飛鳥1(4月14日、4)
四
「何でなんだ?」
高崎が言った。
「何であの子じゃダメなんだ?」
ダメって、別にダメじゃねぇよ。
「もしかして火州、理想ものすごい高い?」
鮫島も言った。今日高崎がいなくて良かった。いたらまた何か言われるに決まってる。
少しだけ風が出てきた。髪を押さえ、鈴汝は西を向く。そうして、一体その先に何があるのかつられて見てしまいそうな程、愛しそうに目を細めた。
「あの『別に』の人にちょっと似てない?」
そう言っていたのは誰だったか。でも鈴汝の方が目は大きい分、いくらか幼く見える。
「何であの子じゃダメなんだ?」
別にダメじゃねぇけど、何っつうかあれだよ。お前らだって相手がどんなに美人だったとしても、誰でもいい訳じゃねぇだろ?
「そりゃあ性格悪きゃね」
鮫島がいつもの通りタバコをふかしながら言う。
「いい子じゃねぇか? あの子。だってほら、人気なきゃ生徒会なんか入れないぜ?」
高崎も合わせてそう言うと「なぁ?」と鮫島を見た。鮫島は地面にタバコを押し付けている。その動作が、頷いたのか、それともただ単にタバコを目で追っただけなのか分からなかったが、鮫島も否定はしなかった。
「なぁ火州」
立ち上がると同時に、その顔を上げる。
「もうそろそろ落ち着いてもいいんじゃねぇの?」
新しいタバコはもうスタンバイされている。
「お前は、早く知りすぎた」
鮫島が何を言わんとしているかは、容易に想像がついた。高崎も目線を下げる。
カチッ、という乾いたライターの音。鮫島が俺のために言ってくれているのは分かる。分かっているんだが、
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