当時、一つ目の見せ場だと思ってました。この辺から面白くなってくるといいなぁ、なんて。
足を運んでいただいてありがとうございます。ではどうぞ。
雅2(5月20日、1)
一
* * * * * * *
「ねぇ、なんで」
なんで、なんで、なんで。
混沌。余談を赦さない緊迫感。感じているのはあたしだけ?
「なんで、って」
視界が遮られる。
逆光。遠くに見えるその人はあたしを顧みて、鼻で笑うと言った。その表情は読み取れない。
「お前、俺のもんだろ?」
当然のように言われて、二の句が継げない。
そうじゃない。あたしが望んでいた関係は、普通の、本当にごく普通の
「どう扱おうと、俺の勝手だろ」
そう言うと、その人は暗いそこから出て行った。あたしと、三人の男を残して。
たくさんの、なんで。
あなたの目に、あたしは映っていたの?
あなたの心に、あたしは映っていたの?
あたしはあなただから・・・・・・
容赦なく襲い掛かってくる恐怖に声をあげ、力の限り暴れる。しかしすぐに一番大きな体の男に顔を張られ、「うっ」とうめいた。喉元にこみ上げる、熱。目の前に迫った、荒い鼻息、イカれた目。それらと同時にあたしにこびり付いた、錆びた鉄のにおいと、表で動いているのクレーンの金属音。
恐怖の果てに、声が出なくなる。両腕と両足が抑えつけられる。
涙など、流すものか。
腐った連中。腐った、彼氏。
鳥肌が立つ。
腐った、男と名の付く生物。
あたしは歯を食いしばり、きつく、目を閉じた。
* * * * * * *
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