こんにちは。しほです。
すいません、一旦実家帰るので今週の土曜分乗せときます。まったりお楽しみください。
次回は飛鳥の代わりに鮫島です。
特別編ではなく、通常の中の入れ替えですので、名前表記になります。勤14(12月24日、1)ってかんじで。勤は鮫島のことです。今さら?(笑)
雅14(12月24日、25日、1)
一
相矛盾する感情が同時に湧き起こる事がある。
それは、その内どちらか一方を選択することによって、大きく「有り」か「無し」かに分かれる。
「無し」の場合、手元に残らないのだから、何も抱えることなく静かに無を享受する。
一方、「有り」の場合、有る以上それを享受する。しかし選んだ以上、自分にとって多
少の不都合はあったとしても、それさえすべて受け入れることを必要とされる。いいとこ
取り、なんて都合のいいことはまかり通らない。自分が必要とするもの、欲しいものを与
えてもらう以上、相手にだってその望むものを与えなければならない。
それはギブアンドテイク。
そうして全く異なる個体同士が、同じ空間に存在する事を赦し合う。
鈴はカラカラと弱々しげに鳴った。それは、まるで手のひらの中で揺らされた時のように乾いた音を立てて。そうしておびえる。自身、前もって「溺れる」経験をしたことがあるからだ。
それでも以前はそこにロープがあった。「ここから先は危険区域」
「場所」としての条件の欠落によって、あたしはひしとそのロープにしがみつく事が出来た。その先は海。深く輝く、眼前に広がる広大な海。
はてしなく交錯する光の先。それに対して羨望はあっても、あたしはまだここから見ているだけで充分だった。
リン。
鈴はやんわりと笑った。ここは心地よい。ここにいたいと言ってにっこりした。なのに
月明かりがぼんやりと照らす先、視界には天井と、ベッドの側面と、微かに映り込む黒。
身体がしなる。それは思わず声が漏れてしまいそうになる程の力で、あたしはその腕の中で身動きをとれずにいた。
熱い。触れているその身体が熱い。それは、確かな存在。
それは視界に入らない程近く、近く、息づく。
あたしは「有り」を選んだ。その時点でもう、あたしは欲しいものを手に入れた。勿論、望まないものも同時に。
水島はようやく身体を離すと、鼻先が触れ合う距離で目を合わせる。
〈いい?〉
その目は、普段穏やかに微笑んでいたはずのそれは、あたしの返事を待つことなく、次の瞬間余裕を失う。
あたしは唇が合わさると同時に、体内に深く電流が駆け巡るのを感じた。思わず微かに声が漏れる。しかし、それさえも覆いこむようにさらに深く口付け、水島はあたしの頭をかき抱いた。後ろ髪の一部を強く掴まれる。
ミントの、鼻を抜けるような匂いが脳を包む。それは同じ歯磨き粉を使っているのだから、当たり前と言えば当たり前の事なのだろう。厚めの唇は意識を覆うと、覆うだけでなくその中までかき乱そうとした。
水島。
その後、髪を掴んでいない方の手であたしの頬に触れると、水島はそこに唇を寄せた。額に、まぶたに、鼻先に、あごに、
鼻先に触れた髪から、シャンプーのいい香りがした。やはりこれも同じなのだろう。熱く乱れていく息が首元にかかって、ぴくりと身体を震わせる。そうしてあたしは、決して物理的な理由からだけでなく、今にも押しつぶされてしまいそうな心臓の音を聞いた。
水島。
あたしはその顔を見やる。しかし丁度影になっているため、その表情まで窺い知ることは出来ない。
熱い息と共に首筋を舐め上げられる。すくみ上がるより先に、思わず全身をのけぞってしまいそうになる。それ程までに強い電流が再び体内を駆け巡った。
口で、息をする。それは時に音となって、呼吸と共に外に流れ出て
全身がビリビリする。痛いぐらいに強い陶酔。
何で。
止んだじゃない、雷。
そんなくだらないことを頭のどこかで考えながら、あたしは再びその姿を見やる。
ねぇ、水島。
「やっ・・・・・・」
バスローブの腰紐がほどかれる。急に圧力のなくなった感覚に、身につけているものすべての制御が失われたかのように錯覚する。
水島の手が熱い。手のひらは勿論のこと、その一本一本の指先まで。
ねぇ、水島。
あたしはその頬に触れると、こっちを向かせる。
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