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ずれた毎日
作:泰兎



五話目


「でも、なんで急にこんなことしたの?」
一番の疑問はそこだ。引っ越してから連絡すらしなかったのに、この時になって急に呼び出し、その上…たっくん、だなんて…どうしたんだろうか。
「なぜって、たっくんに会いたかったからに決まっている。」
そう言うと、また胸を張った。
いや、そう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ。でも気になっているのはそこじゃないんだよね。
「そうじゃなくてさ。みーちゃんが引っ越してから一度も連絡取り合ってないのに、なんで今になって急に呼んだのかなってこと。」
「あぁ、そういうことか。それもさっきと同じ返事で足りる、会いたかったからだ。」
「会いたかったって、こんな急に?」
「急じゃあない、本当はもっと早く会いに行くつもりだった。引っ越した後も普通に学校へ通っていたが、たっくんのことが忘れられなくてな。やはり、好きな人をそう簡単に忘れることなんて出来なかった。だから、中学生の頃に一度家まで訪ねたのだが、そこには別の人が住んでいたので、諦めて泣く泣く帰ったという訳だ。」
そうだったのか。中学生の頃には、親の都合で僕も引っ越してたからなぁ。と言っても同じ学区内だったから学校までは変わらなかったけど。
そうか、わざわざ会いに来てくれてたんだ。僕が忘れ…られな…く…て?
あれ?何か凄い台詞をサラリと聞いちゃったような…
「それで受験の時に、小学校時の友達に連絡を取ってたっくんがどこの高校に入学するか調べて貰った。そしたらこの高校だというから私もここに決めたんだ。生徒会長になったのも、色々と権限があって便利そうだったからだ。おかげでたっくんのこともすぐに調べられたぞ。」
軽くフリーズ状態な僕に気付かず淡々と話し続けているみーちゃん。
僕もみーちゃんの話が耳には入っているものの、さっきの爆弾発言が気になって頭にまで入って来ない。
そんな僕に気付いたのか、みーちゃんは歩み寄って顔を覗きこんできた。
「どうしたんだ、聞いてるのか?」
「うわあっ!」
声で我に返った僕の目の前には、どアップなみーちゃんの顔。驚かないわけが無い。
「人の顔で驚くとは失礼だぞ。それに、自分から訊いておいてボーっとするのも良くない。どうしたのだ?」
「あ、あぁ、ごめん。その…引っ越した後のことを話してたよね?その辺をもう一度言って欲しいんだけど…?」
「なんだ、聞いてなかったのか。どの辺からだ?」
「普通に学校へ通って〜ってところからお願い。」
「だからだな、引っ越した後普通に学校へ通ったが、たっくんのことが忘れられなかったということだ。」
「あの…その次にもの凄い一言を聞いた気がするんですけど…。」
「その次?あぁ、好きな人が忘れなかったってところか。そうだ、私が好きなのはたっくんだぞ。」
あああああぁぁぁぁ、そんなあっさりとぉぉぉ!
「何度も言うのは恥ずかしいな。」
照れてる場合じゃないでしょぉぉぉ!

こんな形で告白を受けるとは思ってもみなかった。しかも、あの会長から。
「ええええっと、そそそそれはいつからデスか?」
「そんなことまで言わせるのか、たっくんも大胆だな。」
両手を頬に当て照れている。
だ、大胆って。
「気付いたのは引っ越してすぐだ。それまでは話さなくなって寂しい程度には思ってたんだが、会えなくなった途端それとは違う感情が湧き出てきてな。それで、私はたっくんが好きなんだとわかったんだ。」
「気のせいとかじゃ…。」
「ないな。なんだ、たっくんは私に好かれるのは嫌か?やっぱり迷惑だったか?」
そう言うと、また泣きそうな顔をして俯いてしまった。
「わあぁぁ、嫌でもないし迷惑でもないから!寧ろ嬉しい、凄く嬉しい!僕もみーちゃん大好きだから、ね?だから顔上げて。」
「たっくん!」
「わぷっ!」
感極まったのか、いきなり抱きつかれてしまった。さっきもそうだったけど、みーちゃんに抱き付かれると身長差の具合で、僕の顔は必然的に胸のところに埋れてしまう。
そりゃあ僕も男ですから、嬉しくないわけじゃあないけど…でも、息が出来なくて苦しい。
このままだと窒息死しちゃうから、とりあえず離れないと。
「たっくん、私は嬉しいぞ!たっくんが私のことを好きと、大好きと言ってくれるだなんて!よし、たっくん。私の方はいつでも準備が出来てるからな。あとはたっくん次第だ。いつが良い?」
「ムームー、ぷはぁ!はぁ、はぁ。苦しかった。準備って?僕次第って何のこと?」
相変わらず抱きしめられたままだけど、気道だけは確保できた。
「何って、結婚に決まっているじゃないか。いや、結婚はまだ無理だから婚約だな。」
「えええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!?」
けけけ結婚!?婚約!?そんな突然すぎる!いや、そういう問題じゃない!なんでそんなところにまで話が飛躍してるんだ!?
「あ、俊彦おじさんにはすでに会って話をしてある。部屋に移る許可も貰ってあるから、明日にでも一緒に住めるぞ。」
なんだってぇぇぇぇぇ!?


いかがだったでしょうか。ようやく物語として動き始めました。次の話は少々説明的な内容になってしまいますが、読んで頂けると嬉しいです。よろしければ、次の話もご覧下さい。











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