再び飛鳥です。
視点コロコロ変わってすいませんね。毎度来てくださってありがとうございます。
飛鳥4(7月26日、1)
一
はたして保健室の一件があってから感じるこの感情の正体とは、一体何なのだろう。
俺は、見下しているはずの女に助けられたことが赦せなくて、真琴を負かさなければ、このもやもやは晴れないと思っていた。
なのに冷静になって考えてみろ。何もあの時、鈴汝に対して俺がキレる必要はなかったのではないか。それは一般的によくないことであったとしても、冷静さを失うほどの事ではなかったはずだ。
どうして俺はあの時。
花火に鈴汝を誘ったのは真琴に謝らせるため。しかし、同時に俺は真琴と話がしたかった。だから鈴汝には用が済んだらすんなり帰ってもらう必要があった。
そのためにもう一人、人間が必要だった。鈴汝を預かってくれて、欲を言えば、誘いやすいよう、真琴とも多少面識のある人間。
「生徒会の後輩が、あの子のクラスメイトです」
だから、鈴汝の申し出は、そのタイミングとして秀逸だった。
ただ、予想外だったのはそいつが男だということだ。「同じクラスの男も来るから来ないか?」なんて誘いは、どう考え立って弱い。理想を言ったら、この間会った寺岡サン的な人間を望んでいたのだが。
しかし、それ以上に予想外だったのは、それに対して真琴が「行きます」と言ったことだ。
そのクラスメイトは、それほど真琴と仲がいいのだろうか?
まぁでも、例の事件が起こった後、声をかけても逃げられてばかりだったが、これでなんとか大丈夫そうだ。
* * * * * * * *
「えー、もう帰っちゃうの?」
帯を締めなおしている俺の背中に、例の声がかかる。
「あぁ」
あれ、これでよかったか? 不安になって「これ、巻いてくれ」と頼む。
女は「ちょっと待ってよ」と言いながら、ブラジャーをつける。別にとっくに見慣れているため、そんなこといいから早くして欲しいと思う。
午後六時十五分。一つ目の約束は、六時半。
「早くしろよ」
「もう、ちょっと待ってよ」
上下の下着を着けて、濃いピンクのTシャツを頭からかぶると、ようやく帯をつかむ。
「情緒ないわね」
ぶつぶつ言っているのが聞こえたが、そんなこと気にしているヒマはなかった。
「悪い悪い。用があるんだ」
そう言って頭をなでる。こうすると、大抵の女は喜ぶ。
「それって、あたしと一緒にいることよりも大事な用?」
しまった。面倒くさいスイッチを踏んでしまった。腹の中で舌打ちする。
「ねぇ」
六時二十分。いい加減まずい。
「あぁ」
俺はとっさにそう答えると、帯が直ったのを確認して、サイフと、携帯を持って、玄関へと向かった。
大学生のオネエさんは一人暮らしの部屋を持っているから便利だ。でも、
「悪い」
そう言うと部屋を後にした。チラッと、後のご機嫌取りのことを考えて憂鬱になったが、時間がないことを思い出し、瞬時に頭を切り替える。
夏の夜の匂い。
何故だか自分でも困惑するほど、心が浮き立つ。
作者紹介のページ書き換えました。
mixi内ではありますが、友人が挿絵を描いてくれています。お暇があればどうぞ。
いえ、作品には関係ありますね。わりと(笑)
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