが“救帝者”でよいのかな?」
「とりあえずおっさん、“救帝者”ってのを説明してくれないか? レイラからはあんたがしてくれるって言うからまだ聞いていないんだ」
「お前ッ! ラングル王に向かってその口の聞き方は何事だッ!?」

 周りの衛兵や重鎮どもが顔を真っ赤にして叫んでいる。

 だって俺はこの国の人間じゃないんだぞ?
 それなのにどこにこのおっさんを尊敬する理由があるんだ。俺にとってこいつはどこかのおっさん以外にはありえん。

「うるさい。俺は違う世界から来たんだ。なのになんでこいつに頭を垂れなくちゃいけない?」
「そ、それは……」

 俺の返答に口を開く事の出来なくなった馬鹿達。

 本当に大丈夫なのか、こいつら?

「よいよい、その者の言っている事は正しい。さて、“救帝者”についてだったかな?」
「あぁ、出来るだけ一回聞くだけでわかるように簡単に教えてくれ」
「わかった。まず“救帝者”と言う者が現れたのは今から千年と少し前位のことだ」

 えらく昔からいるんだな。

「昔は他国との戦争が酷かった。今の四大国家同士の争いがほとんどだったとはいえ、他の小国や魔物とも戦っていた。そんな時にこの国の基盤を築いた初代の王、光の女王と呼ばれるセイラ・アイグリッド・アルティウス様が召喚の術という魔法を開発した。これは異世界があるという仮定で創られた魔法で当時は半信半疑でセイラ様も創ったそうだ。まぁそれでも成功し初めて異世界から違う人間を召喚したわけだ」

 え~、何その適当な召喚の仕方は……

「その召喚された者は正義感が強く武術にも優れ、魔力も当時最強とまで呼ばれていたグレイアの魔王 ゼウス・イリシェド・グレイアとベルガンの武王 ガルカッダ・ブレイス・ベルガンの二人とも戦い引き分けたそうだ」

 魔王と武王って……
 武王はまだわかるんだが、魔王は駄目だろ。明らかに悪人に聞こえて仕方がない。

「そして四大国家の王達はこれ以上戦争をしても長引くだけだということがわかり停戦協定と平和不可侵協定を結んだそうだ」

 まぁ両国の最強と引き分けたんならそうなってもおかしくないか。

「その協定を結ぶためにはその召喚された者の力なくしては結べなかったため、セイラ様は敬意を評して“救帝者”という称号を贈ったわけで、その時からこの国の国民、ひいては世界中の人間に知り渡ったというわけだ」

 なるほど。言葉通りって言うわけだ。

「その事を踏まえて、この国では“救帝者”が死ぬ度にその時代の姫巫女が異世界から“救帝者”を召喚するようになったんだ」

 わかった事にはわかったんだが……

「それは初代王女が決めたことなのか?」
「それとは?」
「“救帝者”が死ぬ度に異世界から呼び寄せるってことだ」
「いや、セイラ様は何も言ってはいないはずだ。その事が決まったのは次の王である二代目王 ゼルク・リーベル・アルティウス様が決めた」

 なるほどな。セイラって奴は決めたわけじゃないわけだ。
 確かに召喚したはしたが、それ以降はする気がなかったわけだな。する気があるのなら自分の子供くらいには伝えるもんな。

「んじゃ次の質問だ。今は戦争とかはしていないが何の必要があって“救帝者”とやらを呼ぶんだ?」
「歴史は知ってるのかの?」
「少しだけな」
「そうか。まぁ確かに今はどことも戦争はしていない。しかし最近では魔物が出るようになった――まぁこれはついでだの。一番なのはやっぱり“救帝者”がいることによってこの世界は統一されていると言っても過言ではあるまい。過去の戦争でも“救帝者”がいたことによって戦争は終結した。その“救帝者”がいなくなったらいくら不可侵条約や停戦協定を結んでいるからと言って、戦争を仕掛けてくるかも知れんからな」

 ……てことはだ。“救帝者”ってのは平和の象徴って言うわけだ。

「次の質問。過去の“救帝者”はその事について何か反発したか?」
「いや、特になにもしていない。まぁ中には少し嫌そうな人達もいたそうだが、最後はちゃんと仕事をしてくれたらしい。まぁ初代“救帝者”くらいに強い人はいなかったそうだが」

 そうかそうか……
 いやいやながらも無理やり仕事をさせていたわけだ……

「最後の質問だ」
「なんじゃ?」










「俺を何のために召喚した?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺の質問に対しておっさんはさも当然そうに、

「それはこれまでの“救帝者”のようにこの国、ひいてはこの世界を統治してもらうためじゃ」

 何を当然の事を聞く、とおっさんやレイラの母にレイラ、周りの衛兵や重鎮達は俺の方を見る。

 そうかいそうかい。やっぱりこっちの意見は無視で俺を勝手に呼び寄せといて、それに対する弁明もないわけだ。
 …………調子に乗ってんじゃねぇぞ。

「そうか。なら俺の返答は―――――――否だ」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「「「「「なッ!?」」」」」

 おっさん達は俺の返答に驚いているようだ。
 何で驚いてんだよ。普通の反応がこれっていうのがわかってないのかよ。

「何故じゃッ!?」
「そうです、何故なんです!?」

 こんどはレイラまでも会話に加わって来た。
 それ以前にこの場にいた全員が俺に突っかかって来た。

 ……うるせぇな。

「だいたい何で俺がそんな事をしなくちゃならない?」
「それは“救帝者”という者の仕事がそうじゃからだ!」

 こいつは馬鹿なんだろうか?

「なんで俺が“救帝者”何だ?」
「それはレイラが召喚したか「こっちは勝手に召喚されたのに?」……ら?」

 おっさんの言葉に被せて発言する。

「俺は違う世界で暮らしていたのにそっちの勝手で召喚されて、挙げ句の果てには国の平和の象徴になれだ? 調子に乗ってんじゃねぇぞ」
「それは「それにだ!」ッ!」
「お前達は本当に異世界の人間を召喚するという事を理解しているのか?」
「何?」

 周りの人間は俺の質問の意味がわかっていないようだ。

「異世界から人間を召喚するって事は、その人間の人生が壊すってのと同義なんだぞ?異世界での暮らしをそっちの勝手で止めさせられてそっちの勝手で国のために働くことになるだぁ? 調子に乗るなよ! お前ら何様だ?人の人生狂わせて国のために働け? 意味がわからん。お前らは神にでもなったつもりか?お前らがやっていることは人殺しと同じなんだよ。お前らはわかるか? 今、俺の世界で俺の行方がわからなくなってるんだぞ?それはどれだけの人に迷惑をかけると思ってるんだ? だいたい俺には家族や友達だっていたんだぞ?それなのにそっちの都合に二度と逢えなくなるかもしれなくなるって、どうやって責任取るつもりだ、あぁ!?」

 一息で言いたいことを言い周りを見渡す。
 周りは俺の言葉に反論しようにも言葉が出ないようだ。

 だろうな。そんな事がもし自分に振りかかればあいつらだって同じ事を思う筈だし。

「なぁ、おっさん。お前は責任取れるのか? そんな命令を出して責任取れるのか? レイラだってそうだ、お前も責任取れるのか? 人一人の人生を狂わして責任取れるのか、あぁ!? 答えてみろよ、なぁ!?」

 俺の怒りにおっさんは怯み、レイラに至っては半泣きの状態になっている。

 いくらレイラが半泣きになったところで俺は言い続けるぞ?
 こっちは勝手に人生狂わされてんだからな。

「そ、それは……」
「あぁ!? それはなんだよ! 言いたいことがあるならはっきり喋れや! だいたい“救帝者”がいないと世界が統治出来ない? んなもん知るかッ!自分達の世界くらい自分達で平定しろッ! そんな異世界の人間に力を借りなくちゃ統治出来ない世界なんて滅びろ、馬鹿ども!」
「「「「「ッ!?」」」」」

 俺の言葉に周りの人間が息を飲む。

「だってそうだろ? 異世界の人間がいなくちゃ平定出来ないんだったらそれはお前達の世界じゃない。異世界の人間の世界として成り立つんだよ!」
「だからと言ってどうしろというんじゃ!? 儂達だってそう出来るのならそうしたい! しかしそれはもう無理なんじゃ。儂達が認めたところで世界が認めん! もうそんなところまで来てしまってるんじゃ……」

 おっさんは最初こそ勢いがあったもの最後は尻すぼみとなりボソボソと聞こえる位の音量になっていた。

 まだおっさんにもやる気はあったわけだ……
 それでも世界が認めないということで仕方なくしたと、そう言いたいわけだ。

 ―――それでも俺は……

「……おっさん」
「……なんじゃ?」

 おっさんはもう何もかもに疲れ切った表情で俺を見る。

「まだやる気はあるか?」
「何?」
「だから異世界の人間に頼らずにこの世界を平定するためのやる気はあるかって聞いてるんだよ」
「……不可能「やってもみないで不可能とか言ってんじゃねぇよ!」ッ!?」

 俺は叱責する。

 俺はこの世で許せないものが少しだけある。
 許せないって言っても俺は世界を守るとかそういう考えは持っていない。どちらかというと自分勝手だ。自分や自分と親しい人間と他人を取るなら自分と親しい人間を取る。そこに考える時間なんてものはない。何でわざわざ自分や親しい人間を天秤に掛けてまで他人を救わなくちゃならない?だから俺は自分勝手に生きる。それが周りに何と言われようとも。その中で、余裕があるのなら手を差し伸べるさ。まぁそれも全てに差し伸べるんじゃなくて俺が認めた人間だけだ。
 このおっさんはその基準を満たした、だが足りない。
 最低限を満たしただけじゃ俺は動かない。
 だから叱責する。

――――やる前から諦めるなと。

――――気合を見せてみろと。

――――俺が手伝うだけの人間性を見せてみろと。 

「なぁおっさん。やる前から諦めるなよ。諦めるんならやれること全てやってから諦めろ。あんたはまだやれることが残っている筈だぞ?」
「儂はまだ頑張れるのかの?」

 おっさんは少しだけ目に生気を宿し、俺を見詰める。
 そこには先ほどまでの弱弱しい誰かに頼る目じゃなく自分の意思で生きていこうとする意志が宿っていた。

「あぁ。まだ大丈夫だ」
「本当かの?」
「あぁ。それにあんたには頼れる人間だっているだろ?」

 俺はそう言いながら部屋の中にいる人間を見渡す。
 レイラを、レイラの母を、重鎮を、衛兵を。

「あんただけが頑張っても意味がない。世界を変えようと思うんなら世界が変わらなくちゃいけない。だが最初から世界を変えることなんて出来ない。そんなに簡単に出来るならもともとこういった事態にはならなかった筈だしな」
「儂―――いや、“儂達”はまだ大丈夫かの?」

 その言葉を聞いた周りの人間達も意志を持った目を宿し始めた。
 最初からこうなら俺もあんなに怒らなかったんだけどな。俺は心の中で苦笑する。
 確かに勝手に異世界に召喚された事は怒る原因にはなる。けど、その対応少しで変わった筈だ。
 ただ、あちらは怠惰に過ごしてきて、他人に頼ることしか出来なくなっていたから俺はキレたんだよな。
 俺だって男だし異世界には憧れはあった。
 PCでそういう小説を見ていた時もそう思っていた。けどその半面やっぱり心の中ではこういった事を考えていたんだろう。
 そうじゃなかったら素直におっさん達の言葉を聞いていた筈だし。

「あぁ、大丈夫だ。それに―――」
「「「「「それに?」」」」」

 部屋の中にいる人間の声が重なる。そんな事にまた苦笑して告げる。
 この世界に連れてこられてしまった以上、帰れるのか帰れないのかがわからない。
 一応、探してみたりはするが、そう簡単にはいかないだろう。
 だから―――――

「俺も少しは手伝ってやるよ。俺を最後の“救帝者”としてな」

 この世は全てギブアンドテイク。最後の“救帝者”として仕事を果たし、あちらには俺が帰れるような魔法なんかを探してもらおう。それが無理なら創ってもらうとする。召喚する魔法があるなら送還する魔法だって創れる筈だ。
 それまではせいぜいこの世界の思想を変えてやることにしよう。
 それが俺に出来る唯一の事だろうから。
どうでしたか?
作者は感想などを貰えるとテンションがアップします。
テンションがアップすると更新速度が上がる?のでどしどしヨロです。


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