君のいた冬(8/18)縦書き表示RDF


今回は何気に早めの更新ができました。まぁ早めなので、内容は薄いです。本当に申し訳ありません。では、第七話目です。
君のいた冬
作:GRAIN



第七話:友ノ声。


朝。

オレはいつも通りの時間、いつも通りの場所に向かう。

昨日とは違い、快晴な日だ。

陽気も心地よく、緑は色を変えきって紅く染まっている。

そんな風景を眺めていると、いつの間にかいつも通りの場所に着いていた。

「おはよう、航くん」

そこには、毎朝待ち合わせをしている桜がオレを待っている。

今日から冬服が指定の制服となって、桜もブレザーを着ていた。

「よっす」

オレは返事を片手を上げた、簡単な挨拶で済ませる。

「ほんじゃま、行きますか」

オレと桜は学校へ歩き出した。







「……」

「……」

昨日、あんなことがあったため、妙に意識してしまう。

初めて見た桜の白い肌。

とても可愛かった。

そんなことを昨日あれからずっと考えていて、寝付けなかったくらいだ。

そして、二人の間に会話がないまま学校へと着いてしまった。

オレ達は放課後、下駄箱で待ち合わせをしようとだけ会話をして、個々の教室へと向かった。

「…ふう」

席に座るなり、自然とため息が出てくる。

理由はオレの不甲斐なさにだ。

男のオレが桜を支えなきゃいけない、それはわかっているのだけど、どうしても昨日の出来事が脳裏に浮かんでしまう。

「登校いきなり何ドツボにはまってっかなぁ。なんかあったのか?」

オレの行動に何か感じたのか、隣の席に座っている貴志が声をかけてきた。

しかし、いくら親友だからといって、あの出来事を言っていいものじゃない。

だからオレは、別に…と言ってあしらった。

ドドドドドドドドッ

すると、何かの物音が聞こえた。

って、こっちに向かって来てないか?

次の瞬間、教室の引き戸がかなりの勢いで開けられた。

そこには息が荒く、鬼の形相になっている舞が立っている。

まさに仁王立ち。

「よぅ舞。そんな恐い顔して、なんかあったの……ドガァ!?」

迂濶にも舞に近づいた貴志は裏拳で顎を刈られた。

おいおい、首が人として曲がってはいけない方向へ曲がってるぞ。

舞は次の標的を見つけるかのように、瞳はオレを見据えていた。

つか、そもそもハナッからオレが狙いだったのではないだろうか。

そう言えば、舞は教室に入るなり何かを探してた。

きっと、それがオレだったに違いない。

多分貴志はハエか何かに見えたのだろう。

オレを見据えた舞は、ゆっくりと歩み近づいてくる。

そうかと思えば刹那、オレの視界から舞が消えた。

「…え?」

まるで、元からそこにいなかったかのように消えたのだ。

しかし、それも刹那の間だけ。

一瞬にして、オレの目の前に上履きの裏が現れた。

スパーン!!

勢いよく蹴られたオレは脳が揺れて、そのまま倒れ込んだ。

「航!アンタねぇ、桜に何かしたでしょ!!」

倒れ込み、ひれ伏すオレの目の前に鬼が仁王立ちをしている。

見下すようにオレを睨み、オレは動くことすらできなかった。

「桜、元気なかったわよ。航、アンタが何かしたんでしょ?」








放課後。

オレと桜はいつも通りなのだが、舞と貴志も引率して帰ることになった。

オレと桜のことを話すために、桜が言い出したのだ。

「で、今日はなんで桜元気なかったの?航が何かしでかしたんでしょ?」

舞が単刀直入に本題へと入った。

周りには四人以外に誰もいない。

話すなら今だろう。

「実はね…」

オレが話を切り出そうとした瞬間、桜が話始めた。

「…実は、昨日ね。航くんと私の家で遊んだの。それで…いろいろあって、ギクシャクしちゃったの。でもねっ!誘ったの私だから、航くんは何も悪くないの」

舞と貴志は真面目に聞いている。

貴志なんて一番に殴りかかってくると思ったのに。

「だから…、航を責めないで」

今にも泣き出しそうだった。

それもそうだ。

いくら親友とはいえ、自分達がした行為をばらしたのだ。

オレだって、顔が熱い。

「つまりさ…」

珍しく真剣な顔をした貴志が口を開く。

「ヤったんだろ?」



……。



ボグッ!

舞が貴志の腹に膝を入れた。

「がはっ!?げほっ!?な、何しやがんだ舞!」

腹を抱え、必死に痛みを堪えている貴志。

そんな貴志を睨む、あの鬼のような眼が光った。

貴志は蛇に睨まれたカエルのように動けなくなる。

「貴志、アンタは少し黙りなさい。それで、航に桜…その」

「違う。断じて違う。その…途中まではいったんだ。でも、そこでやめたんだ」

舞と貴志はキョトンとする。

「え?じゃあ…その、ヤってないのね?」

舞があからさまに顔を真っ赤にして質問する。

その質問に、オレと桜は頷く。

「……」

「……」

冷たい空気がながれる。

多分、意気地がないとでも思ってるのだろう。

と、思った瞬間。

「…偉い!やっぱりアンタは桜を大事にしてるんだね」

舞はオレの肩をバシバシ叩きながら笑ってやがった。

確かにとどまったが、そういうわけじゃなくて、オレは心の中で苦笑した。
しかし、桜を大事にしているのだけは事実だ。

だから、オレは桜を一生をかけて守るつもりだった。

すると、さっきまでポカンと口を開けて聞いていた貴志が、口を出してくる。

「…なんだよ、ヤってねぇのか。意気地がねぇなぁ」

「「お前は黙ってろ」」

オレと舞は見事にハモった。







それから、オレ達は久しぶりに四人が揃った。

舞は、私なんて久しぶりの出演だったのよ!出番が少なすぎる!なんて意味がわからないことを言っていたが、ここはあえてスルーすることにした。

やっぱり皆、オレ達が付き合っても変わることがない。

こんなにも友人に恵まれ、横には桜がいる。

それが、今オレの一番の幸せだった。

ずっと続けばいいと思ってた。

さすがに、学生のままなんて言えないけど、大人になっても、じいさんになっても、変わることない友情に憧れている自分がいた。












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