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透き通るような記憶の中で 作者:しんたろー
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2.助けられた記憶

「ぷはあああ!」

 口から入った水分が喉を通り、体の中に溶け込んでいく。ただの水がこんなにも美味しいなんて俺は知らなかった。

「いやあ、本当に助かった。ありがとう」
「別にいいよ。ただの水だしね」

 俺は今、メモの部屋にいる。広さこそ俺の部屋と同じくらいだが、雰囲気がまるで違う。ベッドがあるのは勿論、冷蔵庫、エアコン、本棚など、家具の多さが段違いだ。エアコンのおかげで涼しく俺の部屋が監獄ならば、この部屋はオアシスだ。そして机を挟んで俺の前に座っているメモは天使といったところだろうか。ピンク色の髪の毛が首元あたりまで伸びていて、その一本一本が輝いて見える。身長は俺よりやや低め。顔つきは少し幼い。高校生くらいだろうか。俺が水を飲み終わるとメモは俺の目を見て、こう切り出した。

「それであなた。重ねて聞くようで申し訳ないけど自分の名前は思い出せた?」
「ごめん、それがまったく・・」

 喉の渇きが癒えて思考もまともに働くようになってきたが、どうしても自分が何者なのかが思い出せない。

「別に謝ることじゃないわ。記憶喪失ってやつかしら。こんな世界で生きてるんだから無理もないわ」
「こんな世界?それって一体・・・」

 どういうこと?と聞くつもりだったのだが、その行為は睡魔によって中断される。まるで魂が抜けたかのように、体に力が入らない。俺はその場に倒れこむと意識を失った。



どのくらい眠っていただろうか。体をゆっくりと起こす。ああ、そうかメモの部屋で寝てしまったのか。迷惑をかけたな。メモはどこだ?そういえばまだお礼も言ってなかったな。

「動かないで」

後ろからメモの声が聞こえた。振り向こうとすると首に違和感を感じる。

「なんだこれ。首輪?」
「それは爆弾よ。むやみに動いたら爆発させるわ。私の言ってることの意味、分かるわよね?」
「え・・・・」
「あなたには私の質問に答えてもらうわ」

 メモはこの場を支配しているのは私なんだと言わんばかりに、力強くそう言った。

「あなたの名前と、このゲームに参加した目的を教えて」
「だから名前は分からないって、目的?なんのことだ?」
「とぼけないで。あなただって死にたくはないでしょう?」

 メモは俺にスイッチのようなものを見せつける。ここまできてようやく理解した。自分が脅迫されている状況を。誰だよ。可愛いは正義とか言ったやつ。頭おかしいんじゃねえの。メモの目を見る。さっきまでとは別人のようだ。さて、どう答えればいいのだろうか。考えれば考えるほどに、その行為に意味がないことが明確になる。なにせ俺はメモの質問に対して、なんら答えられる”記憶”がないのだから。

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