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飛鳥5(8月2日、3)


  三

「・・・・・・で?」
 高崎は話を自然な流れに戻す。
「あの草進って子は、一体何の関係があるんだ?」
「何、まだ言ってなかったの? 火州」
 タスポがなくてタバコが買えなかった鮫島君はかなり不機嫌だ。
「あぁ」
 俺は鮫島に言った時と同じように説明する。途中鮫島が何かとチャチャを入れてきたが、放っておくことにした。
「そうだったのか」
 その返事は、さっき言ったことを含めての納得の返事だったのかもしれない。いずれにせよ、ようやくその事情が高崎に伝わる。
「ったく火州も、あの草進って子に構いすぎなんだよ」
 鮫島君は相変わらず不機嫌だ。その様子は、見ようによってはかまって欲しくて駄々をこねているちっちゃい子にも見える。
「いいじゃねぇか、もうほっとけば。別に向こうも覚えてないわけだし」
 ・・・・・・コイツ、酒入ってる訳じゃないんだよな・・・・・・。若干不安になる。
 高崎と目配せして、苦笑いする。

 とりあえず、今の状態の鮫島君が一緒ではオハナシにならないので、タバコを買いに行かせる。
「待っとくから。話し進めないから」
 そう言うと、鮫島はしぶしぶ外へと出て行った。
 その姿が見えなくなった後、二人してため息をつく。
「・・・・・・あいつ、なんで今さらタスポ知らねぇんだよ」
「鮫、タバコカートン買いしてたからな」
 高崎がサラッと言う。白い歯がまぶしい。
「カート・・・・・・」
「ああ」
 高崎がピースしている。ツーカートン。さすがおぼっちゃん。
 鮫島んちは結構な資産家で、鮫島はその一人息子だ。
 さしずめ、あの上から目線は、そこから来ているのだろう。
「今んなってやっと在庫がなくなったから、知らなかったんだよ、たぶん」
 そこまで言って高崎ははて、と止まる。
「どうした?」
「あれ? タスポいつからだったっけ?」
「あぁ? 六月からだよ」
 導入自体は地域によってもっと早いところもあるが、ここでは六月から導入、施行された。俺は、それがどうかしたか? と聞く。
「いや、鮫が最後にカートン買いしたの、あれは確か六月に入る前で、あと前に保健室の事件あったじゃん? そん時、お前寝てる最中にあいつ『タバコ買ってくる』って言ってたんだけどよ、そのときもう自販じゃ買えなかったはずなんだよ」
 ・・・・・・どーでもいいけど、俺寝てねぇよ。気失ってたんだよ。
「それに、自分の吸う量分かっててストックあったら、普通予備持っとくだろ?」
 何かを一生懸命考えている高崎は、そんな俺の表情の変化に気付かず、おかしいの、と言った。






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