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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。色々書きたいことはありますが、それは後書きで書かせて頂きたいと思います。
ずれた毎日
作:泰兎



二十九話目


…今まで十六年間過ごして来たけど、こんなことは初めて。
至極普通の生活を望む僕にとって、こういうハプニングは遠慮したいところだ。
もっとも、これに到っては物凄く作為的なものを感じるけれど。
でなければ、ありえないでしょう。

宅配便で、女の子が送られて来るなんて。


「あっつ〜。もう、汗掻いちゃったじゃない」
口を半開きにして立ち尽くす。そんな僕らのことはお構いなしに、金髪の女の子はコートを脱ぎ始めた。
左右に分け頭の横で結ばれた金色の髪。そこまで長くなく、ゴムで纏まった髪は肩まではとどいていない。
背丈も小さく、僕や五月ちゃんより低い。まだ小学生ぐらいに見える。まぁ、夢先生よりは断然大きいけれど。
見たところ、外国人のようだ。
けれど、放たれる言葉は流暢な日本語。
そんなギャップも相俟って、尚更戸惑ってしまう。
「ねぇ、兄さん…何これ?」
「僕にも分からないよ…」
このおかしな事態に、五月ちゃんは呆然と疑問をうかべ問いかけてくる。でも、僕がその答えを持ち合わせているはずがない。
寧ろ僕が聞きたい。
リアクションすら出来ない僕らに対し、伊織だけは変わらず平然と脚を組んで椅子に腰掛けている。
「さぁてと…って何よ、このスベッたみたいな空気は」
今更何を、と言いたい。
君が出てきた時点でこんな感じなんだから。
そもそもスベッたって、箱から出てきたところで出オチでしょう。
「さて、なんで宅配便の箱から出て来たかは知らんが、とりあえずお前は誰だ?」
やおら椅子から立ち上がると、両手を腰に当て仁王立ち。
そして、僕らが最も気になっているそれを問い質してくれた。
僕らも首を縦に振って賛同する。
「ワタシ?ワタシはイリエスカ。ところで、ここにケンジョウタイトって居る?」
イリエスカと名乗る女の子は、伊織の誰何へおざなりに答えると、そのまま僕の名を口に出した。
そのことで、伊織の目つきが鋭くなる。
ちょっと怖い。
「なんで兄さんを…?」
隣でボソリと疑問を口にする五月ちゃん。
そんな二人の様子を気にしながらも、僕の名を呼ぶ女の子を見やりそっーと手を挙げた。
「えっと…僕が堅城泰斗だけど」
挙手に反応して僕を見た女の子。
僕が名乗り出ると、目の前の少女は顎に手を当て、フーンと呟く。僕の顔を見ていたと思ったら、徐々に目線を下げていった。と思ったらまた上に戻し再び僕の顔を見て動きを止める。
「背は小さいけど、顔は悪くないわね」
何をしてたのか分からなかったのだけれど、その一言で理解した。
どうやら見定められていたみたいだ。
顔が大したことないのは、自分でも重々承知している。けれど、背に関してコンプレックスを持つ僕としては、小さいと言われるのはちょっとヘコむ。
「ま、ギリギリ合格ってところかしら。それじゃあ、そういうことでこれから宜しくね、お兄ちゃん」
もう僕にはツッコミきれない。

「ちょ、ちょっとどういうこと!?これから宜しくって、それに『お兄ちゃん』って!」
一番早く反応したのは、五月ちゃんだった。
「どういうことって、今言った通り。これからここに住んで、妹として兄に挨拶しただけよ」
「だからそれが意味分からないの!なんでここに住むのかもそうだし、何より妹っていうのが意味不明!」
「うるさいわね、別にアナタに関係ないでしょ!何なのよアナタは!?」
「アタシは兄さん――泰斗兄さんの妹よっ!」
義理の妹と自称妹が言い争う最中、僕は伊織の近くへと移動した。
「ねぇ美穂ちゃん、どういうことだろう」
再び椅子に座っていた伊織の横に立ち、話し掛ける。
僕一人じゃあ解決出来そうもない。
「分からん。ただ、おじさんに関係があると私は思うぞ」
「父さんか…」
父さんから送られて来た箱から出て来たんだし、そう考えるのが普通だよね。
それに、彼女は僕を名指しでお兄ちゃんと言った。
僕の知り合いで、躊躇いなくこういうことをするのは父さんしか居ないわけで…と。
「とりあえずだな、泰斗。私達が勝手に憶測するよりも、目の前に事情を知る者がいるんだ。そいつに直接聞いた方が早いだろう」
「そうだね、そうしようか。でも…」
語尾を濁し、視線を伊織から妹二人に動かす。
伊織の言う通り、本人に直接聞くのが一番だ。
なんとか聞き出したいところなんだけど…
「何よっ、アナタワタシと一歳しか違わないくせにそんな小さいじゃない!」
「べっ、別に大きければ良いってものでもないでしょ!第一まだ先があるんだからっ」
…なんか論点がズレてる。
しかもかなりヒートアップしてますよ。
この状態で、二人に割って入るのは無茶すぎるでしょう。
いっそもうこのまま放置で…なんて訳にはいかないよね。
溜め息をつき、チラリと伊織を見る。
すると伊織は、早く行けと言わんばかりに目線を五月ちゃん達に向けた。
はぁ、と二度目の溜め息。
「二人とも、その辺にし「「うるさいっっ!」」
………ひど。
悄げる僕を余所に、また言い合いを始める二人。
僕って本当に兄?なんて疑問が浮かぶ。
しょんぼり。
なんて頭で思っていると、後ろから伊織に頭を撫でられた。
たぶん慰めてくれてるんだろうけど、年下っぽく扱われて逆にヘコむ。
同い年なのに…。
「まぁ仕方がない、泰斗は見た目が可愛いからな」
伊織さん、それはフォローになってませんよ。
それに年下で小さい女の子達を差し置いて、僕を可愛いと言うのは間違ってるでしょう。
…イヤ、言うべきことはそこじゃあない。
さも僕が喋ったかの様に言葉を返すのは、一体何なんですか。
「それで、どうするんだ?このままでは埒が明かないぞ」
「…うん、もう一度言ってみるよ」
可愛いとまで言われては、僕の男としてのプライドも猛り出す。
パシンッ、と両頬を叩き活を入れる。
よしっ、行きますか!
「ほらっ、もいい加減にして!いつまでも続けるなら二人とも外に出すよ」
手を叩きながら、大きめの声で言った。
「外に出す」が効いたのか、あっさりと争いを止める五月ちゃんとイリエスカ。
言い争いこそ止めたものの、互いに睨み合い唸っている。
なんだか似てるなぁ、この二人。
言ったら確実に怒るだろうけど。
「ほら、もう喧嘩しない。五月ちゃんもこっち来て」
「でも兄さんっ…」
まだ何か言いたいことがあるようだ。だけど、それを許してはまた話が進まない。
「いいから、ね?」
そっと頭を撫でて落ち着かせる。
不満気ではあるけど、とりあえずは素直に応じてくれた。
伊織の隣へ行くのを確認すると、僕は妹だと言う少女へと体を向ける。
五月ちゃんの横で、伊織が私も撫でろといったように頭を出していたけれど、スルーしておく。
「さてと。改めて話を聞きたいんだけど、いいかな?」
腰を屈める程小さくはなく、かと言って立ったままでは話しづらい。
頷くのを視認すると、僕は皆をテーブルに座るよう促した。


いかがだったでしょうか。前回の話から大分日が開いてしまいました。年末ということもあり、忙しく余り書く時間がありませんでした。…言い訳ですね、申し訳ないです。さて、今回はいつもより文字数が少なめになっています。そのまま続けて書くと、文字数が大変なことになりそうなので分けることにしました。なので、次話は早めに更新したいと思います。よろしければ、次の話もご覧下さい。











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