聖12(10月24日、4)
四
僕はびくりと固まると、写真に目を落とした。確かに沙羅にはこんな八重歯なかったし、もっと白かった。それに、これが中学三年生のときの写真だとしたら、たった数ヶ月でポニーテールが出来るほど髪が伸びるはずがない。
「先輩・・・・・・これは・・・・・・」
「生徒会の集合写真。んでもって横にいるのがその元彼女。中学ん時、俺生徒会長やってたの。その子も生徒会の人間で、高校入ってからも続けてたよ。俺は部活に専念したかったからやめちゃったんだけどね」
さらり、と大層な事を言ってのける。寄せ書きの欄に、目一杯「会長」の名が踊るのはそれでか、と納得する。
「え・・・・・・じゃあ去年までは生徒会にいらっしゃったんですか?」
「いや、二回のときに学校辞めたから。だから今はもう学校にもいないよ」
「学校辞めるって・・・・・・そんな真面目な人が何で・・・・・・」
「人それぞれ事情があんの。それに生徒会の人間だからって先入観でこり固めるの、良くないと思うよ」
鮫島先輩はそう言うと、むくりと体を起こした。
「食えよ」
「あ、はい」
僕はグラスを手に取ると、丁寧に星抜きされた果物を口に入れる。くやしいがうまい。
「先、片付けて」
「あ、はい」
食え、と言ったのは鮫島先輩だが、ここは黙って素直に言う事を聞く。
写真を寄せ書きの欄に挟むと、アルバムを箱に戻し、そっと元あった本棚に立てる。そうしてテーブルを向き直ると、僕は再びグラスを取った。
「あの・・・・・・じゃあ」
「何」
「何で部活を辞めてしまったんですか?」
その目が、たぶん本人無意識の内に寂しげに細まる。表情としては微笑んでいるはずなのに、それはどこまでも悲しく映る。
「ん、と、自粛するため」
「何の、ですか?」
「まぁ、そん時俺自身も事件起こしちまったから、その分のだよ」
僕はその丸まった背中を見つめる。自嘲気味に笑うその顔を見つめる。その肩の辺りに落ちかかった髪を
「いつから、ですか?」
「何が?」
僕は腹に力をこめる。
「いつから、屋上に行くようになったんですか?」
鮫島先輩はやはりふっと笑うと、「さあね」と言った。
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