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聖13(12月24日、5)


  五

 これもまた一興。そう思い込まなければやりきれない思いというものが存在する。
 それは例えばクリスマスイブに、こんなかんじで男二人でリフトに乗っていることもその内の一つだ。
「え、スノボやったことないの?」
「はい。スキーはやった事ありますけど、スノボは初めてです」
「未使用?」
「・・・・・・イチイチ誤解を招くような言い方をしないで下さい」
 山の頂上に向かって行くリフトの上で、冷たい風を正面から受ける。寒さに眉をひそめると、僕は「はぁ」と息を吐いた。
 左側に座っている鮫島先輩も、とがった鼻の先が赤い。同じく軽く上気した頬の上にはパラパラとそばかすが散っている。
「じゃあ教えてあげるよ。超難関コースで」
「どんなスパルタですか。鮫島のSはスパルタのSですか」
「ははっ。それなら水島のМはもう無理ですのМだね」
「何ですかその悲しいイニシャルは。ほんと、やめてください」
「マジやめてくださいのМ?」
「・・・・・・マジ素敵のМです」
 なんとくだらない会話だろう。しかし、鮫島先輩は至極うれしそうに口の端を吊り上げると、「ウケる」と言って笑った。

 その後予告していた通り、スパルタな練習をすると(腰部打撲、頚椎損傷、右手首捻挫)何となく小慣れてきたところで、日の加減を見て戻ることとする。
「これ、ラストね」
 そう言って堂々スパルタが先に行こうとする。しかし、その直前で僕はその背中に声をかけた。
「鮫島先輩」
 その顔がくるんとこっちを向く。
「何?」
 鮫島先輩はサングラスを上げると、両手をポケットに突っ込んで返事をした。
タバコをくわえている訳ではないにも関わらず、吐く息が白い。そんなごくごく当然のことにやけに意識が行く。そうして僕は自身の心臓の音がじわじわと大きくなっていくのを聞きながら、再び口を開く。
「僕、草進さんと付き合うことにしたんで」




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