飛鳥13(11月16日、4)
四
「ほら『いいもん』でしょ?」
鮫島が得意そうに笑う傍らで、俺は向き直ってその首を絞める。
「え、何がお前の寝顔と張るって?」
「それはだから弟子の体操服・・・・・・ギブギブギブギブ!」
鮫島は何度か咳き込んだ後「俺いい事したのに」と不服を漏らすとプンプン怒った。俺は次の瞬間、水島を召喚したくなる。
「ドアの上のコンクリのスペース」の区切られた東半分の先、その下はグラウンドだ。ここは北校舎であるため、中でもその南側が見渡せるようになっている。その、見渡せる範囲内に丁度真琴がいたのだ。
「・・・・・・ダメ。俺無理」
そう言って階段を使わず飛び降りると、俺はさっきと同じ場所に寝転がった。
「え、何で? ひじき君なら絶対見るのにー」
誰だよ、そんなミネラル豊富な奴。
「無理」
俺は再度そう答えると、やはりアルマジロの如く、くるりと丸くなる。
「何で?」
「せっかくの手柄が評価されなくて不機嫌な鮫島君」も同じように飛び降りると、今度は分かりやすく俺のほうに寄って来た。
俺はため息一つ、「お前と同じ」と答える。
「何?」
そうして無遠慮に覗き込んでくる顔に視線を向けず、そのまま答える。
「俺も、欲求不満なんだよ」
その直後、後頭部に衝撃が走る。鮫島が怒ってはたいたのだ。そうして「女いるくせに一緒にするな」と言った。「それでも足りないか? この野獣め!」とも言った。
ほっとけ、と思った。
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